第4話 イヤホンは八の字にまとめると絡まない
そのまま桃と2人で下校する事になった。
「智洋はもうサッカー部に入るの決めたんだ?」
「うん。もう上級生と混ざって練習してるらしいよ」
智洋は凄いな。さすがは運動だけは出来る男。
「そういえば、桃は部活に入らないのか?」
中学校ではバスケ部に入っていたはずだ。
高校ではしないのだろうか。
「うん、バスケはもういいかなって、それよりも最近お菓子作りとかにハマっちゃってさ、家庭科部みたいな部活も無かったし自分で作って見るのもアリかな」
少し照れながら桃は話す。
「へぇ、自分で部活を?部員とかももう集まってるのか?」
「今日思いついたばかりだから1人も居ないんだよね………もし良かったらなんだけど、私の作った部活に入ってくれない?」
「俺、料理とか出来ないんだけど?」
俺は目玉焼きしか作れない男。お菓子作りなど出来るはずもないのだ。
「ケイちゃんはお菓子を食べる係って事じゃだめかな?」
桃はニコニコしながら新たな提案をする。
「まあ、それなら出来なくはないか。いいよ、俺でよければ」
俺の返事をきくやいなや桃は有頂天極まれりといった表情になった。
「ありがと!」
まあ、いい文化部がないか探してた所だし丁度いいか。
……なんだあれ?
通学路を少し逸れた路地裏にベールを被った人が椅子に座ってこちらを見ている。気がする。
「ねぇ、あれって…」
桃も気づいたようだ。目を合わせないようn「行ってみよう!!」
「おい!ちょっと!」
桃が1人で怪しい人の方に行き、堪らず追いかける。
「占いだってよ!」
怪しい人の正体は占い師の老婆らしい。怪しい。
「こんにちは。今なら500円で占えますよぉ?」
見た目の雰囲気とは違い、若々しい声で俺たちに話しかける。
「おー!占いだって!やってみようよ!相性占いとかも出来ますか!?」
「できますよぉ。2人でこの水晶に手をかざしてくださいぃ。」
手をかざすと水晶が淡く光った。
「ふむふむ。2人の相性は…なn、きゅ、100点ですぇ…」
おい、舐めてるのか。客を見て態度を帰るんじゃない。
「わぁ、100点だって!誰にも入られる余地のない完璧な相性ってことだねっ」
「ああ、ソウダネ」
「そういえばぁ、男の人に個別で伝えたいことがあるんですけどぉ、いいですか?」
なんだろうか。謝罪だろうか。
桃が離れたのを確認して占い師が話しかける。
「あなたの運命は複雑に絡み合っています。しかし、折れない心を持ち続ければ、道は開けるでしょう」
「お、おお」
今までのほわほわした空気感が一変し、真剣な様子で伝えて来たので、思わず気圧されてしまった。
─あなたの運命が複雑に絡み合っています─
複雑ならまだしも、絡み合っているとは一体何を意味しているのだろうか。てか、心が折れそうになるのか?不安でしかないんだが。
「あれ?」
そんなことを考えていたら目の前の占い師は忽然と姿を消していた。
少なくともあの人は何か知っているのかもしれないな。今度見つけたらまた話してみよう。
アドバイス、感想を書いてくれると力が湧いてきますありがとうございます。ほんとに