無芸1
次の日もハートはジューラル大森林に来ていた。
ちなみに女の子の必殺一撃はマッテオに貰った剣を吸収したのと同じくらいのカラダの減りだった。ストックはできるだけしておいた方が良さげだな。これは。という理由の暇つぶしでなにかないかと森を徘徊している。さてさて、今度は迷わないぜ。
ハートは歩きながらとある違和感のことを考えていた。
『最初に感情が少なくなるとかなんとかって、プロールの奴は言ってたくせにどうもなんか不安定なんだよな』
うむ。あまり考えたくはないがこれは貰ったスキルのせいなのでは?なんせあの大天使様だから。興味ないモノがどうなろうといいのだが興味あるモノが現れると途端に夢中になってしまう…
ハートは頭を両手で抑える。
『ついに始まっているのか‥』
いやそれはない。はずだ‥。もしかしたらこのままおかしくなってしまうのでは?うん。考えるのはもう止めよう‥。
『今日はこっちだな』
まだ行ってない方に進むか。他の部族も見てみたいしな。どんな見た目してるんだろうか。あの猫娘みたいなイキリじゃなければいいんだが。今度は友好的に頼みますよ。変なことに巻き込まないで欲しいんだよね。
『ん?』
急にハートの周りがガサガサと動く。
――お客さんが来たようだ。
「ヴァウアルルゥ」
4体の緑色の狼――フォレストウルフ達に囲まれてしまった。
『緑の犬か大きいなぁ』
犬とか飼ってもらえなかったんだよなぁ俺。テイムとか召喚とかできねーかな。そういえば人間以外に変化してないな。すっかり忘れてた。
『コイツくらいならイケるかも』
大きさを確認するとハートはフォレストウルフに変化した。もちろん見た目だけだ。フォレストウルフ達はハートがいきなり変わったことに警戒していた。ハートはその場で一周ぐるりと回り始めた。
『しかしこれ動きづらいな』
4足歩行には慣れが必要だ。ここで試せて良かった。ハートのぎこちない動きを見たフォレストウルフ達は何をしているんだ?といった様子で待ちの姿勢に。しかしニオイからハートは同類ではないと判断したのか一体が飛びかかってきた。ハートは急いで躱す。そして2足歩行に起き上がり右前足で殴る。フォレストウルフの体に穴が空いた。貫いたフォレストウルフを振り払う。
『4足歩行とか素人には無理だわ』
一体を一撃でやられたことにさらに警戒しながらもフォレストウルフは連携を取りながら3匹一斉に飛びかかってきた。ハートはいつもの人型に戻り直ぐに左腕を大きな盾にする。
『峰打ちだ』
そう。ただ言ってみたかっただけである。
峰打ちとは名ばかりで、盾でフォレストウルフの顔をグシャグシャしながらまとめて殴り飛ばした。盾は大きくて便利だ。適当に扱っても当たる当たる。鉄壁のハートさんここに参上。
もう片方の腕を剣にして適当に振り回す。
『俺だってそりゃね、カッコよく流派とか気取って剣術だとか武術どうのこうのしたいですよ』
改めて盾を見るハート。
俺みたいな素人にはただ殴る。これがSIMPLEで1番楽なんだよ。相手より早く動いて硬い盾で殴る。そうです力技です。【ちからイズPOWER】覚えておくように!皆ここテストに出るから。
『しかしまた一撃か。つい力んでしまうなぁ』
地面に横たわっているフォレストウルフの死体。うーん…峰打ちって難しい…てか戦闘の才能ないな俺…当たり前か…なんつーか泥臭いんだよなぁ…ドロドロしてるだけに…
『こんなこと繰り返してばかりの冒険者つまらんな!』
フォレストウルフの死体を蹴り飛ばすハート。
戦闘するだけとか飽きたよおじさん。
戦闘種族サイ○人じゃないんだよおじさんわ。
舐めるなよーーっ!!!!




