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抜け殻
ぼくは気が付けば何者でも、なかった。
誰かに褒められる事も
誰かに蔑まされる事も
どちらも、ぼくには苦痛でしかなく
ぼくはどちらにも慣れない道化
いつしか ぼくはその道化さえも苦痛に感じるようになった
道化はぼくの何にもなれないぼくの象徴になり
ぼくは道化を軽蔑し
終にぼくは、道化を殺した
ぼくは、道化を潰した
ぼくは、道化を捨てた
そして ぼくは“僕”になるはずだった
でもぼくは何にもなれなかった
何も無かった
何も残りはしなかった
ぼくはカラッポだった
何もかも無くなってぼくはたった一つの
ぼくの殻の事を想った
たった一つのぼくの殻は何処を探しても
今はもう無い……
ぼくが、殺したから
ぼくが、潰したから
ぼくが、捨てたから
あんなにも一緒の時を過ごしたぼくの殻を
いくら惜しんでも もう遅い
ぼくは何にもなれないもどかしさを痛烈に感じながら
此からもぼくでい続ける
ぼくの寄り処だった
ぼくの道化を想いながら




