表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生特典で動物の心の声が聞こえる能力を授かりました ……え?神様っ!それは望んでませーん!!  作者: 春待瑞花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/11

10

 夕食後、応接室に本日演習に出た学生全員が集められた。

 騎士団長が全員に着席を指示し、騎士科の4人と向かい合わせになる位置でオーウェン様とランデル様とともに長椅子に腰掛けた。


「騎士達から今日の件についての報告を受け、すぐにロックウェル嬢の能力について、軍の上層部と協議を行なった。

 結論として、卒業後はロックウェル嬢は騎士団に所属してもらう事となった。

 つまり、今の時点ではロックウェル嬢の能力については秘匿案件となるという事だ。騎士団とギルバート医師以外には開示されない。

 精霊の愛し子である可能性は否定出来ないが、本人と精霊が教会への申し出を望んでいない事から、敢えて教会へ通達する必要はないと判断した。

 ロックウェル嬢の望みは、卒業後、騎士団の獣医師の元で叶えてもらう事となる。

 君達は、口外しない、という事を約束出来るか?書面は用意しないが、口外しないという事を宣誓して欲しい」

 騎士団長が、オーウェン様とランデル様を見据えて言った。


「はい。宣誓します。本日聞いたロックウェル嬢の能力については、決して口外いたしません」


「宣誓します。ロックウェル嬢と精霊の件について、口にする事はいたしません」


 二人は、緊張した面持ちで騎士団長に向かってハッキリと告げた。


「よし。頼んだぞ。

 遠征中の演習はこれまで通り行う。引き続きギルバート医師の元、魔力制御を学ぶように。

 では、二人は退出してくれ」


 退出を促された二人は立ち上がり、一礼した後速やかに退出した。



「ここからは、軍の上層部が抱えている問題について話す。君達に話すのは、ロックウェル嬢とともにこの問題に向き合って欲しいからだ。


 ……北にある森にワイバーンが多く生息している事は知っているな。今年はワイバーンの数が増えたせいなのか、数匹が森から出て、近くの町の家畜を襲う事が続いた。

 ある日、馬小屋から亡くなった馬を吊り上げて外に出そうと、小屋の屋根を全て外した屋敷があったんだが、馬の搬出が終わった翌々日に厩務員が小屋に出向いたところ、中型のワイバーンが1匹そこで寝ていた。

 厩務員は慌てて騎士達に報告に出向き、すぐに屋敷の騎士達と魔術師は寝ているワイバーンに冷却術をかけた。そして動けなくした後に斬って亡き者にした。

 亡くなったワイバーンの近くには卵があった。おそらく母親であったワイバーンは、馬小屋で卵を孵化させようと思ったんだろうな。

 ワイバーンの卵をどうするか……北の騎士団長は軍の上層部に相談した。

 ……今その卵は、王都の軍の小屋で冷えないよう管理されている。孵化する様子はまだみられない。

 軍の上層部は、ワイバーンを飼育してみる事に決めたのだ。

 だが、意思疎通がかなわない事で、飼育員が危険に晒される可能性や、施設が破壊される可能性は充分に考えられる。その危険性を承知しつつも、ワイバーンの飼育に成功すれば、軍にとって、今後大きな勢力となるだろう。

 そこで……ロックウェル嬢の能力が本物であるならば、君にワイバーンの飼育をお願いしたい、と上層部からの通達依頼がきた。もちろん学院を卒業してからの話だ。

 で、身を守る術を持たない君には騎士の護衛をつける。そして、その護衛はここにいる君達の中から選ぶ。ロックウェル嬢の気心が知れたやつの方がいいだろう、との判断だそうだ。

 他にやりたい任務がある場合は、辞退してもいいとの事だが、最低でも一人は君達の中から選びたいと上官は言っていた。

 ワイバーンがいつ孵化するかは予測出来ていない。だが、幼体のうちは、制御できなくても被害はさほどないだろう。

 万が一、意思疎通がどうしても必要な状況となった場合は、卒業を早めて騎士団の所属となってもらう可能性は否定出来ない。一応、そのつもりで心積りしておいてくれ」

 騎士団長が私達一人一人を見つめながら、キッパリと言った。


 私を含めた全員が緊張した面持ちで頷いた。


「基本ここの森には大型の魔獣は出ない。今日は不測の事態だったといえる。

 明日からはまた通常の演習を行う。だが、不測の事態が再度起こる事も考えられる。遠征終了日まで気持ちを引き締めて過ごしてくれ。

 今後について、何か質問や意見があるものは残るように。では、解散」


 質問する人はいなかったようで、全員が一礼をして退出した。


 退出した私達は、自然と私を中心とした円となり静かにその場に佇んだ。


「……予想外の展開となったが…… アイリーン嬢はこれでいいのか? 先程の要請を断った場合は、おそらく教会へ通達される事になるだろうから…… 実質断る事は不可能に近いが……」


「だね…… 僕達は、もともと騎士団に入団する予定で、その配置については従うだけだから、アイリーン嬢の護衛とワイバーンのお世話についても納得できるけど…… アイリーン嬢は、獣医師の助手になるつもりだったんだよね。

 違う方向にいっちゃうけど、大丈夫?」


 セドリック様とキリアン様が優しく尋ねてくれる。


「お気遣いありがとうございます。ですが、大丈夫ですっ。

 ワイバーンのお世話は、意思疎通可能な私が最適だと思いますし、皆様の護衛もとても心強いです。

 メランも、何かあれば守ってくれると言っていますから、実はそんなに心配していないんです。

 むしろ、皆様と卒業後もともに働ける事が嬉しいです。楽観視しすぎですかね?」

 少し首を傾げながら、小さく微笑んでみる。


「ふっ、アイリーン嬢は逞しいな。メランが気にいるのもわかるよ。俺が護衛に選ばれるかはわからないが、任務に着いたら全力で護衛にあたる事を約束する」

「ああ、もちろん俺もだ。ワイバーンが大人しく育つかはわからないが、ワイバーンの動きをいつでも制御出来るように、これから魔力と剣技を磨き上げるつもりだ」

 モーリス様とジェフリー様が力強く発言される。


「そうだな。俺達は精鋭の騎士となるために、今出来る事を精一杯取り組むだけだな。明日からも気を引き締めて演習にあたろう」


「だね。じゃあ、今日はもう寝ないと。明日に向けて気力と体力回復させないとだね」


「皆様、ありがとうございます。

 私も今出来る事を精一杯行おうと思います。

 ワイバーンのお世話がいつ始まってもいいように、ワイバーンについての知識を深めますね。

 みなさま、今日は私を信じてくださりありがとうございました。嬉しかったです。

 これからも、どうぞよろしくお願いいたします」


 深く一礼してから、笑みを浮かべてみんなを見た。


 4人とも穏やかに微笑んでくれて、あらためて素敵な4人と信頼関係が築けていることに、心から感謝した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ