転生者1
『今日はすごい行列だな』
冒険者姿になりハートは酒を買いにこの街でそこそこ大きいであろう商店に向かっていた。初めて来るときも一方的にお世話になったエミリオ商店だ。だが近くにくると人の行列ができていて、すぐに買えそうもないようだ。エミリオ商店の新しく仕入れてきたモノが話題を呼びこの行列を作っているとのこと。通りすがりの人に聞いた情報だ。一体なんだろうか?見たこともない聞いたこともないモノだとうれしいな。列に並んでいるとモノを買ったであろう客とすれ違う。なにかを皆、細長いモノを使って飲んでいる。飲み物か。それによくよく見ると女性が多い気がする。この世界も女性はこういうのに敏感だし好きなのか。万国共通、いや異世界共通か。とか考えていたら俺の番がやってきた。
「らっしゃい!お客さんも【タピオカ】かい?」
聞いたことのあるフレーズに思わず拍子抜けする。
『え?なんだって?』
「【タピオカ】だよ。【タピオカ】買いにきたんじゃないのか?」
『ああ。じゃあそれを一つ…それと強い酒を一つ』
「強い酒か。ならアーロイの宴だな」
アーロイの宴。宴って響きで強そうな酒に聞こえる。
しかしやはり聞かねば。
『タピオカはこの商店のモノなのか?』
「いや、タピオカは帝国の帝都で仕入れてきたんだよ。もうすぐ戦争だろうが商人にしてみれば関係ないからな。小さい店だったがエミリオ様が偉く気に入ってな。それでどうにか交渉して仕入れてきたんだ。そのおかげで大繁盛、やはりエミリオ様の眼は間違ってなかったよ」
ハートは代金を渡す。
『その店の名前は教えてくれるか?』
「タチバナって名前の店だ。それじゃまた来てくれよ!」
片手に酒、片手に謎の飲み物タピオカを持ち店を出る。タピオカは金属でできたコップに入れてくれた。もちろんコップは有料だ。タピオカにタチバナ。伝わる日本人感。帝都か。そのうち行ってみるか。謎の飲み物タピオカは飲んで見ると甘いミルクの中にタピオカが入っているだけだ。シンプルだ。
『しかし、タピオカうめえな』
タピオカ恐るべし。恐るべしタチバナ。
武器屋に酒を持って入る。
『マッテオ、酒を持ってきたぞ』
ドシドシと背の低い男が店の奥からでてくる。
「お前か。本当に酒を持ってきたのか」
『ああ。これが剣の代金だ』
「よし、こりゃ店は終いにして飲むぞ」
マッテオは店を締め、ご機嫌に酒を飲み始めた。
ハートももちろん巻き添えだ。マッテオの長い話が始まった‥。
この世界には様々な様々な国があるのは知っている。その中でも浮遊村ハース通称【魔導国ハース】という国がある。名前の通り、空に浮いている大陸、村であり国である。魔導と名が付くだけあり熟練された魔法使いしかいない。人口は国といってもいいかわからないくらいに少なく情報がある限りでは20人弱。ハースの村人たちが時折、地上に降りて来て地上の魔物を間引いてるそうだ。だから比較的に地上は平和だとかなんとか。村人たちはそれぞれ超越した力を持っている。しかし、あまり他の国との干渉はなく人々の争い事にも介入しない。村人たちは何かの理由で嫌われているのだろうか。マッテオの話は長いがこういった新しい情報を勝手にくれるのでありがたい。酒さえ与えれば情報をくれるおっさん。しかし、マッテオが眠ってしまったのだ今回の話は終わりだ。




