願い事、ひとつ。
――ぴっ、ぴっ、……
この部屋は、いつも機械音がしていた。
その音は、最初は気になったけれど、長い付き合いになるにつれ、気にならないものになっていた。
――ぴっ、ぴっ、……
気にすれば聞こえる。けれど、気にしなければ聞こえない。
そんな音が鳴るだけの、深夜零時の部屋の窓に、ひとつ、光るものを見つけた。星?
目を凝らして空を見ていると、またひとつ、またふたつと、星が空を舞っていた。
そこ中のひとつを捕まえて、願い事をしてみようと、今日は珍しくそんなことを思った。
「長生きを、したい、」
こんな時にこんな願いしか出てこないのは、我ながら情けないと思う。けれど、私にとってはそれが一番、
――ぴっ、……ぴっ、……
一番、わた、しに、とっては、
――