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新たなる出会い


頼人はユエを見つけることが出来るのか?


街灯が所々に灯る町の入り口へとたどり着いた。


「えーっと、sweettimeは…」


頼人は急ぎ足で辺りを見回しながら町へと入った。

「何か探し中?」


頼人が町へと入ってからすぐにまだ幼い少女が頼人に声をかけてきた。



「あ、sweettimeって店を探してるんだけど…知ってるか?」


「sweettime?」


少女はその店名を聞いて頼人を観察した。


「なんでsweettimeを探してるの?」


頼人は怪しげに見てくる少女に戸惑いながらも正直に答えた。


「ユエって人を呼んでと言われたからだが…」


「……!ひょっとして、貴方は頼人さん?」


少女が驚いた様子で呟いた。


「そ、そうだけど…」


頼人は戸惑いながらも少女の問いに返す。


「頼人さんだったのね。私…私がユエだよ」


少女ーユエはそう言って頼人を見た。


「ユエ…て、え?えぇ?」


探していた人物が幼いことに驚いた頼人は複雑そうな表情をした。


「真里は…?」


ユエは頼人と一緒に来る予定だった少女の名前を出して問う。


頼人は何と答えていいのか、戸惑いながらも口を開いた。



「それが……、来る途中で何かに襲われて」


ユエは平然とした表情で町の外へと視線を向けた。


「そうなんだ…先に頼人さんを案内するね。sweettimeへ」


ユエに手を引かれて頼人は足を踏み出した。



「あ、おいっ!羽葉さんは良いのかよ?仲間なんだろう?」


頼人は平然として案内しようとするユエに対して尋ねた。


ユエは頼人の手を引いてsweettimeに向かいながら、強い眼差しで頼人を見た。


「真里は大丈夫。貴方を先に保護しないと!」


頼人はユエの強い眼差しに思いを悟ったのかユエの後に続いた。



暫く歩くと、ぼんやりとした明かりが灯るsweettimeと描かれている看板が見えた。



「彼処が私達の今の住み処なんだよ」


ユエは頼人の方に視線を一瞬だけ寄越して、看板を指差した。


頼人はぼんやりとその看板を見つめた。



「先に行っておくね!真里と私以外にはこの店の店長さんが居るんだけど…その人は仲間とは違うの、ただお世話になってるだけだから余計なこと言ったりしたりしないでね!」


ユエは語尾を強めにして淡々と告げた。


頼人は少し驚いた様子でユエを見た。


ユエは前を見据えたまま、頼人の様子を感じとったのか複雑そうな顔をした。



店の裏側に回り、裏口から店へと入る。


ユエは頼人が店に入り、ドアを閉めると頼人に向き合った。


「ようこそ、sweettimeへ!頼人さんには地下室に居て貰うね」


ユエは明るくそう言って、頼人の返事を待たずに腕を引っ張り歩き出した。


「は?ちょ、地下室!?」



頼人の悲鳴じみた声が廊下に響いたが、ユエは気にせずに歩みを進める。

早足で進んでいると、突然、ユエが立ち止まった。


「どうしたんだ?」


「ついたよ、地下室の入り口に」


頼人は床を見下ろしたが、何の変てつもない廊下の床だった。


ユエはその場にしゃがみこみ、片手を床につけて軽く押した。


カチッ


小さな音がなった…と同時に先程まで床だった場所がユエの触れたすぐ近くからスライドされて階段が姿を表した。



「なっ?!」


頼人は驚いて後ろへ後退りした。


ユエは頼人の驚いた姿を見て笑った。


「アハハッ!吃驚した?した?」


ユエは楽し気に笑いながら、頼人に階段を降りるようにたもす。



「あ、あぁ」


戸惑いながらも、頼人は地下室へと続く階段を降りて行った。


ユエは地下室に入るつもりはないらしく少し大きな声で言った。


「どの部屋でも寛いでていいけど、あんまり動き回らないでね!私は真里を探しに行って来るから!」


「あぁ、分かったよ」


頼人の少し大きめな声が返ってくると、ユエは地下室の扉を閉じた。


カチッ



そして、ユエは来た道を戻っていった。


カツンカツンッ


階段を降りてすぐは、廊下になっていた。


頼人は部屋に繋がるドアを探すために一直線にのびる廊下を歩いて行く。

幸い蛍光灯がついているために視界は思っていたよりも明るかった。


カツンカツンッ



「…どこに部屋があるんだ?」


頼人はそう呟きながら辺りを見回すと、1つのドアを見つけた。


「失礼しまーす」


小さくコンコンとドアを叩いて開けた。



開いたドアの先には、広々としたリビングルームの様な部屋だった。


ソファにテーブル、観葉植物、テレビ、本棚、棚、収納箱、タンス、簡易キッチン等があった。



「ここで待ってればいいのか?」

頼人は部屋へと入り、電機をつけて明るくし、部屋を見渡す。


中央らへんにあるソファに腰を下ろした。



「はぁ、一体これからどうなるんだ?」



頼人はぼんやりと天井を仰ぎ見てソファに寝転んだ。



「なんで、」


頼人は憂鬱そうに声を発した。


しかし、その声に返答は返って来ない。



「…あの子どうなったんだろう?」


自分を助けるために、留まった少女を思い出して額に腕を軽くのせた。




頼人の思考は段々とぼんやりとして、意識を飛ばした。



それは、一時の休息だった…。


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