第21話
■ハガネ■
「大事なこと、それはこの子の名前です」
ごはんの後サマサさんのヒザの上で丸まってる子犬をゆび指す、というかなんとなくぷにっと指す。子犬の方もわかったのかわかんないのかしらないけどピクッてしてますね。
軽い話になって気が楽になったのか早速アルケさんが反応。
■アルケ■
ハガネがいうのはもっともだ、うん。
「親がいるならともかく、こんなかわいいのに置いていくわけないじゃない」
なんていうか落ち着いたら現実というか事後処理がなんかめんどくさいことなりそうでそっちで悩んでたけどね。しかし名前か、どうつけたものかしら?
「たしか女の子よね?」
サマサに確認.。
■サマサ■
「女の子ですよ」
アルケさんに答えつつ名前を考えてみる。黒犬だからクロ?
こういうのは単純で呼びやすいのがいいのよね、でもクロって単純すぎるわね、男の子っぽくもあるし。膝の上で丸まってますけど尻尾ふってるわね、聞いてる?
耳ぴくってしたっ。てことは聞いてるわね、期待されてるとなるといい名前付けてやりたいわね。
「かわいい名前は今だけになりそうね、かっこいい名前?」
かっこいい、でアルケさんでなしにクルスに目が行くのは何でだろう、違和感ないけど。
■アルケ■
かっこいいとかいいながらこっち見られても困る、サマサの目があついのも気のせい?
さて、一緒に行動するとなると名前がほしいのは当然。問題はこの子が犬といえるままかどうかなんだがどうなんだろうな?
犬なのか狼なのか、それとも他に変わるのかはともかく足見るとかなり大きくなりそうだしあんまりかわいいの付けて後で困るのもね。お約束的にはアリかもしれないけど。
「いい名前かぁ、改めて考えると難しいね」
そういえばハガネって大きくなったりするのかな?
■ハガネ■
子犬は聞こえてるのを隠すそぶりなく首持ち上げて見回してますね、しっぽ振りまくってるのでみえみえですよ。
「アスタルト」
記憶の彼方から心の叫び的に湧き上がってきましたよ?
ここは一度は犬なのにタマ、いっそネコ、もっと素直にイヌと名づけようとするベタでつまらない展開を挟むとかキリンさんとゾウさんだとどっちが好きなどと意味不明の捻りで自滅するだとかそういうのいっさいなしにストレートに来ましたよ。
採用されるかわかりませんがーって子犬が跳ね起きて飛び掛ってきてます。わしゃわしゃ抱え込まれてというか頬擦りですか?頬擦りなのですか?なんかもみくちゃです。
■アルケ■
凄い反応ね、というかこれで決まりでいいのか。愛称で反応してくれると楽だけど。
アスター?タルト?このへんかな?
「アスタルト、アスターでいい?よろしくね」
とりあえず呼びかけながら頭なでてやる。
■サマサ■
アルケさんにくしゃくしゃにされてます、しっぽぶんぶんですわね。
「アスター よろしくですわ」
手を広げてよんでみると膝の上に飛び乗ってきた。だっこしてやると伸び上がってぺろぺろされまくる。
■クルス■
いやもう興奮しまくってるね、存在のありようとしてそういうものでいいのかとも思うけど犬の器に在るんだから犬でいいのか。サマサに抱き上げられて腹さらしてるとか無防備すぎるし。
「よろしく、アスター」
鼻先に手をだして呼びかけてそのままぐわしっと頭掴んでぐりぐりしてやる。
***
■サマサ■
ご飯も食べたしアスターも元気だしで私たちもお風呂行きましょうか。
「アスターも来る?」
わかってるのか知らないけどしっぽ振って付いてきてます。ハガネもなんとなく抱え上げて連れて行きますよ。クルスさんも誘ってみます、アルケさんの背中流しただけで入ってないみたいでしたし。
イスも桶も既にあるわね、とりあえずアスター洗ってみましょうか。湯船のすぐ横でイスに腰掛けて呼んでみる。どうでもいいですけどこのイスえらく低いです。なんというか、閉じにくいというか、気が付くとくっぱり膝ひらいちゃててはしたない気がしますね。
呼ばれたアスターは膝のまえで座ってます、湯船から汲んだ桶のお湯くんくんしてますね。木の香りにつられてる?
手に少しとってそのままかけながらなでて様子み、何度か繰り返して大丈夫そうなので今度は桶のお湯をそーっとかけ流してみる。
うん、大丈夫そうですね
全身わしゃわしゃしてやりながらお湯でながすとじーっとしてますが流し終わるとぶるぶるっって跳ね飛ばしますか、っていうかかかりまくってますよ。これ裸だからいいけど服着てるときやられたらたいへんですねーって、なんかじゃれ付いてきてますね。膝に乗ろうとっていうかくぱぁしちゃってますから股のあいだにはまりこんでます。はいそこあんまりうごかないって動かれると濡れてる毛がフトモモの間でわしゃわしゃで、って何ぺろぺろしてますか内フトモモとかきけんですよやめなさいって。
「それ以上はだめー」
おもわず抱き上げて湯船にダイブさせてしまいましたわ。クルスさんとハガネがガン見してますね。
何?
ほほえましかったと?
クルスとハガネはまだ浸かっている様なのでアスターと先に出る。先に服着てから拭いてやろうとしたら盛大にぶるぶるされて飛沫まみれです。ついさっき気が付いてたのに忘れてたわ。そういうのは服着てる間にやっておきなさいとしかっておきました、躾はだいじですよ。
怒ってばかりでもしかたないのでだっこしてかまどの前へ、アルケさん寝ちゃってますね。カップのお茶とかもひっくり返ってますしどうしようもないです。毛布だしてなんとかその上に寝かせますけど糞ほどおもたいですねこの人、まったくもうシャンとしてる時はかっこいいのに、なんてだらしない姿ですか。
服の前はだけて胸はともかく下は全開ですか?裾なおして毛布も浮いてって抱え込まれましたよ?
頭がお腹の上だからまだいいですがもう少し下だとちょっと危ないです。めんどくさいしこのまま寝ちゃいましょうか
「アスター おいでっ」
アスターも呼んでいっしょにくるまることにします。
***
■クルス■
いやもうサマサとアスターのじゃれっぷりは眼福です。屈んで洗ってやってるからふたつのぷよんぷよんがぶらんぶらんで。アスターも目で追いかけてるっぽいね。
犬のとは形状違いすぎると思うんだけど、どっちかっていうと牛だし。
ていうかだんだんヒザがくっぱりで奥が見えます、これ以上は女から見てもさすがに目のやり場に困ります。なんかハガネがうらやましそうな目で見てますね。こっちはわたしがやりますか。
ぎゅむっとつかんで押さえつけてお湯をばしゃーっとかけてやりましたよ、つるつるぷにぷになので綺麗さっぱり流れていってますが。
んー、しゃがんだまま抱え込んで乗っかってみる。ちょっと小さすぎ。もうふたまわり大きいとのっかってぷよぷよできそうなんですけど。
■ハガネ■
サマサさんに目を奪われるというか目の前で繰り広げられるへぶんな光景を堪能してると後ろからぎゅむってされて連れてかれましたよ。クルスさんの目の前に引きずられてますってクルスさんしゃがんでるからナニがぷっくりがくぱぁはしてない一本筋の頂点にぷっくりお豆がって目の前30cmはちょっとまずいきけんです。あいかわらずたつものがないヘブンな地獄が再来ですかってお湯ぶっかけられたとおもったら乗っかってきましたか密着ですかふにがふにでぷにぷにでって上ではずまないでくださいいやもっともっと。
へびーですね。
湯船の中に入れてもらって開放されましたがへびーです。
あぁ、目の前にサマサさんのぷにぷにがたゆたゆしてますがもうおなかいっぱいです。
***
■クルス■
サマサとアスターが先に上がった後は妙に静かな物だ。さっきまでアスターにじゃれ付かれながらサマサにじゃれ付いてたハガネも微妙な沈み具合というか浮き具合で漂ってる。
ちょうどいい機会かな。
「ハガネ、ちょっといいかな?」