25:終焉、閉幕
頭が残念な義妹にも理解ができたかしら?
「はぁ? アンタ、何様なわけ!? 何で私の幸せをアンタなんかに剥奪されなきゃいけないのよ! てか、アンタ、人を蹴落として楽しいの? 根性悪っ」
「あら、あらあらあら。ヴィオラったら、その発言はまたブーメランよ? 一言話すたびに頭の悪さが露呈しているから私は面白いけれど、フェルモ様が本気で引いてるわよ?」
義妹の隣に跪かせられているフェルモ様が、ポカーンとしたお顔で義妹の方を見ていました。
女の化けの皮が剥がれる瞬間を見ると、ほとんどの男性がこうなるのでしょうね。
「フェルモ様」
「ぇ……あ、はい」
フェルモ様に声を掛けると、ビクリと肩を揺らしつつもこちらに目を向けて返事をされました。
「まぁ、このような感じの、出自が定かではない義妹ですが、末永くよろしくお願いいたしますね?」
「…………え?」
「あら? なぜそんなにポカンとされますの? 結婚されましたので、何があろうと運命共同体ですわよ? そのお覚悟もなく、契約違反されたとか仰るの?」
「っ、あ…………」
フェルモ様が唇を噛み締めて俯いてしまいました。ボタボタと落ちる涙を見ても何も感じません。
因果応報ですわよ。
「さて、鳥のような頭の者にも理解できただろうから…………いや、鳥に失礼だな?」
「ブファァァッ」
誰か盛大に吹き出しましたわね? 結構近くで。
陛下がジーッとケネス様を見ていますが、ケネス様ったら知らんぷりでそっぽを向かれています。
「公式な発表としては、フェルモは重篤な病に掛かったとして廃太子とする」
陛下がそう発表すると、内陣の参列者がざわりと声を上げました。
「人の口に戸は立てられぬは承知だが、これからの国のため、国民のためを思った行動をして欲しい。私は皆がそれが出来る者だと信頼し、真実をこのような形で公開した」
陛下のお声を聞き、参列者が立ち上がり一斉に臣下の礼を執りました。
見事なほどのプロパガンダです。
会議でこうすることが決まってはいたものの、それをやり遂げられる陛下、凄いです。
「さて、続いてだが、レオパルディ公爵と公爵夫人には殺人罪にて斬首刑が確定している」
サラリと報告される罪状。
一斉にどよめく教会内。
罵詈雑言をまき散らす義母。
無言を貫くお父様。
このあと義母がどんな反応を見せるのか、楽しみです。
教会内のどよめきが落ち着き、陛下が話を再開されました。
「数年前のレオパルディ前公爵夫人の馬車の事故は、とても痛ましいものだった」
崖下に転げ落ちた馬車を引き上げられたのは、雪が溶け始めてから。お母様の遺体は馬車かごに守られてはいたものの、未だに夢に見るほどに無惨なものでした。
遺体の判別が出来なかったら、どんなによかったことでしょう。
それを、この二人が引き起こした。間違いなく。
「証言と証拠は既に取れている。主犯、メリダ・レオパルディ公爵夫人。前公爵夫人殺害、不法入国、不敬罪および公文書偽造により、斬首」
「証拠!? 証拠などあるはずがありませんわ! 私は何もしていないもの! あの女がただ勝手に死んだだけよ!」
「ふむ。まぁ、どのみち公文書偽造罪で斬首なんだがな?」
「「……え」」
お父様も義母も理解できていないようです。証言と証拠が取れていると言いましたのに。
そして公文書偽造はもう救いようがありません。
「出自の分からぬ盗賊の娘を自身の娘と偽り公爵家に入れたこと、王城に入れたこと、王太子にその娘を充てがわせたこと、全てが罪だ」
「「…………」」
シンと静まり返る教会内。
誰もがこれで終わりなのだと理解が出来たでしょう。先程から煩かった義妹――ヴィオラもムスッとした顔で黙っています。
いまメリダの罪状を聞いて、自分には何が適用され、どうなるかわからなくなったのでしょう。
「レオパルディ公爵の行っていた事業については、ケネス・ギルヴァに暫くの間ではあるが請け負ってもらう」
今後、爵位や事業をどうやって行くのかなどはこのあと、決めていくことになります。
また、フェルモ様とヴィオラの今後の扱いも。
「これにて『式』は終了する。皆、貴重な時間を割いての参加、感謝する」
陛下が私にまた手を差し伸べてきました。
そこに手を重ね、共に歩みます。
『断罪式』、終了です。
この後にもまだまだやることは残っていますが、取り敢えず、ホッと一息つけそうです。
だらっしゃぁ! 大きな断罪は取り敢えずおわりっ!
早く陛下とラブラブさせたい!ラブラブさせたい!ラブラブさせたい!(煩悩まみれ)
『なかなか良かったよ』『なんか頑張って書いてたね』
そんな軽ぅぅぅぅい気持ちでかまいませぬ……ブクマやら評価やらいただけると、作者のモチベにもなりますので、よろしくお願いいたしますヽ(=´▽`=)ノ
感想はちょーいと鈍足ですが、お返事してますです☆