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第7話 強化ガラスは小さな傷で割れる

なんかヤンデレ要素少なくてすいません

西園寺さんの入部が認められ、部活問題とか顧問問題とかが同時に解決してしまったので、今日の部活動は交流会ということになった。


「へぇー西園寺さんって家の廊下に絵が並んでるんだ」


さっきの殺気は引っ込み、桃はいつもの様子になったようだ。


「そうなんです。当番の方ごとに趣味の違いや、配置の個性があって面白いんですよ」


「そんなにいっぱい絵があるのか?」


「はい。それに我が家では、当番の方が追加で絵を購入することができるので、見てて飽きませんよ。」


なんだそれ。スケールが違いすぎるな。増えすぎた絵はどうなるのだろう。


「お二方は廊下に何を置いていらっしゃるのですか?」


このテーマで話を広げるの正気か?


「私はやるとこリストとかかなぁ。ケイちゃんは?」


「何も無いです…」


普通に無いです。廊下は歩くものです。物を置くなら部屋に置くのです。


話を変えよう。


「それはそうと、西園寺さんが作りたいお菓子とかあるの?」


「そうですね…特に作りたいものは…あ!あります!クッキーを作りたいです!」


西園寺さんは思い出したかのように大きな声を上げた。


「何か作りたい理由が?」


「はい。最近読んだ物語で出てきたクッキーの作り方が巻末に掲載されていたの、で再現してみようかと」


「おー!いいじゃん!クッキー作ろう!」


桃も乗り気なので次回の活動はクッキーを作るという事になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クッキーを作ると言うことで3人で材料を買いに学校近くのショッピングモールにやってきた。部費はまだ出ないらしいので自腹を切ることになりそうだ。


「そういえば、西園寺さんはお迎えの人が待ってるんじゃないの?」


そう、西園寺さんはお嬢様なので登下校は車で送迎されているのだ。初めて会った時も図書室で運転手を待っていたが、あれは割と早めの時間だったはず。捜索願とか出されているのではないのだろうか。


「ふふ、大丈夫ですよ。帰りたい時は私から連絡しているので。」


そう言って西園寺さんは微笑んだ。


「チッ」


「桜井さん、なにか言いましたか?」


「いや?クッキーに入れるならあまり甘くないチョコの方がいいかなーって」


桃は微笑みを浮かべている。


「そうなんですね、勉強になります。」


「よし、あとはバニラエッセンスぐらいか」


そういえば、バニラエッセンスってお菓子作りぐらいにしか使わないのに1回で数滴しか使わないから賞味期限が切れたりするよな。今回のバニラエッセンスはちゃんと使い切れるといいな。


「なあ桃、バニラエッセンスってどこに置いてあるんだ?………桃?」


桃は少し離れた調理器具コーナーに立っていた。


「桜井さんはそっとして置いてあげませんか?それに、バニラエッセンスなら調味料の所にあると思うので、2人で行っても大丈夫ですよ」


「まあそうか、じゃあチャチャッと買ってきちゃうか」


調味料売り場の所に向かいバニラエッセンスをゲットし会計するためにレジへ向かう。


「私がこの部活に入ろうと思った本当の理由ってなんだと思いますか?」


向かう途中に西園寺さんが話しかけてきた。


「え?普通に家事をしてみたかったからじゃないの?」


いきなりそんなとこ言われ、何て返せばいいのだろうか。


そして間髪入れずに


「永瀬くんのせいなんですよ?」


「なっ…」


耳元で囁かれた。意識外のASMRは反則すぎる。


西園寺さんの顔は紅潮している。このドキドキはまさか、恋の始まりなのだろうか、びっくりしたドキドキを勘違いしてるだけなのかもしれない。


「永瀬くんがいるからこの部活に入りたいと思ったんです」


西園寺さんは追い討ちをかけてくる。こんなに心臓の音が聞こえるのは初めてだ。


「それはどういう、」


「察しが悪いですよ?こういう事ですよ」


チュッ


気づけば頬に西園寺さんがキスをしていた。


「私、永瀬くんのことが好きなんです」


急な告白に頭がフリーズした。そもそも図書室で1度あっただけなのに、この積極性は箱入り娘からは考えられない出力だ。


「なな、なんで?」


「あの図書室で会った時に直感したんです。私の運命の人は永瀬くんだと。どうですか?私の彼氏になっていただけませんか?」


この話を聞いた男子は皆、諸手を上げ彼氏になるだろう。でも、俺には桃に殺されてしまう可能性というか未来がある。ここで素直に彼氏になってしまうと明日には死んでしまうだろう。

かと言って、この魅力的な提案を断るのも…


「ちょっと待って、そういうのはお互いをよく知ってからがいいかな?」


俺は問題を後回しにすることにした。未来の俺が解決してくれるだろう。


「そうですね、まずはお互いをよく知るとこからですね。不束者ですが、これからよろしくお願いします。」


「「……」」


き、気まずい。


「とりあえず、戻ろうか…」



バニラエッセンスを取り、さっきまで桃がいたはずの調理器具コーナーに戻ると、まだ熱心に何かを見ていた。


「何見てるんだ?」


そんなに面白いものなのだろうか。


「これから色々と使うことになりそうだから買っとこうと思って」


桃が熱心に選んでいたのは包丁だった。

アドバイス、感想を書いてくれると力が湧いてきますありがとうございます。

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