表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼鉄の侍  作者: 武士朗
2/4

約束

「…あー、朝か」

目覚ましの音が鳴り響く中、なかなか覚醒しない頭をどうにか起こす


「新学期から遅刻とかねぇよなぁ…しょうがない」


部屋を出て、身支度を整えた俺はリビングに向かう

今日は高校生活二年目の記念すべき初日だ

…といっても、何があるわけでもないが


昔からアニメやゲームが好きだった俺は、高校生活に一種の憧れの様なものを抱いていた

美人の生徒会長とお近づきに!

もしくは美人な転校生と…

…とかね


でも、現実は甘くなかった

身近に幼馴染みはいるさ

でもな、昔から風呂に一緒に入ったり(流石に小学校に入ったら無くなったが)、一緒に遊んだりしてるうちに異性としての感情なんか消えてくる

中学時代は少しギクシャクしたもんだが、いまとなっちゃあ笑い話だ

とにかく、そう言う対象じゃなかった


高校に入ったら入ったでいたさ、可愛い女の子

でも大抵、そう言うのはもう予約済だったりして恋なんか出来なかった


と言うより、俺が好きになった女の子は必ず俺のものにならないって変なジンクスがあるように思える


初恋の女の子は親友の彼女だ

告白して、受け取った返事が

「ごめん…もう付き合ってるの…あなたの友達と」

次に好きになった女の子は先輩の彼女

次は男の娘(?!)で、女装癖のある奴だった


幼馴染み?あんなのは兄弟みたいなもんだ

世話を焼いてくれたし、感謝もしてるがそんな男女の関係を意識するほどじゃあない


まあ、そんなわけで現実の女の子を諦めた俺は、立派なオタクになった


最も、嫁なんてものは作ってない

画面の向こうから女の子なんて飛び出しては来ないんだからな

ネットではお熱をあげる奴がいて、頑張って二次元の世界に入ろうとしてる奴がいるみたいだが…


とにもかくにも俺の世界は平凡だった


運命の人とやらは迷子らしいし、空から降っても来ない

異能の力に目覚めてチートなんか出来やしない


それでも、今だから言える


そんな平穏な世界が、俺にとっては愛すべき世界だったんだろう、って


~~~~


「士朗!遅刻するぞ!早く準備しろ!」

「…わぁったわ、分かったから朝っぱらからでかい声出すな」


朝飯を食べてると、例の幼馴染みが急かしてくる

…まったく。モーニングコールなんざ頼んだ覚えねーぞ


「いつも悪いわねぇ、静樹ちゃん」

「いいえ、武田のおば様。日課のようなものですから」


この朝から体育会系の空気を出してる奴は、俺の幼馴染み、吉野静樹


剣道部のエースで、黒髪を一つに結った侍みたいな女だ

下手な男より男らしいし、一部だと王子様だの侍だのと呼ばれてるらしい

…実は王子様って呼ばれんの嫌ならしいが


昔は一緒に剣道をしていたが、オタクになってから俺は竹刀は握っていない

暑いし、臭いしな

ただ、剣道をやめても怠惰に生きることは許してくれないらしい


そんなわけで、この王子様は幼馴染みの役割を全うすべく、毎朝俺を起こしに来る

幼馴染みいて羨ましいと思うだろ?しかも女の子で見かけは凛々しい美人だ

しかし、このお節介とどうにも男らしいこの幼馴染みは俺のなかでは異性とは認識できない

だって俺より男らしいとかなぁ…


「早くしろ士朗、今日は新学期初日だろ。遅刻は歓迎されないぞ?」

「急かすな、まだ時間あるだろ。朝飯位ゆっくり食わせてくれよ」

「まったく、剣道をやめてから怠惰になったもんだ」


俺は元からこうだよ!


~~~~


通学路を静樹と二人で歩く

春とはいえ、まだ肌寒い


「そう言えば、クラス割はどうなっているだろうな」

「なんもないだろ、なるようにしかならねぇよ」

「つまらんな、私と一緒になりたくないのか?」

「いつもうるさい奴がいるより一人のがいい」

「可愛くないやつ」

「男に可愛らしさを求めるな。お前こそ女ならもう少しおしとやかになれよ」

「それは男女差別だ」

全く、いつも通りか

まぁ、こいつが人前で女らしくするとか考えらんねぇけど

「なにか変なことをかんがえてないか?」

心を読むな

「読んでない、お前は分かりやすい」

読んでるじゃねーか!


~~~~


「ん、なんか騒がしいな」

「何がだ?」

「いや、なんか大きな音が…あれは!」


見ると、暴走したトラックが猛スピードで歩道に突っ込んで…こっちに来る!?


「静樹!」

「しろ…うわっ!」

咄嗟に静樹を突き飛ばす

次の瞬間、目の前に現れたトラックが…


…なんだよ、ここで死ぬならよ、せめて運命の人とやらに会わせてからにしてくれよ


俺の視界が赤く染まると同時に、体を貫く痛み

宙に浮いたまま、何事もなく無事な静樹を見た俺は、微かに口角があがるのが分かった

ロボットが、でてきたそうにこちらを見ている


無視する

シカトする

かまってあげない←

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ