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Twitter、はじめました  作者: シュールストレミングbotの中の人
3/3

Have a nice day!


それからほぼ毎日、俺はゆうりちゃんとTwitterで会話した。

とても充実していた。

「なあ利愛……

Twitterって、こんなに楽しいんだな…」

「そりゃツイ廃フラグだよ竜」

利愛のツッコミも今は何も思わない。

Because, I'm very very happy now.

そして、今日もゆうりちゃんと絡もうとTwitterを開いた。


『今警察から連絡があった…』

『お母さんが撥ねられたみたい…』

『どうしよう…』

『もうやだ…どうしてこうなるんだろ……』



ゆうりちゃんのつぶやきだった。

「竜どうしたの?なんかあった?」

白空が聞いてくる。

それを無視して、俺は立ち上がった。

ハンガーにかけてあったコートを着て、外に出ようとした。

「待って竜!どこに行くの!!?」

利愛が俺を叫んだ。

「どこって…ゆうりちゃんのとこに決まってるだろ!?

俺が励ましてやらないと…俺が…」

「…ゆうりちゃんの場所はわかるの?」

俺は動きを止めた。

分かるわけがない。

そんな話は一切していないのだから。

「竜…あのね、今この時代どれだけ離れていてもケータイ一つで連絡が取れるでしょ。

そのおかげで、いろんな人と交流するとこができるようになった。

でも、それはやっぱりネット上でしかない。それ以上にはならないの。

相手のことを知っているようで、全然知らないんだよ」

「竜がその…ゆうりさん?のとこに行きたいのは分かる。

俺も竜の立場なら飛んで行きたい。

でも、それは出来ないんだよ」

悔しさで唇を噛み締めた。

「なら…俺はどうすればいい…?」

消えいるような声で、俺は聞いた。

「竜、俺たちの得意分野を忘れたか?」

白空と利愛はお互い目を合わせてニヤッと笑った。







「よかったねぇぇ竜!ゆうりさん思ったより近くに住んでて!」

俺たちは走っていた。

あの後、俺はダメ元でゆうりちゃんに会いたい、と言ってみた。

すると、ゆうりちゃんはすんなりとオッケーしてくれたのだ。

ここから少し離れたところだけど、利愛と白空と情報関係の知り合いが車を出してくれるらしく、今俺たちはその知り合いのところへ向かっている。

「利愛、白空、ほんとにありがとう!」

「敬え敬え」

白空が威張る。

10分ほど走った後、知り合いの家に着いた。

「おう、利愛に白空。ご無沙汰だねえ」

「「こんにちはー!」」

元気に挨拶する二人。

「よっしゃ!早く乗った乗った!」

愛想のいいおじさんは、軽トラを出してきた。

………軽トラ?

「あれ、おじさん。軽トラじゃ4人乗れなくない?」

「お前みたいな察しのいいガキは嫌いだよ」

おじさんはたばこを吸いながら言った。

も、もしかして……





「いぇー!俺たちゃ荷物!!軽トラ系荷物男子だぜ!!」

「白空やめろ!俺らがお荷物みたいじゃないか!!」

「実際お荷物じゃん」

「そ、そうだけども…」

運転席と助手席にはおじさんと利愛が座り、俺と白空は後ろの荷物を運ぶ所に乗った。

「なあ竜。どうでもいいこと言っていい?」

「なんだ?」

白空は目を閉じ、手を胸の前で交差して言った。

「風が少し騒がしいですね。

それに今日の風…泣いていま「言わせねえよ!!?」

ほんとにどうでもよかった。

騒がしいどころか風をモロに受けてるから、もうメタル並みに荒ぶってるよ。

「よーしついたぜ!

じゃ、また迎えに来るぜ!」

そういうとおじさんは軽トラをUターンし、ものすごいスピードで帰って行った。

事故らないでね、おじさん。

「ゆうりちゃんはこの公園で待ってるはずなんだけど…あっ、いた!」

利愛がブランコの辺りを指差した。

そこには、茶髪でウェーブのかかった髪をした女の子がいた。

「あっ…もしかして、竜くん?」

女の子は近づいてきた。

「そう!俺、竜だよ!!」

やっぱりゆうりちゃんだった。

でもなぜだろう、どこかで見覚えがある。

「竜くん、本当に来てくれたんだね…嬉しい。

お母さんね、大事には至らなかったの。

一週間ほど入院すれば、よくなるって」

「ほんと!?よかった…」

「…竜くん!!?」

俺は、なぜか泣いていた。

それは、ゆうりちゃんのお母さんが無事だったから。

Twitter上じゃなくて、ちゃんと目を見て話ができたから。

そして

ゆうりちゃんに会えたから。


いろんな話をした後、俺はゆうりちゃんに別れを告げた。

彼女も色々と忙しいだろう。

合間を縫ってきてくれたのだ。

また会おうね、俺たちは指切りげんまんをした。






「ゆうりちゃんと会えてよかったね!」

利愛が言った。

「あぁ。ほんとに、ほんとにありがとう利愛、白空」

「たまには、こういうのも有りだよな」

白空が笑った。

「ところで…おじさん遅くない?」

俺は辺りを見渡す。

あの軽トラおじさんが迎えに来ない。

「あっ…おじさんなんだけど、実はタイヤがパンクしちゃったらしくて」

「「はあ!?」」

「私たちをここで降ろした後、すごい勢いで帰って行ったでしょ?

あの時に思いっきり尖った石踏んじゃったらしくて…」

「え、てことは、俺ら今から歩いて帰るの…」

「大丈夫!道は覚えてるよ!」

「そういう問題じゃねぇよ!!」

次の日、全身筋肉痛に悶え苦しんだのは言うまでもなかった。












さて、場所は代わり竜と利愛と白空が去った後の公園。

「…帰ったか?」

「大丈夫、もういないよ」

ジャングルジムの影から、人が出てきた。

「もう!りゅうさんなんでこんなことしたの!?」

そう言って出てきたのは、如月(きさらぎ)むつき。

竜の同級生である。

「いやあ、竜がTwitterはじめたっていうからちょっとからかってやろうと思って…

まさか会いに来るとは思わなかったよ、ははは…」

りゅうと呼ばれた男は、茶髪のウェーブのかかったウィッグを脱ぐ。

「ゆうり→りゆう→りゅう、か…。

さすがに竜も気づくと思ったんだけどなあ…」

卯月優(うづきゆう)が言う。

優も竜の同級生だ。

りゅうは優の兄にあたる。

「これでまた、りゅうさんに女装という黒歴史が刻まれたね」

「やめてくれ!!プライドがズタズタだよ!」

りゅうが叫ぶ。

「…現実にゆうりって女の子がいないって知ったら、竜どう思うだろうね………」

「今まで絡んで来た女の子が、実は友達の兄だったとか笑えねえ」

「ごめんなさいすぐにゆうりのアカウント消しますごめんなさい許して何でもします」



結局このままにしておくのはかわいそうに思った優は、竜に真実を伝えた。

それからしばらく、竜だけでなくみんなからネカマ女装野郎と呼ばれたりゅうなのであった。




今回は知り合いだったから良かったものの、ネット上の人とは容易に会わないようにしような!

もし危険な目にあったら、元も子もないぜ!

師走竜との約束だぞ!

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