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Blood of Dragon  作者: 居反り
第1章
3/32

第3話

■不定形生物■

結構余裕ないです。


腹腔内に入れた体の大半を戻し、止血と輸血に集中しつつ、どうやって傷口を塞ぐか思案中。

元の世界だと完全に針と糸で縫合コースですよ?

どっちも無い、というかそもそも道具を使えると思えないので却下。

取り込んである剣やら革鎧やらでどうにか作れそうではあるけど、縫合に使えるぐらいの物をつくる自信なんてないです。


残る手段は、取り込んで排出するときに元に戻せるか?


んー

できるかなー

できるといいなー

というかできなきゃずっと張り付いたままになるよなー

張り付いたままってのは色々まずいよな。

いや、もうすでに二人もぷるぷるを仲間にしてることだし、ここはもう一人ぷるぷる仲間を増えても。


妄想はおいとかねば。


傷口を引っ張りつつちょっと吸収しつつ、端っこから排出して再生。


再生っ。


んー


怖いからほんのちょっと、たぶん顕微鏡レベル?

そんなコントロールできてたか知らないけど、とにかくほんんおちょっと過ぎてよくわからん

1cm、いや5mmぐらいからがんばってみないと。


んーと引っ張りつつ吸収しつつ再生かける。

皮膚とかはいいけど、腹膜はよくわからんからがんばって引っ張って強引にくっつける。

たぶん大丈夫なはず、きっと。

腹筋とかどうなってんだろ?

変にくっつけていいものかなぁ?

さっくり切れてるし筋やら距離やらはかりつつ慎重にいきますか。


引っ張り、吸収、再生

引っ張り、吸収、再生

引っ張り、吸収、再生


皮膚はなんとなくコツつかんだっ、傷跡だって残しませんよ。

肉、というか筋肉はいけるか?

筋が切れてたら縮んでるはずだからそのあたりも考えて。

切り口全面おおっているんだから全体把握をがんばって引き攣れがないようにしないと。


***


■女戦士■

相変わらず右手は壁に杭でとめられたままのようだ。

そして切り裂かれた腹の上にぴんくのぷるぷるした物体、戦士としては無駄にデカイ胸肉ごしでも、その盛り上がったぷるぷるしたものは見える。

というか結構でかいな。


光は、松明はまだ左手に持ってるが、あの結界かけられたときは持っているのがやっとだったけど、なんとかまだ持ったままでいられてる。


えらいぞ私。


左手から腹全体に乗っかられてるけど、手首は動くようだ。

少し動かしてよく見えるようにする。

スライムにしてはなんというか。


なんだろう?


あいつらって全体がもっとこう粘液まみれで、張り付いたらどこでもその粘液で溶かして、さらに包んでとかして吸収してしまうような厄介者だったはず。

オマケに切ったら増えるし叩いても包んで溶かすしで、効果的なのは魔法や焼却というめんどくささ。

それと比べると、ピンクで透明っぽくてツヤツヤでぷるぷるで。

一生懸命おおいかぶさってるけど、きっとふだんはまんまるなんだろう、スライムみたいにべちゃーとぐでーっとひろがってないはず、きっとそう。

それにさっきから頭に響いてるのはなんだろう?

『ぷるぷる仲間』だとか『もう一人ぷるぷる仲間を』とか。

今はひたすら、『引っ張り、吸収、再生』を繰り返している。


腹の切り口の感覚は無い。

右手も感覚がなくなっているけどこれはきっと別だ。

ゆっくり捕食する生物は麻痺毒でおとなしくさせるとか聞いたことがある。

この子(スライム?)がやっているのも似たことなのかもしれない、でも食べるつもりなら、『引っ張り、吸収、再生』の再生はないはず。

どっちみち動けないし終わるまでじっと見ている。


***


■女戦士■

目が合いました。


縫合というか吸収再生も後半はずいぶんスピードアップ、そもそも時間なさそうだったしね。

で、おわって一息ついて顔?あげたらそれはもうばっちりと。

「おはようございます?」挨拶はだいじよね、疑問文だけど。




『つぶらな目に猫みたいな口ついてるししゃべったぁぁぁぁぁっ』

いや、ちょっと待て。

こんなスライム見たこと無い、というかスライムじゃない。

何だこれ、というかこの子。

うん。

あいかわらずがんばって左手もおさえてるけど、ぷるぷるしてるしそんなに強くないし、なんとなくかわいい。

「おはよう、そしてありがとう?」とりあえず返してみる、疑問文で。




■不定形生物■

えー、ファーストコンタクト成功?

コミュニケーションか?

いやまぁどうでもいいか、このまま続けていい方向に持っていきたいっ。

ぷるぷる二つの持ち主とは特に友好関係をっ。

まじまじと見詰め合ってるけど結構キレイさんですしっ。

少し抜けた感じの茶黒?っぽい髪色でショートだけど美人さんですよ?

お腹の中がっつリまさぐったからわかるけど体脂肪率低めで筋肉質だけど、ムキムキじゃなくて案外ふにっと肉のってるうえにぷるぷるですよ?


妄想は置いといて。


「えー、現状認識大丈夫ですか?

邪魔だったので周りの杭処理して、お腹の傷塞いで見たけど変な感じとかないですか?」

右手がまだなのとか左手込みでマウントポジションとってるつもりだとかそんなのはおいといて

「どうみても誰かに何かされちゃってるっぽいのでがんばって助けて見てる途中です

一生懸命すぎて時間がどれだけ過ぎたかよくわからんのですよ?」

と、行動と懸念を表明してみる。

「音がしなくなってるのでその誰か、あるいは何かをいそいで確認しなきゃダメだとおもいます」

そして肝心の確認を「おねーさんはボクと敵対しますか?」




■女戦士■

いきなりだけどそれなりに筋は通ってるかな?

この子はそもそも何?何者?というのはあるけど、どうやら切られた傷をふさいでくれたらしいこと、それ以上に驚くのはあの結界を解除しちゃってること(こっちのほうが軽くあつかってるのも驚き)

さらに、音がしなくなったので何かしら準備せねばならないことも理解してる様子。

かなり賢くないか?

なので「敵対はしない、仲間が二人奥に連れて行かれてる

そこでどうやらドラゴンとやりあってたらしい、仲間は逃げられないようにして無理やり補助させられてる」端的に返してみる。




■不定形生物■

ドラゴンですと?

おねーさんの発言にピンポイントで反応せざる得ませんよ、いきなりラスボス?

というかドラゴンも厄介だけど仲間の二人もどうにかしないとダメなんだろうな、おねーさんげっとの為には。

「敵対しない、ということでじかんもないので右手の処理がんばりますよ

手短に仲間のこととかの情報おしえて?」

うん、逃げられる気がしないというか抱えて逃げてもらいたいのもあるしね、さっき移動したのもしんどかったし、なんというか慣れ?

そういうのがまったくないから勝手がわからないのよね。




■女戦士■

この子ってばほんと賢いし話が早い。

時間無いけど右手を処置しないとどうにもできないしね、なので私たちのこと、私たちが騙されたことを簡単に。

そして助けたいのは女二人、魔法使いと神官だと、他の男はどうでもいい、というか厄介なので死んでてほしいこと。

それぞれの特徴、得意そうなことなども含めて話す。


実際やることみて驚いたけど、杭の処理は一瞬だった。

右手首ごとくるんで気が付いたら抜けてたというか杭がなくなってるというありえなさ、この子は手のひらに空いた穴に集中してるようで黙ってるけど。

またなんとなく頭の中に『引っ張っても骨が』とか『骨そのものだと生産しちゃってもいけるかな』とか、とりあえず意識しない方がよさそうな。


コホン


「えーっと、治療してもらいながら動いても大丈夫かな、手のひらだしお腹で押さえてたら動かないと思うし」あと、これは言うかどうか迷ったけど「引っ張っても骨が、とかは声にだしてない よね?」




■不定形生物■

おねーさんの発言はいろいろ驚きすぎでどうでもよくなりつつありますね。

「だしてないですよー、いろいろかんがえてますよー」

『骨の変わりに鉄はまずいよねー、だとするとアレつかうけどカルシウムだしOKかな』

とおねーさんに言って、こっそり思ってみた。




■女戦士■

「鉄はさすがに、いやだいじょうぶかも知れないけどなんかヤダ。アレってのも何?かわかんないけど時間ないしなんとかして。あと心の中?思考?なんかつながってる気がする」

『賢いしカワイイしお役立ちじゃない!』

なんか二重で伝わってるのって変だけど真似してみた、この子に通じたかな?



■不定形生物・女戦士■

「「……」」




■不定形生物■

よくわからないけど心の中で繋がった?

傷口で接触してるから、というか神経っぽいもの覆って痛み止めとかして見てるのの影響?

いやもうわからんし、今それはどうでもいいので『とにかくなおす、こっそり確認して考える』

と意識しておねーさんに思考を送ってみる。




■女戦士■

『治療任せた、移動は任せて』

この子とは意外と息あうかもね?

極限状態だからかしら、洞窟の奥に目をやると、そっちのほうがはるかに明るい

というか外から日がさしてるような感じ。

なので松明は持ったまま、右手でこのこを抱え込んで急いで、でも音とか立てないように。

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