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十二支  作者: 白猫の耳
旅立ち━━七草を探して
4/44

4 ウサギは後悔する。

 前回のあらすじ


 ゆい、龍、ロッチの3人は地上にも生えている7草を探している。


 現在見つかったのは


○ほとけのざ

○なずな

○はこべ

○ごぎょう

○せり

✕すずしろ(大根)

✕すずな(かぶ)




 ウサギは後悔していた。

 手伝うと言った事を。

 

 前回、セリを採る前はゆいが、持っていた袋に入れてくれた。


 だから、龍で移動中ゆいの背中の温もりとリュックの中が、まるで真っ暗なウサギ穴の中にいるようで、なんだか安心できて居心地が良かった。

 

 だが、ゆいは今回何故かリュックの中に入れてくれなかった。


 寒い吹き荒れてる様な風が前方から打ち寄せる。 

たしゅけて〜降ろして〜。降ろして〜!とロッチは心の中で叫んだ。



ーーーーーーーーーーー


 出発は順調だった、龍の背中に乗る時もへっちゃらだった。(龍の全長は5mはある。)


 

 龍の見た目は、トカゲよりりだが体長は長く、ヘビの様に尾は長い。体毛が生えており、額や鱗の隙間から黄色の毛が所々生えている。日の光を浴びると体毛が金色に輝いて見える黄龍である。


 黄龍が首を持ち上げている時は、首の辺りだろうか、柔らかい毛がみっちりと生えていた。思わず触りたくなる程の毛並みだ。


 黄龍が笑う時に覗かせる歯は、ウサギのとは違って鋭く尖り獰猛、肉食動物の牙が優しく見える程凶悪な牙だ。ゆいが、優しく龍に接してる様を見ていなければ、間違いなく逃げ出していただろう。


 しかし、それに反して表情はとても穏やかな慈愛のある目でゆいを見つめるのを見ると、とても肉を貪り食っている様は想像できない。




(『クッキーも食べなかったよな。‥‥龍は普段何を食べてるんだろう。‥‥‥‥ブルッ。食べられたくないな。』)

 そんな事を想像して寒気がしたウサギのロッチは、ゆいに護ってもらうしかないかも、そう思った。

 

 ロッチは、ゆいに抱っこしてと両手を前に出すが、


 ゆいは少し困惑してさも困った顔をして、


「もうリュックの中には入れてあげらないの。」

 と言った。


『そんな‥‥‥‥。』ウサギの目から大粒の涙がこぼれ落ちそうな、そんな眼差しを向けられた。


「うッ‥‥‥ごっごめんなさい。そんなにリュックに入りたかったの?でも、あのっウサちゃ‥‥ロッチは多分リュックの中身に我慢できないと思うの。」

 

 ちらちらと目を慌てたように左右に動かしながら

「だから、そのっ‥今回はごめんなさい。えと‥その代わり新しいリュックを見つけたら、また背負ってあげるね。」


 優しく優しく━━申し訳無さそうにゆっくりと背中を撫でながら、ごめんねと頭を垂れた。


 それから、ゆいはロッチを優しく胸に抱き、龍に跨がると、黄龍の首の後ろまで近づく。そこが定位置なのだろう。


「ロッチも龍のヒゲに掴まるって!━━大丈夫!仮にロッチが間違えて引っ掻いたりしたって龍は痛がったりしないんだから!」


 ゆいは、

「しっかり捕まって!」

 っとロッチを両腕に挟む様に座る。すると、ゆいはキリッとした表情で前方を見据える。


「龍━━━!この間みたいな悪ふざけは、無しよ!」

『はっはっはっわかった。しかし、ウサギのその掴み方はちょっとこそばゆいな。』


 ロッチは、何となく後ろを振り返ったり、ゆいの腕の隙間から景色を眺めたりしていた。不意に、風がロッチの周囲に吹き荒れたと思ったら浮遊感がした。

 

『うわっ!すごいな浮いたぞ。』ロッチは歓声をあげた。


 あっという間に大空を飛んでいた。


 圧巻だった。

 すごいすごいと感激していたのは最初のうち。

 次の瞬間。


 不思議な事に前方にいるはずの黄龍の体が透明になった。


 黄龍がいたはずのの場所に何も見えない。毛が掴んでいる感触はあるものの見えない。姿はあっと思う間もなく透明になり、遥か下方の地上が小さくなっていく。本当に一瞬の出来事で、あっと言う間だ。相変わらずヒゲの感触はあるが、見えない。うしろを仰ぎ見ると、ゆいは平然としていた。しかし、ゆいとロッチを支えて今も飛び続けているはずの龍の体は消えていた。


━━━━━━━━っ

『ガタガタガタガタ。』

 ロッチの歯がカチカチと鳴る。


━━━━なんだ。

『ガタガタガタガタ。』

 ロッチの体も震えていた。


 怖い!急に自分の異変に気がつき恐怖が芽生えた。

『たひゅけてください〜!たひゅけて━━っ。』


『降ろして〜。降ろして〜!』


 風の音に消され、ガタガタしながら話すがゆいが掴む手もとではなく膝の上にいるがゆいも龍に掴まるのに必死なのだろう、ロッチの声はゆいには届かない。




━━━━━━━━


 ロッチは、少しばかりホッとした。

 しばらくしてゆいが震えるロッチに気が付き、抱き寄せたからだ。それは、ゆいがただ単に寒かったからか、不安に思ったからなのかの行動かは定かではないが。


 片手でロッチを抱きしめた。

(片手はダメ!両手で掴んで離しちゃダメ!両手を離さないでね絶対。)

 ロッチの頭の中はパニック状態で、声にならない叫びを心の中でずっと繰り返していた。


━━━━━━━━


『‥‥!‥‥‥!‥‥‥。』

 ゆいがロッチを掴む力が強まる。


「━━どうして震えてるの?」

 不意に、耳元でゆいの声が聞えた。 


 

 景色は、雲が頬を触れる高さになっていた。

地上はもう見えない。遥か眼下には、青い海が広がっていた。


 ロッチの顔と体毛は流れた涙でぐちゃぐちゃに濡れていた。

 

 ーーーーーーーー。

 

 ロッチは声をあげていない。しかし、何かに怯えているのが分かったゆいは、


「コホン。」

 大きく深呼吸した後、


「朝日が登る頃〜さあいこう。冒険を始めよう〜。」

 歌を歌い出した。


 歌は上手であった、しかし今は間もなく昼に差し掛かる頃。


 (‥‥朝日は無いだろう。) 

 少し落ち着きを取り戻したロッチはそう思った。


 ウサギは、歌を何となく聞きながら

 今何を考えていたんだっけ?

 わけがわからなくなり、初めて見る間近な雲の綿を肌で感じながら、またたく間に移り行く雲の景色をながめながら、今は、ただぼんやりと目の前の情景に見とれていた。


(この世界に、空の上に見渡す程の真っ白な雲の絨毯がある事を知ったウサギは、いったいどれだけいるのだろうか。)と物思いに耽った。



━━━━次回は「ゆいと龍の出合い」



 いつ12子本編に入るのかは謎。

 あまり先を見ると書けなくなりそうなので、

 ゆいちゃんがおとなしい性格なのでウサギばかりがよく喋ってる。


 鶏は、苦心しながら前の話で登場。 


[12仔 本編登場者]

ウサギ



いつ終わるの?(・。・)


さあ‥‥‥。(・・)


大根とかぶを探す話は?(゜∀゜)


どうしよう(@@)〜。

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