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①クリス

2021/03/11

相内 充希様より、バナーを頂きました!

尚、こちらは石河 翠様『勝手に冬童話大賞2021』の副賞です。


お二人とも、ありがとうございました!♡☆(´▽`)☆♡


↓相内 充希様のマイページ↓

https://mypage.syosetu.com/1415775/


↓石河 翠様のマイページ↓

https://mypage.syosetu.com/730658/


※イラストが苦手な方は、非表示をおすすめします。

あるところにクリスとセーラという男の子と女の子がいました。


クリスとセーラは幼馴染(おさななじみ)です。早くに両親を亡くしたふたりは、兄妹のように支え合って暮らしてきました。


クリスは凛々(りり)しく、明るい男の子で、みんなから人気があります。

(ひか)え目なセーラは少し(さみ)しい気持ちになりながらも、そんなクリスを(ほこ)らしく思っていました。


セーラはよく気の()く、(やさ)しい女の子です。

クリスはいつも自分がみんなに()められたり、ちやほやされていることが、本当はセーラがさり気なく手を()してくれているからだと知っています。


セーラには言えないけれど、とても感謝(かんしゃ)しているのです。




ある時、ふたりの住むところをおさめる領主様(りょうしゅさま)が、娘をつれて(まち)にやってきました。領主様の娘、マリーはとても綺麗(きれい)な女の子です。


街に出て、ほんの少しだけ一人になったばっかりに、マリーは悪い人にさらわれそうになりました。

一人になったのは本当に少しだけの短い時間だったのですが、悪い人たちは、お金持ちで綺麗なマリーがちょっとでも一人になった時を、(ねら)っていたのです。


たまたま通りかかったクリスは、自分の危険(きけん)などまったく考えずにマリーを助けようとしました。

悪い人は、数人でマリーをさらおうとしていたので、クリス一人では(かな)いません。

でもクリスがいち早く助けに動いたことで、みんなが気づき、マリーは無事(ぶじ)でした。


「助けてくれてありがとう」


(なぐ)られて(たお)れたクリスに、マリーが手を()し出します。


「いいえ、ボクはなにもしてません」


そう言いながら、顔を上げたクリスは、初めてマリーの顔を見ました。


(なんて綺麗な人だろう!)


クリスは一目見て、マリーに心を(うば)われてしまいました。




それからクリスはなにをしていても、マリーのことばかり考えるようになりました。

聞けば、マリーはお婿(むこ)さんにふさわしい人を探しているというではありませんか。


でもマリーは領主様の娘です。

平民のクリスでは、とても()り合いません。


ですが、マリーもクリスを素敵(すてき)だと思っていました。マリーはお父様である領主様に、思い切って相談(そうだん)してみることにしました。


領主様は(なや)んでしまいました。


領主様はマリーを、それは大事に思っています。だからできれば好きな人と結婚させてあげたいのです。

でも領主様には(むずか)しいお役目(やくめ)がありました。

お婿さんに(むか)えるには、それをできる人ではないと、みんなが困ってしまうのです。




考えた(すえ)、領主様はクリスをお屋敷(やしき)()び出しました。


「クリスくん、君はマリーと結婚したいかね?」


なにも知らないでお屋敷に来たクリスは、領主様の質問(しつもん)にビックリしました。

ですが、当然(とうぜん)したいに決まっています。


「はい、したいです!」


クリスはハッキリとそう言いました。

マリーはおもわず(ほほ)を赤らめてしまいます。


「だが、マリーと結婚するには、領主としてふさわしい男じゃないといけない。 マリーは大事な娘だが、みんなの暮らしを守るために()くすのが領主の役目だ。 そのためには意地悪(いじわる)な他の貴族たちも納得(なっとく)させないとダメなのだ。 君にはお金もないし、(がく)もない」


「……はい」


貴族の子供はたくさんお勉強をさせられます。みんなを守るために、たくさんのことを覚えなければならないからです。

それにみんなを守る、とはいっても、『みんな』とは、自分の土地に住む人たちのことです。

自分の土地を豊かにするために他人を蹴落(けお)としたり、仲良(なかよ)くない人とも仲良くしているフリをしたりしなければなりません。


平民でもそれはありますが、たくさんの命を背負(せお)っているので『自分のこと』だけじゃすみませんし、貴族の人たちは頭がいいので、上手に立ち回るのがとても難しいのです。


「それでもマリーの婿になりたいなら、クリスくんがすごいことを、みんなに見せるしかない」


「ボクにできることがあるなら、なんでもします!」


「では、冬の谷にあるという、『黄金(おうごん)のリンゴ』を()ってきなさい」


『黄金のリンゴ』は、それは(うつく)しく、光り(かがや)くリンゴと言われています。みんな知っていますが、だれも見たことはありません。


(ふる)歴史書(れきししょ)には、この国の(たから)のひとつだった、と(しる)されています。







挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
[一言] 既に滅茶苦茶面白い!!! 冒頭のセーラがいい仕事してますね! セーラがいなかったらここまで面白くなってないと思います! 最後までこの物語を見守らせていただきます!
[良い点] 『黄金のリンゴ』がどんなものか? そして、セーラとマリー、二人の女の子はどんな関係でクリスと進展するのか? 続きが楽しみです(^^)
[一言]  ううっ。セーラが…(T_T)
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