七話、彼ら来たりて
以前よりは遥かにマシな生活だけどもうちょい休みが欲しい
嵐とは突如として現れて全てを蹂躙し、しかしてすぐに去っていくものである。
悪魔憑きもまた同じ、違いがあるとすれば時々は会話が成立する事があるという事であろう。
少なくとも、老人は訪れた嵐をなんとかやり過ごしたと言えるだろう。
店にやってきた周囲からあまりにも浮いた衣装をしていた頭のおかしい女、クロエ。
暗に脅しをかけてきた彼女に自身の情報を洗いざらい話した次の日の朝、老商人ローは件の女が街の外に出て行った事を遣いから戻ってきた下男に伝えられてようやく安堵の溜息を吐いた。
その気になれば己を吹き飛ばしたであろう嵐をやり過ごし、商談に勝利して安全な立場を手に入れた。
その事実をようやく実感できたが故に。
「まず初手は生き残れた。これだから賭け事と商売はやめられないものですな」
ローは質の良い旧時代産の背もたれ付きの椅子に座り込んでクッションの感触を楽しみながら身をゆだねる。
彼女の手勢の大半は来た道を戻っていき、彼女自身は新たに調達したらしい屋根付きの新車に乗って獲物たる反逆者たちの通った道へと進んでいった。
下男からそう伝えられた時、ローの顔は静かに賭けに勝った事を確信していつもの怪しげな笑みを湛えた商人の顔へと戻っていた。
逆走していった手勢は己が与えた情報を後続の主力部隊に伝える為であろう。
それはすなわちローがクロエとした約束をも彼らの統率者に伝達する事となる。
これからが忙しくなる、ローの脳裏では既に新しい銭勘定が始まっていた。
ローは手を振って下男に温かい茶―――尤も、それは緑色の葉を一枚丸々とぶち込んだ苦い湯でしかない―――を持ってこさせる。
最低品質の不味い茶であるが、若い頃に苦労して初めて得た嗜好品であるこれをローは未だに愛飲している。
この苦味と渋味こそが勝利の味であるのだ。
味わうという事は生きている間しか出来ない、故に愛するのだ。
「しかし、まさかあのマクトー・ヤヴァが生きていているとは…。長生きすると楽しい事に出会えるという物ですな」
死んだと噂されていたあの男はあの日、なじみの客であるキドや不格好な鎧を着こんだ大男と共に突如として店へと来店した。
瓦礫の王が謀殺されたという事実と仇討ちへの協力は既に怪蝶に乗った飛行兵たちによって届けられていたが、その中の名簿にクトーことマクトー・ヤヴァの名は無かったのだ。
ボースを首魁とした反逆者と聞いていたローにとってそれは驚きの出来事であり、同時にクトーが商談の場にボースを連れてこなかった事を高く評価した。
ローはボースに下男を潰された事を未だに根に持っている。
あの殴られた不幸な男は結局、そのまま目を覚ます事は無かった。
賠償は支払われたとはいえ、次は替えの利く下男ではなく商品に暴力が向くとも限らない。
実際、あの時ボースは商品である奴隷に手を上げようとしたのだ。
ローにとってボースは既に出禁扱いであった。
それを察し、連れてこなかった時点でローはクトーを大いに気に入ったのだった。
かつては名の知れた名士であり、今は逃亡者の首領をしているスーツ姿の伊達男。
なるほど、投資するには面白い相手であった。
故にローはクトーが見事に逃げ切って見せた後、再び軍勢を率いてトウカイの地に戻って来た時に大いに便宜を図るという約定を羊皮紙―――最も、純粋な羊も死に絶えた今はミュータントの皮であるが―――にしたためさせてから物資と情報の両面から支援を行った。
エンキの宮殿から持ち出したものの、使い道が見つからない不要な物資や武器を通常よりも高い査定で買い入れ、逆に欠乏していた食糧と弾薬、そして燃料に加えて討伐部隊が組まれたという重要な情報をローはクトーに与えたのだった。
『あー、シュワンツの大将か…。あいつも軍門に下ってたならしょうがねぇ、変人だが優秀な族長で指揮官だからな、それぐらいはすぐ出来るだろうさ』
討伐部隊の指揮官の名を聞いたクトーは配下が暫くは内ゲバして統制が取れないであろうというアテが外れた事に若干気落ちはしていたようではあった。
しかし、同時に納得もしているようであった。
彼らの間にどのような因縁や関係があったか分からないし、ローにとってはどうでもいい事だ。
少なくとも、この騒動が終わる頃にはどちらかは死んでいるだろう。
ローとしては賭けた側に勝って貰う事に越した事は無い、分かる限りで敵の編成や情報を惜しみなく与える事となった。
『数千の軍勢に航空戦力込み、行けると思うかキルロイ?』
『戦闘面では問題ない、この地域の技術水準ならば航空戦力に打撃力は無い。常時張り付かれて位置が把握される事だけが問題になる』
クトーと鎧を付けた男の会話をローは静かに思い出す。
クトーは信頼しているらしい男は落ち着いた様子であり、大兵力である敵についてはそれ程深刻には考えていない様であった。
その気になれば殲滅できると言わんばかりだ。
あの男も悪魔憑きか未だに外骨格を維持している傭兵か、そうでなくてもあの体格から見てただの人間ではないだろう。
エンキに仕えていた男の配下にキドが鞍替えしている辺り、やり手である事だけは理解できた。
故にローはあえて鎧の男、キルロイには深入りしない事に決めた。
いらぬ接触は悲劇の元である。
あくまでローの相手はクトーだけであり、欲をかく必要はなかった。
かくしてローはクトーと手を握り、トウカイの未来を売り渡したのであった。
一介の商人から権力者への飛躍、成り上がりの夢が間近に迫っているのだ。
子や孫は止めたが、ローは一切躊躇しなかった。
老い先短いからこそ、人生の全てを賭けに叩き込み。
否、ローは常に勝てると見込んだ勝負に全てを注いで勝利してきた。
だからこそ、この混沌の時代にまともな店などと呼ばれるものを維持していられるのだ。
子や孫にはその胆力や見通しが無い、だからこそここで安泰な未来を作ってから退場するのが最後の仕事と思う事にした。
最も、何よりも優先されたのはロー本人が愛してやまない博打と商売の愉悦であり、次は追跡者であるシュワンツたちに情報を売るつもりである。
逃げる者たちに食糧と情報を売り、そして今度は追う者達にも情報と恩を売る。
蝙蝠は殺されるという古代の逸話があるらしいが、それはしっかりと流れを見極められぬが故であろう。
クトーらには問い詰められた時には脅されて仕方なく物資を明け渡したという弁明をする許可を既に得ている。
加えて、保身の為にある程度の情報を相手に流す事も物資の追加譲渡を条件に取り付けている。
武器弾薬食料に加えて車両もつけてやったのだからそれぐらいは目をつぶって貰わねば困るというものだ。
故にローはクロエにも情報を惜しみなく流した。
こちらは純粋に自分の命を守る為だ。
結果として、ローはクロエからも『良い子』として認定されて殺さないという約定を勝ち取った。
「あのゲネラル・シュワンツとて、悪魔憑きと事を構えたくなどありませんでしょうからなぁ…」
ローは大方許されるであろうという目算で事に挑み、そして悪魔憑きの襲来という想定外を受けつつも許容範囲内で危機を乗り切った。
強大な悪魔憑きと約束を取り付けられた時点で下男の何人かを失ってもおつりで家が立つ程だ。
同格か上位の化け物でも無い限り、悪魔憑きの取りつけた約束を後から破る馬鹿な奴はいない。
彼らのメンツを傷つけて怒りに触れれば唯の人間など、地位が高かろうが強かろうが、上位者の前には血の詰まった肉袋と同じでしかないからだ。
雑多な装備の雑兵をいくらぶつけても大抵の場合は戦いなれた悪魔憑きに勝てないからだ。
旧時代の兵器で完全武装した鍛え抜かれた兵士100人で良い勝負、クロエに関してはもっと必要だろうとローは見積もっている。
たかが口約束、しかし約束は約束だ。
悪魔憑きにとって自己を律するルールはえてして重い価値を持つ事が多い。
悪魔憑きとは思考が己の欲する衝動と内在する狂気の間を常時反復横跳びしている狂人である。
正気であるか怪しい奴が大半であるからこそ己に課したルールで持って自我の整合性を保つ者が多い。
故に自分ルールに厳しい悪魔憑きのする他人との約束も非常に重い効果を有する事が多い。
そもそも人間相手に約束など滅多にしないが、する以上は必ず本人なりの美学や哲学あっての事であるのだ。
少なくとも、本人が正気な内は破る事はあまりない。
彼らは根本的に人という種から逸脱した自由人であり、そうであるが故に自らを律する指針としての自分ルールが無ければ自我を自由と衝動に食われて獣となってしまう。
クロエもその口であるとローは察していた。
ふざけた衣装、言動、仕草、その全ては演技であり自分の精神を維持するための施策であり流儀であると見定めたのだ。
それ程に演じるという事は内にある業は重く、純粋であろう。
だからこそ、そんな狂人の約束は信頼がおける。
約束を違えるという事は本人のスタイルに反する可能性が高い。
仮に、約束自体が嘘ならばローは既に死んでいる筈である。
情報を引き出して用済みになった人間を殺さなかった時点であのクロエという悪魔憑きは非常に理性的であると言える。
後はこれからやってくるシュワンツに形ばかりの謝罪を行い、物資の供出に応じて賭けに負けた場合にもお咎めが来ない程度の貢献をするだけである。
上手くすればこちらはこちらで未来への投資になりえるのであるから手は抜かない。
「良い商談日和ですな、こんなに景気が良い気分になったのはいつぶりか」
今日は気分が爽やかな良い一日となるだろう。
自然、ローはくっくっとしわがれた喉を鳴らして静かに笑う。
「しかし、物分かりの良い子は殺さない、ですか。彼女の衝動は『殺意』ですかな」
殺さないと口にするという事は殺したいという事の裏返し、ローは下男たちを焼き殺した時のクロエの喜びに満ちた顔をしっかりと覚えていた。
単騎で敵に向かっていったのは配下に最初から戦力として期待は一切していないが故か、或いは全員自分で始末したいからか。
悪魔憑きとはそういうものだ。
高い戦闘力を持つ事と引き換えに、精神に異常をきたした狂った人型の怪物。
彼らに協調性は無く、組んだとしても少数で徒党を組むという事がまず無い。
要は団体行動が出来ないのが悪魔憑きの欠点の一つと言える。
だが、だからこそだ。
もしこれで理知的で聞き分けの良い者たちならば『悪魔憑き』などとは呼ばれないだろう。
奴らは我々にとって都合の良い『新人類』だとか『救世主』ではないのだ。
彼の瓦礫の王は例外中の例外、それもその配下たるイドあっての安定した治世であったのだろう。
それも今は昔、これからは新しい支配者が誰になるかを決める群雄割拠が始まったのだ。
そこに自分が噛んでも誰に咎められようか、最早この世界に神も正義も有りはしないのだから。
ローは枯れ木の様な皺だらけの顔を歪ませて思索にふける。
混迷の中で誰もが生き残りと成り上がりを狙っていた。
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そこはかつて人類が栄えていた時代、上流階級たる富裕層の人間達が都市の喧騒や下賤な貧民の様な不快な存在から隔離されて快適に暮らす為に作られたゲーテッドコミュニティであった。
今も残る庭付きの立派な一戸建ては人類の文明華やかかりし頃の面影を今に伝えるに十分であろう。
それが例え、原型を留めぬほどに補強され改装されたトーチカの如き存在になっているとしてもだ。
終末後の長きに渡る混乱と無秩序は金持ちが快適に暮らす終の棲家をミュータントに立ち向かう要塞へと変貌させた。
家々は持てる資材で持って外敵の侵入を拒む要塞として作り替えられ、芝生が生えていたであろう庭には今は枯れ果ててはいるが畑が作られていた痕跡が残っている。
元より存在した石の壁と鉄の柵で守られた彼の地は文明崩壊の後において当初は住民たちを暴徒から守る為の防壁として役立った。
そして、彼らが世界に広がる有毒なエーテルから逃れる為に無益な逃亡を試みて放棄されてからは、後から移り住んだ者達を守る揺り籠となった。
中にある個々の立派な一軒家は修繕と改築によって一つ一つが立て籠もる事が可能な拠点へと改造され、外の壁は資材が許す限り分厚く高く改修されていき、後の城塞都市の礎となったのだ。
拡張性を捨てた代わりに旧時代の建造物の恩恵を最大限に利用して作られたその城塞都市は他の城砦都市を結ぶ交易路の起点となり、連絡や補給の拠点として大いに栄える事となった。
最も、それも前触れも無く起きる環境変化による寒冷化と吹き荒れる錆雪に飲まれるまでの事である。
周辺地域で最も頑強であったこの都市は、アノマリーによる異常気象に飲まれて放棄されたのだ。
最早この都市には雑草の一本すらも生える事は無い。
今や、車を持つ交易商人を除けば使い道を失ったこの都市はレオたち一行にとっては非常に好都合な存在であると言えた。
放棄されて20年近く、錆雪によってミュータントすらも住み着かないが故に未だ原型を大いに保っている地に王を討った反逆者たちは逃げ込んだのだ。
無論、それは無計画な逃避ではない。
彼らは明確な意思の下にこの都市へと至り、そして準備を続けてきた。
すぐそこに迫る報復の軍勢の先鋒を撃破し、その出鼻を挫くために。
彼らは雑兵の群れは恐れない。
恐れるのは三次元的な機動が出来る航空戦力と単騎で強大な戦闘力を持つ悪魔憑きだけ。
この己たちにとっても苛酷な地に至ったのはその結論から逆算して導き出された結論があるからだ。
気軽には航空戦力を投入出来ず、装備なしには軍勢を送り込む事も出来ない極地に陣取る事で敵側の主戦力となりうる悪魔憑きを迎え撃ったのだ。
彼らは悪魔憑きを恐れると同時にその欠点もまた理解していた。
悪魔憑きは狂っているが故に団体行動が取れない。
衝動に身を任せて望むままに生きる彼らを指揮系統に組み込む事は困難だ。
故に彼らが軍勢を形成した場合は孤立するか突出する。
それでも戦果を大いに挙げるが故に問題視されない、むしろ共に行動すれば巻き添えで殺されかねないが故に悪魔憑きは前衛として突撃させられる。
だからこそ、この最初の戦いは敵の戦力を削り取る好機となりえるのだ。
かくして、彼らはこの死の大地で激突した。
「敵影視認、正面からだ」
雪が降りしきる中、強化外骨格兵と見まごう程の巨大な間に合わせの鎧を着こんだガスマスクの男、レオが双眼鏡を用いて城壁から彼方を見る。
視線の先にはもうもうと立ち上る錆雪の茶色い煙とそれを巻き起こしながら音楽を爆音で垂れ流す一台のバイク。
乗っているのは人型を保ってはいるが昆虫の顔と外骨格の肉体を持つ奇妙なミュータント、そしてその後ろで意味不明なポーズを取る筋肉質の大男。
「言われるまでもねぇ。あんだけ派手に煙上げてりゃ誰でも分かる、ありゃあどう見てもイナゴ野郎だ。だがよ」
ガスマスクに応じたのは眉間に皺を寄せた凶悪な面をした上半身裸で匂い立ちする大男、ボースは同じく双眼鏡を覗き込みながら不愉快そうに言葉を返す。
かつての同僚、そして常に意味不明な言動で己を見下してきた悪魔憑きの登場にボースの怒りの感情は瞬間湯沸かし器の如く、既に臨界点に達しつつあるようであった。
降りしきる錆雪の中で、しかしボースは雪に蝕まれてはいない。
背負った来訪者の戦槌の柄が名状しがたい文字を青く輝かせながら風を起こして降りかかる雪を散らしているからだ。
鎧で雪を防ぐレオに対し、ボースは装備に防御を依存している。
同じ防ぐという結果に至るとしてもその手段は多様だ。
「レオ、あのクソ爺の話と違うじゃねぇか!余計なのが一匹ついてるぞ!」
「あれはヴィルだな。領地を持たない流れ者の悪魔憑きだ。俺たちに掛かった褒賞が目当てで参戦してきたんだろう。アレも厄介だぞ」
レオの横でしゃがんで双眼鏡を覗き込んでいた雨具を着込んだカウボーイハットの男、キドが静かに本来この場にいない筈の男の名を出す。
キドは水棲ミュータントの皮を用いて作った合羽で錆雪を凌ぎながらこの場に参加している。
触れれば緩慢な死が訪れる死の空間であっても伊達と酔狂で長く傭兵をしているキドはいつも通り平然としていた。
「奴はいわば防御特化の筋肉の化け物だ。あの変な姿勢をしてる間は見違えて頑強になって攻撃がまるで通らない上に都度姿勢を変えながら短距離を高速移動してくる変態だ」
キドはヴィルと面識があった。
ヴィルも暴走する悪癖があるが、対価と引き換えに他者に力を貸す事を生業としている存在であり幾度か共に仕事をした事がある。
故に、その戦闘力と行動パターンを良く把握している。
「攻撃時と移動時に隙がある。そこに合わせればやれるはずだ。最もそれは俺がやる場合の話だ。悪魔憑き同士ならばどうなるかは分からん」
必要な情報の開示、しかしそれに対してもボースは不快に怒鳴り散らした。
「黙ってろキドォ!今俺はレオと話してるんだ!奴隷は黙ってろ!」
「キッドだ。お前に話してるわけじゃない、レオに対してだ」
「ちッ!まあいい!精々生かしてやった分の仕事はして貰うからな!」
「無論だ、それが契約である以上俺は従うだけだ」
キドはボースの暴言をいつもの如くやり過ごすと後ろ手を腰に伸ばして大型の回転拳銃を
取り出した。
キドを最高位の傭兵たる者として支えてきた切り札、魔弾用の拳銃だ。
「レオ、事前の作戦通りでいくんだな?」
「ああ、初手最大火力だ。やれ、キッド」
レオはキドの背後に回るとその両肩に手を置いて体を固定する。
キドに使用を命令した魔弾は反動が激しく、このまま撃てばキドが城壁から転落するが故である。
「吹き飛ばん様に抑えてやる。お前は射撃に集中しろ」
「了解した」
頷いたキドは一度深呼吸すると両手で拳銃を握ると走りくるバイクに照準を合わせた。
相手は遥か遠く豆粒の如く小さかったが、すさまじい勢いで迫って来るその姿は一秒ごとに大きくなってきている。
かなりの高速で突っ込んできている、失敗すれば二度目はないだろう。
しかし、キドには既に命中の確信が心の中にある。
どんな状況でも当たるまで訓練を重ねてきた、そして生き残ってきた。
そうであれば決して外れる事は無い。
なぜならば、それこそがキドの狂信であり矜持であるからだ。
「何が出るかは俺にもわからない。良いのを期待してくれ」
キドは迫って来る敵を見据え、引き金を引いた。
錆雪は特に厄介なアノマリー災害です。
空中の多種多様なアノマリーを通過するうちにおかしくなった雪が生命を蝕む厄い物体に変質しています。
酸の雨の上位互換の様な存在であり、本来はめったに起きない物ですがこの雪原地帯では常時降りしきっています。
悪魔憑きにも影響を与えますが、短期間ならば回復力が勝るので問題なく強い個体ならば割長くと耐えられる塩梅です。
しかし、錆雪が吹き荒れる地域はミュータントすらいなくなる世界なので留まる意味はなく、永住は出来ない環境になっています。
今回はここまで




