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バケた藤孝=細川幽斎

 九州・熊本城…

国内屈指の名城は、豊臣秀吉の忠臣・加藤清正が築城した事でも名高い。

清正は…太閤・秀吉の遺児・秀頼ら豊臣家と、”時の権力者”徳川家康の和睦をはかったがうまくゆなかった。そして清正死後…この熊本城は、建設者一族の手から離れていった。

<徳川>の命でー2代目・熊本城城主となったんがー気苦労が板についた男。

清和天皇から続く名門・細川家3代目=”細川忠利”やった。


 1637年、”島原の乱”で、キリシタン弾圧に加わった、大大名・忠利。

この時、歳の近い…かの剣豪・宮本武蔵を細川家に迎えー熊本城内に屋敷を与えた。

自身の死後も、細川家で、武蔵を最期まで面倒見続けたそうだ。

忠利自身はーキリスト教に関わってないとも、洗礼を受けていた、とも言われておる。

亡き彼の母が、幼く病弱だった忠利ともども入信した・説もあるのだ。

こりは…長年の名門・細川の薫陶のおかげなのか。それとも、人生のかたちも”隔世遺伝”はあるんか…?


 細川忠利…生年は「天正14年」(1586年)、”本能寺の変”の4年後である。

幼名は”光千代”ー細川忠興・ガラシャ(明智玉)の三男。

ーつまり、”明智光秀のマゴ”だ。


 1600年”関ヶ原”の頃=母が自害状態(殺害?)のあとー

イエヤスの江戸城で人質しとった、10代少年の忠利。その後、熊本で大金持ちになる。

2代目将軍予定者・秀忠に気にいられたから。とかゆ〜とるが…その秀忠(20歳前後か)、まさにこの頃、”関ヶ原にチコクして”オヤジ家康に完ムシされてなかったっけ?(通説は)

この当時、バリッバリに実権握っておったんは、”誰”や?

将来の”東照大権現サマ”が無関係なら、多分、こんなん実現せんかったハズや。

”言いだしっぺ”は誰やろ…?

 ・細川忠利(3代目)=39万石→54万石に増。「熊本城」に移封。

 ・細川忠興(2代目)=39万石をムスコに譲り、自身は8万石「中津城」に。(特例らしい…)

 ・細川幽斎(=藤孝/初代)=本人は”固辞した”ゆーが…

            田辺籠城のあと、6千石の隠居領もろーた。


 諸説あるが当時、だいたい1万石=2億円くらい、と俺は覚えとる。

単純計算でも…54万石=108億円…!!

忠利、ヒトジチやっただけで…!!

(場所が駿府といえ、家康マゴ・お江与溺愛の”忠長”が55万石ですゼ…!!)

 忠利の兄(次男)・秋興が怒って、次のヒトジチ任務をほン投げ豊臣方に逃げた。なんて話も…うなずける。

父・忠興に切腹させられた…といわれる次男・興秋。

ただ、「陰で逃がした」説もあるんやな。

明治時代(つまり徳川幕府消滅後)に、細川家自ら、御先祖様の兄弟を追跡調査したそ〜な。


 ーえ?ダラダラしとってイミわかんね?じゃ、こ〜書くか。身もフタもねーゾ。

「2代目熊本城城主=明智さんハーフ!!」

な、手短かやし簡単やろ?


 実はー「細川忠利」以外にも、チマチマ”徳川方”に混じった”明智サン関係者”がおるのだ。

つついてくと結構、<明智光秀重臣・斎藤利三が娘=春日局>が異常人事とは…

”世間”はともかく、イエヤス周辺じゃ、異常でもナンでもなかった…かもしれへんゾ。

 春日局(斎藤福)が、実務に優れ〜の、公家の血を持ち〜の、教養あり〜の。とか言うてもな。徳川にへーこらする名家のオナゴん中にも、匹敵する人材はいたと思うしヨ。わざわざ遠〜い長宗我部の地元<四国>から採用せんでも…。

 細川家では、”忠利だけ”残ったんは、父・忠興が”徳川を怖がって”兄ふたりを排除した、てな説もある。

 実際に…関ヶ原で戦った父&田辺でひきこもり?の祖父、よか優遇された少年・忠利。

単純に「おーおーめんこいのー(?)」だけじゃ、108億円なんて大金、10代半ばの少年にやらんやろ。

家康、自分のマゴやないんやから。”命の恩人のマゴ”とかゆ〜ならまだしもヨ。


 JHK内、ドラマ撮影現場で、友人の放送作家に相談受けておった。と、スタジオ入口に場違いな黄金の地蔵…??

…大村ユ〜コが来た〜ッ!!なんで来んねん!?…ヒトの聖域に土足(?)で上がるんじゃねぇ!!

「おい…あいつが例のヤツか…!?」と、友人までおびえとる。

 大村の制服「中振袖」。今日は全面、山吹色に光る綸子地の着物で、黒い梅花が不規則にちる。帯は淡灰色地に、タンポポ刺繍がデカデカと。小物は焦げ茶で、チャコール半襟にゃ桃色チョウチョがおる。今、10月なんやが…。

「オオタさ〜ん、やほー!!」

周囲の、おひいさま女優様方よか目立つ大村。

笑顔でメーワクにも大手振って…足下の配線にひっかってコケた…。

ー畳表のゲタがひょ〜んと宙舞って、落ちた。…コンコンコン、と。

「…大村、行き倒れか…?」

カッパがキンキラキンの扮装で伸びとるみてー…助け起こす気になれん希有な女性や。

大村ユ〜コ、本日持参の”原稿”はすっとばしたが、旧<日本航空マーク>?のアンティークバック??は手放さんかった…


「…はい、来週月曜の6時の予約…はい。宜しくお願いします」

むすっとした大村。

携帯置いて、中振袖のたもとをおさえて局内食堂のメニューを戻しとる。

「前歯のヒビって、ア◯ンアルファとかでくっつかないのかなー」とかほざいとる。

おいっ!!格闘家でもそんな話は聞かへんぞ!!ホンマに女かおまえ…?…ハッ!!

「おい、ケータイ〜!!」

「へ?なに?…あーッ!!」

バッとケータイ取り上げて見た…履歴が気になる存在では無ぇ。ギョッとしたんは「待受画面」や。

 いわゆる”萌え〜”の時代劇版、か?だが男のハズや…『蘭丸♡』と表示がある以上…

俺は…椅子からズリ落ちてわなわな…

大村、マッタク当然みてーな顔しとるが…お、オタクかこいつ…!?

「こ…こんなヤツと知っとったら…俺は上役に斡旋しなかったのに…!!」

「…?、だってオオタさん、ケータイ小説見てうちにメールしたんじゃ?」

フシギそーな大村ユ〜コ。上から…テッペンを見下ろすな〜!

「四国の”長宗我部元親”やろ…?ヤツがガキンチョの頃、弱っちくて”姫若子”と呼ばれたんは史実やから、それを書いとったん違うのか」

「ーホントに読んだの!?オオタさん〜!?」

「…3分くらいか…」

ホンマは、古語はエエカゲンやし、渋いがべとつく文体で、げんなりして3分でほンなげた、が実情だ…

「ー”姫若子”と呼ばれて、色んな男に目を付けられるからー、(!?)強くならねばッ!!と、元親クン頑張るのヨ。”鬼若子”と言われる位。でもー、権力者・織田信長サマに狙われてーっ!」

…はァ!?

「”あんたの言うこたぁ聞けねえッ!!”と、信長サマを突っぱねて怒らせちゃうのヨー。信長サマったら可愛いコに拒まれて悔しいから、息子の軍隊よこして、元親クン達を滅ぼそうとするのネ。ジェノサイド直前でさ〜大変ッ!!」

「…お、お前の頭ン中のが”大変”なんでねーか!?」

”元親の土佐が大変”な話が、どーやったらそう曲解でける!!

「でもっ…!!元親クン所に来てた、石谷頼辰にーさんのツテもあって、”明智光秀チャン”に助けてもらうのヨ…!!昔っからの仲良しじゃない?ほっとんど<一族>と思っていいくらいでしょ。でもー、憧れのきれーなお兄さんが、利三クンとか一族そろって自分の為に命を落として。元親クン、ショックを…」

「だ、だ、誰が”きれーなおにーさん”じゃ〜ッ!?」

俺は…自分の職場の一角で絶叫してしもーた…!!

俺ら男側から見ると、明智光秀=「ヤバくてさえないおっさん」程度でしかねーぞ!?(イメージが…)

「ーかせッ!!」

また、オームラのケータイ取り上げ…「光秀」の例の肖像画だしかけ…止めた。

あれも…”美形?”疑惑の元凶のひとつや…

「あ、待受、ときどき変えんのヨ。ホラ」

取り返した持ち主・大村。へーぜんと画像ストック見せてくる。て少女マンガの絵じゃねえか!!

「こ、これのどこが”信長”〜?”光秀”〜っ!?(秀吉はいねーのか!?)」

先ほどの『蘭丸♡』(数えで享年18歳)と大差ねぇ”萌え気味”な絵が…

50近く〜60代後半説の武士のおっさん連中やぞ…

「………おめーは…<角栄>サンで…どんな小説書いとったんだ……?(ゾーッ)」

「え?そりゃ…」口元に手を当てる大村。「フフフ…」と、地響きする笑い声を…

 口を開こうとする大村に「イラン!!」と、手で意思表示した。も〜これ以上、大村ワールドに汚染されとうない…


 局内で、大村語録を拝聴するんは辛すぎる…近所の茶店に逃げこんだ。

「こないだのあれな…<徳川家光(仮)>。”大河”はムリやって上層部からお達しあったぞ」

「エーッどうして〜!?ヒトが折角〜!!」

「どーしてってお前…!<明智光秀(仮)>に変えちまうわ、ロボット大戦にしちまうわ、どーせいっちゅーんじゃ!!」

「新機軸ヨ新機軸。話題になるよー!ジャパネスクな漢字入りメカ、海外に受けそーじゃん!」

「ロボット”征夷大将軍”だの”太閤”だの出すんか…?漢字圏の方々にゃサッパシ意味不明だろが!」

しかも、このJHKで…!!ドンパチ激しい<特撮番組>を撮らせる気かー!?

「ただ…とりあえず…<明智光秀(仮)>でええから…ドラマの”原案”は続けてくれ…」

「…?」

 ここ5年、禁煙しとったが、先刻コンビニで買ってしもうた。

箱を開けかけ、ライター買い忘れた事に気づく。

大村、マブシイ(?)中振袖の上に座り、書類入れを抱えたままキョトンとしとる。


「一応、確認させてくれ。<明智光秀(仮)>な以上、”本能寺の変”は出すよナ?」

「そこが一番のクライマックスで、一番困るとこじゃん。400年以上経った今でも光秀チャン、なんで信長サマ襲ったか解んない」

「理由付けによっちゃ、うちの局のコードに引っかか…ん?」

「…寝てる所を…」

大村…カオがにやけてきやがった…こいつ気味悪ィ〜!全身の血が引いてきた。

「せ、世紀の美少年・蘭丸チャンとの仲を…だヨ!!”私はNo,2でしかないんですか〜っ!?”って!!」

「さっきは”光秀は長宗我部元親をかばって”てゆーてたよなッ!?」

「あ〜気のせい!!こっちがホント!!」

ーっの腐女子がッ!!おめーみてーのが日本のレアメタル回収率を下げるんじゃ!(?)


「うー…えーと…ケンゼンな一般常識人の意見やぞ、こっちは!!

 ①光秀単独犯行説 /権力欲/怨恨/ストレス/他

 ②黒幕存在説   /足利幕府/朝廷/イエズス会/他

 ③複数犯説    /+家康/+秀吉/他

 ④光秀ヌレギヌ説 /秀吉/斎藤利三(光秀重臣)/家康/他

 こン中に、あたるモンはあるか…?(無かったらどうすべ!?)」


 口頭やが…よく言われる説ばっかだ。大村、腕組み眉間に皺寄せ悩んでおる。

「あんのも、無いのもある…一応、”複数犯行説”?徳川家康クンが組んでた、とするツモリ」

比較的フツーな意見でホッとした。(ま、最初の冊子の時点で、んな感じやったか)

 ”ありえねぇ!!と言われる事も多い…”織徳同盟”の義兄弟・信長&家康の不仲…つーか確執。

しかし…妻と子殺しの”信康事件”を持ち出すまでもなく、徳川家康、か〜なり信長にヒデー目に遭わされとる。

”松平家”の父、祖父とも、織田家のインテリジェンスで、20代の若さで殺されとる、とさえ言われとる。

家同士、長年”敵対者”だった義兄弟。

 桶狭間で今川から救出しても、三方ヶ原なんぞ見てると…信長は、この10歳近く下の弟を”いい下働き”とみてたかも…

「ーあと、おおざっぱに言ったら”足利幕府関与説”?将軍・義昭はカンケーないけどネ」

…なんやそらっ!?

「室町将軍・足利義昭がムカンケーで、なして”幕府再興”がでけるんじゃ〜っ!?」

「後から、疎開中(?)の義昭かついで…あ、ケンカ中だっけ?そーだ、自分が足利将軍になっちゃう!!」

「光秀がー信長の後釜でなく”将軍”目指しておったと…?」

「光秀チャンはー、京奉行。足利幕府の外部窓口だヨ。世間によく知られた高位の”顔”でも、将軍周辺の身分の高いメンバーではない」

ほう…全くの<妄想オンリー>て訳ではないんか、大村。

 明智光秀のー”幕臣”としての書類等、色々と残っておるのに、ナゼか世間に情報が広がらない。

朝倉士官説、斎藤道三関係者っつー、”後世のつくり話”が…一般常識として社会に染み込んどるせいなんか…

 大村、運ばれてきた茶漬け(なぜ?)を嬉しそーに眺めとる。

「信長サマのもとに来た幕府関係者のなかでもー、最上位の人間がいたじゃない!信長サマに追っ払われた将軍の”おにーさん”かもしれない男が!<幕府関与説>をいうなら、光秀チャンでなく、”こっちの男”のが主犯のハズだよ!!」

 大村、ハシ割って、水のグラスの氷をドボドボ、茶漬けに投入し始めた…おいっ!?

「光秀チャン…可哀想。言い出しっぺのそのヒトがボーズ頭になった時、相当ショックでしょ…親友で…娘も嫁いでたのに」

ぼ…坊主頭…

 信長は、”(旧)幕臣”から光秀はじめ、ぎょうさんヘッドハントしたが、ボーズにバケた男はただひとり(+息子つき)。

「ほ…細川幽斎(=藤孝)か…!?なんでまた!?」

幽斎…つーか藤孝、光秀の手下…は言い過ぎでも”組下大名”…

信長を倒した後ー”部下”の藤孝(+筒井順慶)が”義憤?”で離反した事に、光秀がショックを……が”通説”やろ??

「足利幕府じゃ、細川藤孝クンは局長クラス?エライ人だったから、逆に光秀チャンに命令してたカモ。…あと別件で、信長サマを恨んでたりネ。お茶漬け食べていい?前歯割れちゃったから、熱いのも冷たいのもコワくって」

 しおらしい…のは気のせいか。

大村、勢いよく茶漬けをかきこんどる…”大正浪漫”な着姿に似合わず、えれー男らしい食事風景だ…。


 一応、「ドラマじゃない」とだけ、上層部から聞かされとる<明智光秀(仮)>。

しかしこんなんで…まとまるんか!?

今聞いとってもー大村案<光秀謀反>の原因が、サッパシ見えんのだ…!

 ①長宗我部元親の救援=親友と一族の救済?

 ②徳川家康との連携=長年の松平(徳川)家の怨恨?

 ③細川藤孝(幽斎)の指示=足利幕府再興?

 ④森蘭丸への…はパスッ!!

光秀ひとりでこんなに背負えるかーいッ!

やはしこれはみなで分担(蘭丸以外)の結果と…?

じゃ、ナゼ光秀だけが”犯人”として名が残った?他の連中はどーしたイ??

…それに、当時本当に”連帯”が存在したなら…

人間49年。何度も謀反を起こされた”時の権力者”織田信長は…側近にまで狙われるほど、周囲に疎まれる存在だったと?…ううむ。


「やっぱねー!”幕府のアイドル・光秀チャン”(←やめい!!)を信長サマに奪われて、藤孝クン、後追ってくるほど辛かったんだヨ。フフフ…」


細川藤孝はー弟?足利義昭とモメて引きこもり?の末、信長ン所に来たんやぞ。

ー大村ユ〜コ、これから別バージョンの”本能寺の変の真相”を語りそーや…

 こ、これが世にいう”腐女子”の実態か…!?



 












 











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