第11話
■アルケ■
いや、なんかね.
このぱちっていうのとかぱちんっていうのの感覚って楽しいよね?
なんかクルスとサマサは向こうにいっったみたいだけどひたすらやってます.
ぱちっ
ぱちん
ぱちっ
ぱちん
■ハガネ■
「アルケさんいいかなー? こっちきてナイフ抜いてこれ試しに切ってみてー」
■アルケ■
ハガネにおよばれしましたよ。
ぱちっ
もう私のものだしいつでもできるしね。
またなんか変なもの出してるね、技術がどーとか意識がーとかわかってんのかしら? 釘さすのは後でいいかな、何が違うのかなんてまだ分かってないかもしれないし。って試し切りね、その薄いの切ればいいと。
「なんじゃこりゃぁーーーーー」
どこのおっさんですか?ていう目でクルスが見てる。サマサもジト目だわ。
「いいからこれ見なさい」
とかいいながら興奮のあまりぶんまわす。ハガネがぷるぷるしながら後ずさってますよ?
■サマサ■
「うぉーたー」
ばさー
■アルケ■
水ぶっかけられました。
サマサですか?
いきなり頭から水とか酷くないですか?
■サマサ■
「ふりーず」
かき-ん
■アルケ■
ちょっとやめなさいやめてください、濡らしておいて氷結とかしゃれなりませんよ。
■サマサ■
「頭ひえまして?」
■アルケ■
いや冷えるどころじゃないです冷えすぎです凍りますよ。木の台にサクッっとナイフ突き立てかまどへ解凍というかあったまりに。
■ハガネ■
さくっと刀身全部、根元まで木に刺さっちゃってます、ナイフ、振り回しちゃダメですよ?
そういやアルケさんの右手、正確には右手首だけどドラゴン混じってるから力とか半端ないのかも。試し切りはクルスさんにお願いした方がよかったかな。
クルスさんは騒動終わったと見たのか”ドラゴンのウロコの板”に戻ってますね。なんか光ってるけどまたなにかしてるのかな?
サマーサさんの方はー、紙をおそるおそる撫でたりめくってますね? 紙とか珍しいのかな?
本の虫みたいな発言あったからそれなりにあるとはふんだんだけど。羊皮紙だけってことはないだろうしパピルスのレベルでもないと思ったんだけど。
白っぽいいのが珍しかったかな? 木の繊維モコモコにして石粉まぜて押し固めただけようなものなのでけっこうもっさりしてる。牛乳パックふやかして作る紙みたいなので、漂白したわけじゃないから薄いベージュぐらいの色、できるだけコピー用紙っぽくがんばっては見たけど。
隠すつもりだけどボロ出るぐらいなら出しておいて隠してもらおう。に方針切り替えてます、さっきぶっちゃけた時に決めました。街まで時間ありそうだしその間にいろいろ見せたり感想聞いてすり合わせとこう。こっちのことよく知ってる方が隠すのに都合いいだろうし。
ぶれぶれですね?
あとはなー。
この世界知らないままで一人でどうにかなるとは思えないし。お世話になること確定だし装備とか充実してもらった方がよさそうだからちょっと凄いもの作る予定だし。
最も優先順位はアルケさんの服だけどね。そのアルケさんは毛布引っ張り出してくるまってますね、寝るのかな? クルスさんも準備してますね。
「サマーサさん? みんな寝る準備してますよ」
■サマサ■
「サマサでいいわよ、皆そうよんでるでしょ? それにしても、常識の差でいいのかしら言葉の端々に突っ込みいれたくて仕方なかったわ。半分分からない言葉だったのだけど、それでもなんとなくわかるような、こういうのもどかしいわ」
■ハガネ■
「サマサさん、なんていうかなー。ボクの方は魔法がない世界の記憶っていったけどゴブリンもいないしドラゴンだっていない、精霊も神さまも、存在を証明されてない、そういうのは全部宗教だとかおとぎ話の中のこと」
「剣や槍とか盾、重装備の鎧とかはまったくないわけじゃないけど、なんていうかな、そのまま残ってるものは伝統工芸の装飾が多いというか。そういうのはずいぶん違う物になってるというか」
盾にかんしては機動隊とか使ってるし鎧も防弾チョッキあたりが該当しなくはないかなー。槍と盾の発展した先は戦車っていうほうがいいのかもしんないけどこっちの世界だと重装備しても魔法陣組み込んで負荷軽減とかしてるみたいなんだけどね。少なくとも障壁? バリヤー? そういうのもあるみたいだし。
その辺まだ把握してないのでよくわかんないけど。
■サマサ■
「そういえば数百年分は差があるとか言ってたわね。それだけの間進化し続けたもの、それを知ってるだけでずいぶん違うでしょうね」
「そう、魔法はほとんど進化してないといっていいかしら。研究してる人はいっぱいいるけど、公開する人はほとんどいないしね。国の研究機関だとその中では公開されたりはあるけど、それが外に出ることはまずないわ。昔はあったのがわかってるけど、使える人がいなくなってる魔法もあるし」
私も寝る準備、毛布を引っ張り出してアルケの隣でクルスの反対側へ。ハガネも連れてきて間に挟んで横になる。
■ハガネ■
「サマサさん、見張りとかいいの?」
■サマサ■
「この地でなら精霊が私かクルスを起こしてくれるわ。あと、あれもあるし」
まだぼんやり輝いてる”ドラゴンのウロコの板”を指差す。あのあと魔法使った様子はないからファイアボール6個分でまだ光ってるってことかな。明かりにはちょっと不足だけど、魔よけになるそうだし大丈夫。
「不安?」
■ハガネ■
「一人だとそうだったっかも、いまはとってもあんしん」
不安がないというより寂しくないんです。いろいろ出してみて気味悪がられてないってのもあるしね。
「さっき、紙をなんかいろいろ撫でてたけど、木の台の上にあってナイフで縫いとめられちゃったやつ」
■サマサ■
「あぁ、あれやっぱり紙でいいのよね、ずいぶん白くて薄かったから。ちなみに、紙はちゃんとあるわ。いろいろ作るのはいいけど街をゆっくり案内してからの方がいいかもしれないわね」
■ハガネ■
「やっぱりそうだよね。一応アルケさんの服はどうにかするつもり。えっと、穴空いてるのとは別にもう一枚? これはデザインとかどうなのかなーってのがあるけどとりあえず作ってみるつもり」
「あと武器とかちょっとだけ。クルスさんの剣とアルケさんに渡したナイフだけでいいのなら作らないかも。でも思いついてるものあるから作ってみる」
■サマサ■
「この森のなかならいらないでしょうね。その後は普通に竜も魔物もでる可能性あるところ通るからあった方がいいかもしれないわ。アルケがもともと着てた革鎧とかなくなってるし」
ここでいう竜は大型爬虫類のこと、まったくただの野生動物の範疇。厄介なことに肉食種以外でも攻撃力や防御力が飛びぬけているので面倒なのであいたくない。
「いろいろ聞きたいことだらけだけど、もう寝ましょうか。おやすみなさい」
***
■ハガネ■
おやすみなさいはしたものの眠くはないのよね。なので思いついてるものを作る準備しておこうとおもいますよ。
まずは革鎧の山の整理。
取り込むときに革鎧っぽいものだけをひとまとめにしたかたまり。くっついてはいないし臭そうなものとか全部分離。この中にアルケさんのも混ざってると思うんだけどよくわかりません
パーツでバラバラにしちゃってるし。
いっそのことキレイな革として生成しなおしたほうがいいかな? 革紐だとかベルトもいくつかとりわけて留め金とかも適当に黒鋼から作っておく。
次に布とか紐っぽいもの。
大量に回収した死体だとかが着てたものとかねー。
剣士とかの服も再利用するよー。
血のりだとか汗シミ垢とか汚れは分離できるしね。クリーニング店したら大もうけできそうじゃない? 遺品というけど物がないんだからもったいない精神で服や布をそのまま再生でなしに繊維にして織りなおしをイメージしたほうがいいか。カーボンとかウロコの糸も混ぜたの作っておこう。素材はとりあえずこんなものかな?
作品一つ目、ウェストポーチ。
ボクがすっぽり入れる大きさの物。この先、馬で移動とか絶対あるしどうやって乗るかわからないしね。歩きの移動でも街中だと踏まれたりするんじゃないかな? するよね? ってことで絶対作るつもりだったし。
作品二つ目、小型ショベル。
短剣をナイフにしちゃったからってのもあるんだけど、よくある短剣の使い方で穴掘りとかあると思うのよね。短剣作り直すのもいいんだけど穴掘りは専用の物のほうがやりやすいしね。
折りたたみとかはなしで頑丈にしておく。
作品三つ目、紙いろいろ。
木とか草もいろいろ取り込んでたのでそれぞれで試してみた。ドラゴンの巣大掃除で大量にあるのよね。樹皮やら葉っぱで作ったのは香りがいいみたいなのでアレに使えるかな? 香りがいいのは煮たりアルカリ処理しないことの副産物?
作品四つ目、革鎧。
一応革ジャケットっぽいのがあったから脇繰り広げて余裕もたせて胴まわりはベルトで絞めれるようにして金属プレート固定したのを作ってみた。
いろいろ整理しながら作ってみたりしてるけど既にとんでもない量取り込んでるのよね。ドラゴンンの巣にあった倒木がいっぱいとか、なんか岩盤ごっそり何トンあるのとか意識しないようにしてるけど生肉いろいろとかー。
なんだろーね。
めんどくさいから寝ちゃていいかな。