7/22 ゲリラ豪雨とパライソ
彼はどうやら、雨に弱いらしい。
高校の時から、雨の日は「片頭痛がする」といって具合が悪そうで、いつも心配していたけど、それは今も変わらないみたいだ。
出かけていた彼は、突然のゲリラ豪雨に見舞われたと言う。
全身びしょぬれになって帰ってきた。
そして今、俺の膝に頭をのせて横になっている。
体も拭かずリビングに来たので、床が濡れてしまった。
だがそんなことよりも、彼の体調が心配で、頭をそっと撫でる。
「大丈夫か?」
「ん……」
頷くものの、顔色が悪い。
頬に手をあてると、かなり冷たい。
「タオル持ってくるから」
俺がそう言うと、彼は俺の手を握って、弱弱しく言う。
「行かないで」
「どこにもいかないって。すぐ戻るから」
「ここにいて」
俺の手を握りかえす。
けど、その力も弱くて、俺が握っていないと離れてしまいそうだ。
「お前が心配なんだ」
何とか彼をなだめようとするが、彼はわずかに首を振る。
うっすらと目を開けて俺を見つめると、力なく微笑む。
「いいんだ。側にいてくれたら、大丈夫だから」
「でも、顔が真っ青だ」
「……じゃあ、キスして」
彼がじっと俺を見つめる。
キスなんかじゃ何にもならないのに。
そうと分かっていても、俺は彼にキスをした。
彼が求めてくれるなら、何だってあげる。
俺自身のすべてを捧げて、彼が生きていてくれるなら。
「んっ」
何度もキスをするうちに、彼の唇に色が戻る。
ようやく安心して、頬をなでた。
「大丈夫か?」
「うん」
彼は眼差しを和らげて、頷いた。
症状も楽になったらしい。
早く、元気になって笑顔を見せてほしい。
二人で暮らすこの部屋が、いつもの幸せな空間に戻ってくれと願った。
彼の笑顔と存在が、俺に向けてくれる愛が、俺にとっての楽園そのものだから。
彼にとっても、そうであると、信じているから。
だから、たまに具合の悪い彼を見ると、それは永遠に続かないものだと思い知る。
そして、より彼を大切にしようと心の中で誓うのだ。
「風呂入れてくるから、一緒に入ろ」
「えっち」
「あのな。心配してるだけだから」
下心を隠して、真面目ぶって答える。
「ふーん」
彼はウソなんて簡単に見抜いてしまう。
でも、結局最後には、俺を見つめて「いいよ」と微笑んでくれた。
(終)
お読みいただき、ありがとうございます!
少しでも面白い!と感じていただけましたら、
評価・ブックマーク・レビューを、よろしくお願いいたします(*^^*)
お話を書くモチベーションが爆上がりしますヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
評価は、このページの下側にある【★★★★★】から、えらべます!!
ブックマークは、下側の【ブックマークに追加】より、追加することができます!




