序章、冷血の少年
「西中軍、こちらに攻めてきます!数は見る限り、推定一万はいます!」
ここは住吉神社、南中軍の本陣が置かれているところだ。
「どうする、日豪?」
「…はァ、面倒臭い。全軍、隊列を崩さず突撃だ!」
一人の少年はそう言うと、ほかの少年少女は隊列を崩すこと無く進軍して行った。
辺りには戦闘の残骸と、悲痛な叫び声が響き渡っていった。
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「三木、今回の戦闘で死亡したのは何人だ?」
「ざっと見積もって、五十五人だな。それも一組が一番多かった。不幸中の幸いにも十五分の人々を失わずに済んだがな」
「チッ、やはりか」
少年はそう言うと、椅子から立ち上がり廊下を歩いて行って、一組の教室の前へ着いた。
戸を蹴破り、大声で教室に聴こえるように
「今回の戦闘で死亡した奴は五十五人だ、お前らみたいな無能な奴らのせいでこんなにも多くの犠牲が生まれた!あいつ等が死ぬよりお前らが死んだ方がマシだ!」
と怒鳴りつけた。容赦のない罵声に泣き出す女子も多く、それをかばう女子は少年に怒りの視線を向けている。
「次ヘマでもしたらたたじゃ済まないと思え、いいな!」
そう言って、少年は足を高く上げ机にかかと落としをした。少年のかかと落としは机を真っ二つに割った。
これは、戦場で生き、命を散らす少年少女の話である。