表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の王子をさがせ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/40

22.小学校のピカスケ(2)


 昨日の晩、助けられたお礼を言いに来たキミノリに、ナツコがこっそりたのんだのはこれだった。


「――おねがい、キミノリくん。なにも理由は聞かずに、あたしの代わりにこのポリバケツを学校に持っていって。それで、昼休みになって放送が入ったら図書会議室にもっていって、浅倉先生にわたしてほしいの」


 これがナツコの考えた作戦だった。

 きのうの一件で、もうキミノリくんが竜の王子でないことはわかっている。まさか、その子にピカスケをはこばすとは黒の竜も考えないだろうと思ったのだ。それに、ナツコが図書会議室に行きさえしなければ、放送でこどもたちが集められてもあやしまれることもない。


 そんなヘンなお願いに「ナツコさま」に命の恩義を感じている真っ最中のキミノリは、一も二もなく、だまってしたがってくれた。


 むしろ、そばにいて何も知らされていないユウをだまらせておく方が大変で

「ねえねえ、いったいなんなのよぉ?」

 と、しつこく聞いてくる。


「うーん。だから今はナイショとしか言えないよ。図書委員会の仕事で、浅倉先生もちゃんと知っていることだから……」


「それがヘンじゃない。図書委員会の仕事で浅倉先生が出てくるなんて。浅倉先生なんて教室で会うんだからナッちゃんがわたせばいいじゃん。だいたい、あんなあたしたちと付き合いの悪い先生が、急にキミに接触してきたっていうのも、おかしいんだよなぁ……

 ねえ、キミノリ。それ爆弾かなんかじゃないの?持っていくとちゅうで爆発なんかしたりしない?」


「もぉ。そんなヘンなこと言わないで。ちゃんとした図書委員会の仕事なんだから。理由は……いつか、またあらためて言うよ」


「ふ――ん、ナッちゃんがあたしにナイショごとをつくるだなんてね。ショックだよ、この世でたった一人の親友だと思ってたのに。あたしもう、イジけるから」

 そう言って顔をそむけるユウに、ナツコはどうしたらよいかわからない。


「そんなこと言わないで、ねえユウちゃん」と話しかけても

「知らない。もう話しかけないで」とそっぽを向かれた。

 挿絵(By みてみん)


 そして本当にそのあと、ユウはむくれたまま学校につくまで一言も発さなかった。


 思わぬ親友との関係の悪化にナツコは泣きそうになった。


(もお。王子の探索だなんて何もいいことがない。こわい思いはするし、友だちにはウソを言わなきゃいけないし。……これで本当にユウちゃんにきらわれるようなことになったら、ピカスケと竜の王子のこと、一生うらんでやるんだから……)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ