初戦闘~邂逅
現在の状況を確認しよう!
なんか残骸(巨人?)が散らばってる中で、深刻そうな表情の女の子と、従者のように側に控えている鋼鉄の巨人
どうみても面倒ごとですね
なんか助けて欲しそうだけど、関わるとロクなことがなさそうだ
衝動的に断っちゃったけど、どうしよう
「すまない、突然の事で動揺しているのは分かる。しかし、こちらもやむを得なかった…」
「どういうことだ…?」
巨人の色と同じ、蒼い瞳が俺を捉える
…正直、可愛い女の子にそんな助けて欲しそうな目で見られたらなんとかしたいって気持ちも沸き上がってくる
でも、いきなり死んだと思ったらこんな状況だ
頭が追い付かない
「私はナイア。この世界を管理する者の一柱だ。君を呼んだのは、君にこの世界を助けて欲しいからだ。」
「それはさっき聞いた。つまりどういうことだ」
「この世界は今、異世界からの侵略者によって脅かされている。君には侵略者からこの世界を守って欲しい。この、レーヴェと共に」
「レーヴェ?」
「私の後ろにいる者だ」
少女の側に控えている巨人に目を向ける
…ふと、こちらを見たような気がする
「あれは…?」
「機甲騎士レーヴェだ。君の相棒だよ」
「勝手に決めないでくれ。俺は承諾していない。つか、他の人に頼んでくれよ」
「それは出来ない」
「何故?」
ナイアが視線を落とす
実にめんどくさそうな予感だ…
「私が君を呼んだのは、君が適合者だったからだ」
「適合者?」
「武術の素質があり、異界を越える程の魂の強さを持ち、そして、尚且つ死人であること。それが適合者としての条件だった」
「随分勝手に決めてくれるもんだな。おまけにこれじゃあいくら死人て言っても誘拐とは変わらないだろう?」
「いや…異界から武人を招くなど、本来ではその様な方法を取るつもりでは無かった…しかし、その様な手段を取らねばならないほどに、この世界は追い詰められてしまった…」
「もし、それを受けない場合は?」
「君は元の世界に戻される。最も、体の機能は停止しているから、戻った瞬間に死んでしまうだろう」
…ふと、考える
これはチャンスなんじゃないか?
俺はもう、あちらの世界では死んでしまっている
ならば、もう一度生きるチャンスを貰ったってことで、この少女に協力するのもありじゃないかと
元々、退屈な人生に飽きていたところだし、刺激が出来るって言うならいいんじゃないか?と
「…分かった、受けるよ」
「…!そうか、受けてくれるのか!」
ナイアの目がこれ以上無いほど輝いている
…安請け合いしちまったかね?
「それなら早速…っ!!まずい!見つかった!」
「え?どういうこと…あれはいったい?」
上を見上げると、幾何学模様の魔方陣が浮かんでいた
大きさは…レーヴェと同じくらいだ
そして、魔方陣が割れ、なにかが中で蠢いているのが見えた
「こっちだ!早くレーヴェの近くに!」
叫ぶナイアの所に走り、巨人に近付く
「なんだ!何が起きてるんだ!」
「すまない、説明している暇はない!レーヴェ!」
ナイアが叫ぶと同時に、巨人の胸が開き、中からワイヤーの様なものが2本飛び出してきた
「それに捕まれ!」
「わかった!」
ナイアと二人でワイヤーを掴む
ワイヤーが巻き上げられて、俺たちは巨人の胸のなかに収納された
中にはコックピットの様な椅子と、レバーが2本、計器の様なものがあった
「時間がない!君、早くそこに座ってくれ!座ったらそのレバーを掴んでくれ!」
ナイアに言われるがまま、コックピットに腰を下ろし、レバーを掴む
『認証…ようこそ、管理者ナイア』
「レーヴェ、その人の認証登録を済ませてくれ!早く!」
『管理者からの命令を確認…認証します』
独特の機械音が響く
途端にレバーから不思議な感覚が伝わってきた
『認証確認しました。ようこそマスター』
レバーから届く不思議な感覚が全身に行き渡ると、前方に備え付けてあるモニターが映像を写しだした
そこには、全身を漆黒に塗り潰した騎士甲冑がこちらに刃をむけ、構えている映像が写し出されていた