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十二支  作者: 白猫の耳
旅立ち━━七草を探して
6/44

6 お腹すいた。人間とお話しをする

ーーーー前回のあらすじ。                                                                                                 

                                                               


 地上に咲く七草が、天界人が地上のご飯を食べても良い体質に変える薬草と知り。  

 直ぐに、天界に帰りたくないゆいは、ロッチ(ウサギ)と龍の力を借り、7草を探すことにする。 


 ゆいは、大根(すずしろ)畑で、大根を殆ど一人で間引きするも、張り切りすぎて熱中症になり倒れてしまう。   


 その後、親切な農家さんに介抱されるが、そこの年若い既婚の女性に、得体の知れない何かを倒れたゆいの口に入れようとする、

 

 七草を食べないうちに地上の物を食べると天界に帰れなくなる。それを知っているゆいは慌てる。



ーーー


 現在、採取した七草


 ○ほとけのざ(コオニタビラコ) 

 ○なずな

 ○はこべら(ハコベ)

 ○ごぎょう(ハハコグサ)

 ○せり

 △すずしろ(大根)

 ✕すずな(かぶ)

 


ーーー

 

「《コンコン》。さぁ、口をあ~んてあけて〜。何か食べなきゃ駄目よ〜。」


(「やばい、何か食べさせられる。」)

 そ、そうだ寝たフリ。


「あら〜寝ちゃった?」


「おい、おい、まずは水だろ。」


「ジョナン、じゃぁ赤ちゃん見てくるから仰いでてね。」


「ぅあーい。」

 ジョナンの返事を聞いて赤ちゃんの所へ行こうとするが、


「ナミちゃんいる?」

 玄関のドアを開けながら3件先の奥さんが訪ねてきた。


(「まっまずい。」)

 最初に、道を聞いた時のおばさん?


「あらら〜。もう少し先だったんじゃないの。もしかして全部間引きしたの?」

 ドアの内側に並べて山積みになっている間引きされた大根をみている。


「スイちゃん、そうなのよ〜。間引いたのでいいから少し欲しいって、そこの熱中症で寝てる子にお願いされてね。じゃぁ〜てぇ任せたら張り切っちゃって、全部間引いちゃったのよ。ふふっ助かったけどね。」


「あらら〜。働き者ね。」

 チラッと見る。


「あらっ!あの子昼に道を聞いた子じゃないかしら。」


(「‥やっぱり、さっきの人だ。」)しかし、このおばさんスイちゃんって言うのか。


「は〜熱中症?こう暑いとね〜。赤ちゃんも気をつけなよ。」

 スイちゃんがジョナンが団扇で仰いでいるのを見る。


 スイちゃんとは、ゆいが最初に道を尋ねた時に親切に教えてくれた、体格の少しずっしりした40代にも見えるおばさんだ。こちらは肌が色黒くなり難い体質みたいで、頬が汗ばんでいるが、顔は赤らんで日焼けしている。長袖にロングスカートという姿。目元がつぱっちりとしており痩せたら結構な美人さんかも?と想像させる。髪は茶色より少し赤に近いかもしれない。


「ちょっと待っていて。」

 スイちゃんおばさんは、戸口から出て行き何やら自宅に何かを取りに行くみたいだ。

 

「あの‥。もう大丈夫です‥。」

 ゆいはゆっくりと起き、

「心配おかけしました。」

 お辞儀をした。

 それは美しいお辞儀でした。そして目を開けたゆいは茶色の目に見たこともないグリーンの目の淵、甘栗色の艷やかな髪を腰まで伸ばし、見たことのない綺麗な紐で一結び、背は140cm程(成長過程)。

 まだまだ伸びそうな痩せ型な体型。そして、この辺では見ないような顔つきで、子供ながらにも鼻筋は伸び、服装のせいで目立たないが、よく見るととても綺麗な顔立ちをしていた。服は着物を少し短くしたような茶色の上着に茶色のズボン、おしゃれには程遠い質素な服ながらも少女の内側から滲み出る清楚な雰囲気。


「すみません。あの、大根そろそろ持っていって良いでしょうか。帰らないと行けないので。それと‥。お、おトイレはどこでしょう。」

 上着の裾を持ち、もじもじとしていたゆいは、起きた直後に突如襲いかかってきた尿意に焦っていた。

(「あんなに水飲むんじゃなかった〜!)」


「あ〜ぁちょっと待っていて〜。」

《パタパタパタパタ。》

 急ぎ足で戻ってきた。


「はい、これ。使ってね。」

 ゆいの手に持たされたのはおよそ20枚程の大きめの葉っぱ。


「お尻拭くときに使ってね。

 芋の葉も良いけどユウナの葉が我が家では主流なのよ。芋の葉は拭くと切れやすいし食べられるから勿体ないし。」


「‥‥‥‥?えっ‥これで拭くんですか?」

「あら、他に何で拭くの?」


「‥‥‥紙。」


「‥‥紙?本読むときの?‥‥‥あら!やだ!この子ったら冗談ばっかり、ぷぷーぅ。あーはっはっお面白いわ。あら、そういえば名前まだ聞いて無かったわね。お名前なんてゆうの?私はナミあなたは?」


「私はゆいと言います。」


「ゆいちゃん、可愛らしい名前ね。私の夫はジョナン、あっちの年配の人はジョナサン。さん付けで呼ぶとややこしいのよ。さっきいた人はスイちゃん」


「わかりました。ん‥確かに。いえあの、その葉っぱありがとうございます、ところで、どこでしたら良いですか。」


「はい、スコップよ、これで穴を開けてするの。場所は家の裏手に森があるから適当に最近掘ってなさそうな所を見つけてきて用を足してね。」


「さ‥‥。」

 流石に冗談かと言おうとしたら、ナミさんの顔を見たら至って真面目、これ本気ですか〜。


「‥‥。」

 ゆいは、黙って頷いた。


「そうか〜する場所まで案内してあげるわね。」


 数分後、やはり、ただの森にたどり着いた。隠す板も何もない。


「じゃぁあたしは、大根見繕って来るから、手は裏手の入り口に桶があるからそこの水を汲んで洗ってね。じゃなきゃぁ川まで洗いに行かないといけないけどぉ。」

 手をふりナミさんは家に引き返す。


「‥‥‥‥‥はぁー、これ‥使うの?」

右手にスコップ、左手にユウナの木の葉



 ーここはナミさんジョナンさんジョナサン達の家の裏側の森の中ー



 ゆいは少し草が生い茂ってない森の中の原っぱの中央に立っていた。


「この周辺には誰もいない。」

 キョロキョロあ辺りを見回したあと

 神眼を使い、誰の意識気配も感じられないことを確認。


「地の精霊よ我が叫びに答えよ!‘’土造形像(ソイルモーディン)‘’」


 ゆいの叫びと共に足元の土が盛り上がり、ゆいを中心に直径1.5m厚さ2cm高さ2mの円柱が建つ。


「よし!」

 ゆいはしゃがみ込み、ナミさんの家が見える方向が見えるように二本の穴を開ける。


「前方良し!」

 持ってきたスコップでお尻の真下辺りの地面に穴を開けると

「ふぅー。これくらいか。」

 額の見えない汗を腕で拭う。



・・・・・ふぅ。

 スッキリしたゆいは、手元のユウナの葉を見る。


「これ、使わないでも良いよね。」


 ・・・なんか、さっぱりしないなぁ。

 服も汗でベトベトしてるし。

「そうだ!もういっそのこと、チョワ〜。」

 立ったままに、郵便ポストの投函口みたいな穴を空ける。そして、四角い箱を土魔法で作りその中にに着ている服を畳んで入れる。風魔法で外に箱を運び出す。


 そして仁王立ちになり、

「‥よし! ‥水の精霊よ、我が身の(しろ)に降り注げ ‥ハァァァァァー!゛水洗綺麗(スイビジュウ)゛!」

 2mの円柱の上から水の雨が降り注ぎ、その後水流がゆいの方に向かいながら回転する。


「ふぅースッキリした。ついでに、火の精霊よ我を乾かせ、゛乾燥(カラーリ)゛!!!。」突如サウナに入っている様な熱風が肌に当たる。


「うゎヤバ‥‥これはあんまり‥ダメだわ!゛」

 焦ったゆいは、

水洗綺麗風(スイビジュウ)゛!」

で体全身に保湿をした後に、


「風の精霊よ我に吹き荒らせ゛風精適度(フーファーファ)゛。」



・・・はぁ〜。あんまり乾燥って肌に良くないかもね。気をつけよう。

 


 服にも洗濯と乾燥の精霊魔法をかける。


「さてと、帰るか。」

 風魔法を上手く使い下から吹き上げる風で円柱の外にでる。


「服も乾いたし、バッチリだわ。」

 すっかり、

 髪も服も身体も精霊魔法を無駄に使い綺麗になったゆい。


 ふと、後ろを振り返り2mの円柱を見上げる。


 うゎっ!・・・なんかヤダぁなぁ。

 円柱の柱が、ゆいがトイレで出した物を強調して見ているようだった。


 左手を前に突き出し。

「‥‥炎の風よ吹き上げろ゛炎龍風風(ドラゴンフゥフゥ)゛。」


 土で出来た円柱は炎龍風風で、中からも外からも高温で焼かれた。


 「フッ。」

 やり終え、満足度が頂点に達したゆいは、ナミさんの家に帰る。 



「ただいまぁ、お邪魔します。」


「あら、お帰り。」


「お帰り。」

 ナミさんとスイちゃんが揃って返事をする。

 ナミさんスイちゃんジョナサンは、大根を綺麗にして、刻んだり、剥いたり壺につけたりしていた。

 ジョナンさんは今度は赤ちゃんを団扇で仰いでいた。


「あの、手伝いましょうか?」


「いいって!早く帰りたいんでしょう?あっでも、お昼まだよね?お腹空いてるでしょ、食べてから帰ってね。」


「あらっおにぎりなら私が作ったの持たせてあげられるわよ。塩おにぎり好き?」


「ジョナンは大根拾うのに疲れちゃってね〜。」


「あっごめんなさい手伝えなくて。」


 ジョナンさんは横眠りしながら、気にするなと言うように団扇を持っている左手を真上に上げ横向きに振った。


「あらあら気にしないで、うちも当分少し楽になるから。本当に手伝って貰って助かったわ〜。ありがとうね、よいこらしょっと。」

 ナミさんが立ち上がり風呂敷布に包んだ大根を持ってきた。


「あっ、こんなに?」


「家族で食べるんだろ、持ってお行き。」


「私の握ったおにぎりも持って行って、家から持って来たかいがあるわ。3個で良いわね。」


 ぱぁぁ。ゆいが笑顔になる。

「わァ〜。ありがとうございます。」《ぐぅ~。》お腹がなる。


「やっぱり食べて行きなよ。」

 スイちゃんは大根の皮を向く手を休めないで昼飯に誘った。




ーーー空の上ーーー

龍の背中の上次の目的地に向かっている。


現在、採取した七草


 ○ほとけのざ(コオニタビラコ) 

 ○なずな

 ○はこべら(ハコベ)

 ○ごぎょう(ハハコグサ)

 ○せり

 ○すずしろ(大根)

 ✕すずな(かぶ)


「はぁ〜やっぱり食べたかったかも。」

《ぐぅ~。ぐぅ~。》うーんさっきから腹がうるさい。ロッチと龍に聴こえて無いよね‥。


『ゆい、痩せ我慢は良くないよ。ロッチは食べられる草なら何でも食べられるけど、食べられる時に食べなきゃ駄目だよ。』

『うむ、私もそう思う。どうする?一旦帰るかね。』


「私‥、もう少し頑張れる気がするの。」

『‥‥せめて、そのおにぎりでも食べたら?』

「うん‥‥でも大丈夫。」

《ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~》

 その時、ゆいのお腹の虫はゆいとは逆に大丈夫では無い感じに正直に返事をした。


ーーーーー


 ゆいが作った円柱の柱は後に、その時代に作られるはずのない未知の技術として、なんの為に建てられたのか、どのように建てたのかは謎に包まれ今だに解明出来ていない。精巧に均等に厚さ2cmの幅で作られた高さ2mの柱は、後にオーパーツと呼ばれ、その村の観光の目玉の1つとされ、村の収入を潤すこととなる。ちなみに土でつくらた服を一時き入れ、柱と一緒に焼かれた箱は数年後にその国の王様に献上され、以後国宝となる。




ーーー次回 かぶ(すずしろ)採取編




※ナミさんが食べさせようとした食べ物は赤ちゃんと同じご飯お粥です。

大分投稿が遅れました。十二支無事に終われるか不安。坦々と話を進めようとしてるのに横道にそれる。ロッチの名前最初気に入らなかったけど、今は気に入りました。正月迄に書き上がりたいです(希望)。初めての投稿で時々自分なんて書いて良いの〜とか悩みだして止まったりしました。紆余曲折しながらも書こうと思います。少しでも気に入りましたら評価宜しくお願いします。

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