7話:ルーン
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・ルーンの発展と電力
新陽暦1273年、工業国家バルランの科学者ウィルト・メリオンが、当時未発見だったエネルギー“電力”を発見する。この電力とは、雷系統の魔術が速効性で魔力消費が少ないという利点を活用して、火力エネルギー、水力エネルギーよりももっと少ない魔力、もっと速くエネルギーを生み出すことが出来るエネルギーである。
電力エネルギーの利便性は、瞬く間に世界に広がり、各国で使われていた他エネルギーを過去のものにした。
新陽暦1274年には、バルランが電力エネルギーに変換する“電力ルーン”を開発。ルーンによって、世界中の一般家庭にも電力エネルギーが使われることになり、新陽暦1293年現在では、電力ルーンを使っている世帯は世界中で93%にも及ぶ。
電力エネルギーが起こした生活の変化は、我々に衝撃を与え、これまで明かりが燭台や蝋燭だった人々に安心をもたらした。
―『新訂 世界史』
ホープス社 出版
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「ふぅ・・・」
世界史の教科書を閉じて、机の上に静かに置く。
なるほど、一般的に電力が使われている背景の裏には、そんなことがあったのか。
どこの世界でも、誰かが文明を開拓していくというのは変わらないようだ。
それにしても、ルーンか。
世界史の教科書の説明では、『魔力を自動的に魔術に変換して発動する、魔術が使えない人の為の道具』ということだったが。
道具の使い方次第では、生活に役立てることも出来るんだな。凄まじい便利アイテムじゃないか。
今日学習したことを忘れない内に、手帳にまとめておくとしよう。
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・ルーンの仕組み
魔力
↓
変換
↓
魔術、エネルギー、etc.
・通貨価値
金貨:約20万円
大銀貨:約2万円
銀貨:約2千円
大銅貨:約200円
銅貨:約20円
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今まとめられるのは、これぐらいか。
これからこの手帳は、肌身離さず持ち歩いておくことにしよう。何か分からないことがあればメモり、後から調べられるようにな。
もっとも、ネトゲ以外は何やっても長続きしなかった俺の事だ。明日ぐらいには忘れてるだろう。
「・・・はぁ」
何だか、一日が終わったと思うと疲れが一気に押し寄せてくる。
異世界生活二日目。二日目にして金貨九枚を失った。
日本円に換算すると、約百八十万円だ。普通なら、三ヶ月は何もしなくても暮らしていける。こんな大金、どうやったらすぐに無くなるのか。
異世界とは恐るべきだな。金の回りが早すぎて、こんなんすぐに底をついてしまう。
近いうちにバイトでも探すか。
ベッドで横になっていると、電気が勝手に消灯した。停電が起こった訳ではない。
電力ルーンに貯蓄されていた魔力が底を尽き、電気を作れなくなったからである。
電気の使い過ぎの防止になったり、寝る時に勝手に消えてくれるのはありがたいが、この仕様だと、日中でも勝手に電気が消えてしまう事が起こる。
もっと便利な仕様に出来なかったものだろうか。
まぁ、そこは今後の課題として技術開発に期待しよう。
それにしても、今日は一気にイベントが起こったような気がするな。
学校では、初日からサボり扱いになってしまったな。
いきなり日数に響くのは痛いが、まぁ自分のミスなのでしょうがないと受け入れることにしよう。
学校と言えば、結局あの女の子は何だったのだろうか。俺たちより年上のようだったけど。
学校生活を送っていく内に、またどこかで出会えるだろうか。その時には、名前と学年を聞いておくことにしよう。
そして。あの盗人の少女の事。
異世界に来てから、何かしら関わってきたあの少女。
俺の方から盗みを止めるように、と沢山の金をあげてしまったが、果たして明日からどう影響するのだろうか。
いい方向に向かって欲しいとは思うが、今になって冷静に考えると、あの少女が嘘をついている可能性だってあったんだ。
盗みをするような人間だ。嘘をついていると考えたら普通にありそうな気がしてきた。
今度会ったら、少女に金の行方を聞いてみることにしよう。
ふぅ、と溜息をついて目を閉じる。
疲れもあって、目を閉じたらすぐに眠りについてしまった。
明日は、どんなイベントが起こるのだろうか―。




