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ダンデライオン

作者: 穐亨

彼と会った人は、彼の印象について訊ねられるまでもなく、口々に「怖い」と言う。

確かに彼は、平均的な日本人男子に比べて体格が良い。太い眉と近い位置にある目は常に険しく、周囲を睨むような目付きだ。口数は少なく、常に口をへの字に引き結んでいる。

だが、と私は内心ほくそ笑む。

彼はけして、他者に対し厳しい性格ではない。たまに発する言葉は短いが、他人を気遣うものが多い。紅茶を淹れるのが上手で、自分用には、太い節ばった指で粉砂糖を足すのを忘れない。褒められようものなら口をますますへの字に固く結ぶから、まるで怒ってるかのように見えるが、目元がうっすら赤くなっている。冷え性で、指先に触れると冷たいことは、最近知ったことだが。

皆の彼への印象を変えるつもりなど、私には全くない。何故なら本当の彼のことなど、私が知っていれば充分だからだ。

また誰かが、こそこそと彼を「怖い」と言う。私はこっそりと微笑む。

彼が存外可愛いということなんて、誰も気づかなくて良い。

今朝来たメールの内容を思い出し、更に笑みを深くする。

さて。今夜はまた、どんな新たな彼を知ることができるだろうか。

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