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君のツバサ  作者: 水無月
第一章
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プロローグ

気がついた時には、闇しかなかった。

いつのまにかいた、この場所。

そこに、終わりがあるのか知らなかった。

ただ、時が過ぎていくことだけは確かだった。


自分が何をしているのか、わからなかった。

いや、考えようとしなかった。

理解してしまったら、きっと心が壊れてしまう。

だが、何も考えず、何も感じないこの心は守る価値があるのだろうか?

一筋の光りも見えないこの世界で、何故自分は存在するのか。

生きている意味はあるのだろうか。

死なないのはただ、生物の本能なのかもしれない。


あるいは、こんな自分にも、まだ希望というものが残っているのか…。

崩れかけた心で、自分は何を願っているのだろう。


何を求めているのだろう……。


無意識に、何かを求めて差し出した手は

悲しく宙を掴むだけだった…。




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