チュートリアル
モニターには刃を此方に向けた黒騎士が写っている
おいおいおい、どういう状況なんだこれは
乗りと勢いでこんなんなったけどどうすんだよ!
「…っ!来るぞ!」
「来るって…うわっ!」
すんでの所でペダルを踏み、黒騎士の刃をかわす
攻撃してきやがったぞこいつ!
「おい!こっちに対抗手段ねぇのか!やられとまうぞ!」
「待ってろ!…現状使える武装は」
「くっそ!また来やがった!」
ペダルを踏んで回避!…なんか、この操作方法、昔やったゲームに似てる気がする…それなら!
「ナイア!取り敢えずそっちは武器を探してくれ!…口閉じてろよ、舌噛んでも知らねぇぞ!」
「わかった、頼む!」
黒騎士の斬撃をかわしつつ、操作方法を確認…ああ、やっぱりそうだ、昔やってたゲームにそっくりだ!
二本のレバーで腕を操作、フットペダルの前後で移動、レバーに付いてるボタンで恐らく武装、といった具合だろう
…しかし、これだと決められた動きしか出来ない
柔軟な動きは出来ないだろう
『マスターの認証を完了…戦闘機動を確認しました。パイロット・アーマーを装着しますか?』
「良く分からねぇけど承認!早くしろ!」
『了解、PA装着開始』
アラームが鳴り、俺の座っていたシートが上下左右に開き、俺を包み込む
『PA装着完了…マスターの脳に機動手順を送信…成功しました。トレースシステムを起動します』
俺の頭の中に、この機体の情報が入ってくる…そうか、それなら!
動きの止まった俺に、黒騎士は容赦なく斬りかかる
当たるかよ!
足に力を籠め、大地を蹴りあげて跳ぶ!
軋む機械の音が響き、俺の視界は空中に投げ出された
体にかかるGは並みじゃない!
「ぐぅうううっ!こいつは…きくなぁぁぁあ!!」
目がチカチカする。視界に赤い幕がかかってる見たいに全てが赤い
飛びそうな意識を気合で捩じ伏せ、体制を矢の様に整える
「先ずは、一発!」
黒騎士の胸部に蹴りが突き刺さる!
地面に叩きつけられた黒騎士は…胸部の鎧に罅がはいっているが、それ以外に損傷は見当たらなかった
「かってーな…何で出来てるんだアレ」
『魔鋼と鋼鉄の複合装甲の様です。私も同じ為、対してダメージは無いかと』
「先に言ってくれよ…つか、魔鋼って…やっぱり魔法とかはあるのかこの世界…で、破るためには…アレ?ナイアどうした」
「…」
気絶してやがる…まぁ、ジャンプしただけであんなに体に負担がかかったんだ
俺はこのアーマーのお陰で何とかなったが、生身にはキツかったろう
…年頃の娘さんがするにはしちゃいけない顔してる気がするが
見なかったことにしよう…
『戦闘機動に従い、武装のロックが解除されました。近接武器としてムラクモ使用可能。転送しますか?』
「武器あるのか?よし、転送しろ!」
『了解。ムラクモ、転送』
目の前に浮かび上がる魔方陣
そこから、柄が伸びてくる
それを掴み、一気に引き抜いた
「これは…」
白き弧を描く、片刃の剣。刀だ
無駄な装飾もない、一本の刃
良いね、これなら戦える
「お返しだ!」
敵の剣を掬い上げる様にしてかわし、斬撃を叩き込む
すんでの所で回避した黒騎士の胴体には、袈裟斬りに痕が残されていた
立ち上がった黒騎士の赤い一つ目がこちらを睨み付けるように輝く
<その…刃…やはりそうか…我らの宿願を阻むイレギュラー!!>
喋れるのこいつ!?
<よもやここで見掛けようとは…我が敬愛なる王を討ち、我等を異次元に放逐した「異世界のイレギュラー」なるものの剣…なればこそ、ここで討ち取り憂いを絶たん!>
構えた黒騎士から紫色のオーラが漂い始める
『魔力を検知…来ます』
「何が…っ!!」
嫌な予感がして咄嗟に避けたのが正解だった
俺のいたところは直線上に地面が避けている
何あれ、やばすぎるでしょ!
『魔力を刀身に籠め、直線上に解放したもののようです』
「冷静に解説してる場合か!おい、こっちも撃てるのかアレ!」
『問題ありません。リミッター解除、ムラクモ、最終攻撃形態』
ムラクモの刀身が展開し、形を作り替えていく
それはまるで、顎を開いた生き物の様な…
「これは…!まぁいい、もうなんでもアリだ!」
『ムラクモ最終攻撃形態オロチ機動。刀身の解放を』
「どうやるんだ!」
『イメージです』
「はぁ?!」
なんでもありだな!イメージかよ!使い方教えろよ!
「しょうがねぇ、解放しろ!オロチ!」
刀身に籠められたエネルギーを、突っ込んできた黒騎士にぶち当てる!
刀身から出るエネルギーが黒騎士を包み込み…
残ったのは両手と片足を無くし、最早残骸としか言い様の無い黒騎士だったもの
どうにか頭と胴体は守ったらしい
<…このような…このような事など…ここは引かせて貰う!>
「あ、まてよ!」
声をあげるが遅い
空中に出現した魔方陣が、黒騎士を飲み込んだ
「逃げられたか…」
あとに残るは荒野と残骸、それから巨大なクレーター
ほんとに、どうなってんだこりゃ…
誰か文章の書き方を…