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02 冒険者登録

「ふう・・・。ようやく着いたな」

エンドの森をでて約1か月、ようやく町にたどり着いた。

町民に聞いたところ、町名はサガミというらしい。


途中多量のモンスターの群れに遭遇したが、フェンと一掃した。E級ダンジョンのモンスターより

弱く、特に問題は起こらなかった。


「・・・なんかすごい視線をかんじるな」

「お前が汚いからじゃねーか?服でも買って、風呂に入ってこいよ」

「フェンは一緒に来てくれないのか?」

「・・・俺は散歩してくる。またな」


フェンは行ってしまった。視線が痛いので、言われた通り服を買い、風呂に入ってきた。

20年前から持っていたお金が使えてよかった。


だが残ったお金は少ない。

今後必要になってくるから、冒険者登録をすることにした。

依頼をこなしていけば、日銭は稼げるはずだ。


サガミの冒険者ギルドに到着した俺は、受付へと向かった。

「冒険者登録したいんですが」

「かしこまりました。この用紙に指名、職業等ご記入いただき、水晶に手を載せていただけますか?」

冒険者に登録する際水晶によってレベルを調査され、初期ランクが決定される。

1~20 Eランク、21~50 Dランク、51~100 Cランク等々。

Eランクのダンジョンは特に問題なくクリアできるので、DかEかとは思うのだが。

用紙を提出し、水晶に手を載せる。

水晶が発光し、光が徐々に強くなっていく。

・・・なんかありえないくらい光っていくんだが。周囲が見えないくらい眩しい。


バリン


光がおさまったが、水晶が割れてしまった。


受付の女性は口を開けて固まっていた。

「すみません!なにか間違っていましたか?」

「・・・いえ。手順に問題はありませんでした。おそらく昔から使用していた水晶なので、老朽化のせいだと思います。」

「それならいいのですが。弁償しろと言われてもお金がないですし」

「こちらの不手際なので、そこは問題ないですが・・・。ギルド長と相談してくるので、少しお待ちいただいてもよろしいでしょうか」

「かまいません。できればすぐにでも入会して仕事を受けたいので、よろしくお願いします」

「かしこまりました。少々おまちください」


受付の女性は奥の部屋へ入っていった。

待つ間、壁に貼り付けられた仕事の依頼をみてまわる。

仕事はE級でも可能なものが多い。報酬は安いが、清掃や害獣駆除等簡単な仕事ばかりだ。俺でもできそうだ。


「グレン様、お待たせいたしました」

受付の女性が戻ってきた。

「ギルド長と話したところ冒険者加入は問題ないのですが、レベルが測れないためE級スタートでよければ、とのことですが・・・」

「まったく問題ありません。是非加入させてください」

「申し訳ありません。ありがとうございます」

受付の女性は申し訳なさそうに言うが、よくてDランクだと思っていたのでまったく問題はない。

すぐに加入させてくれてありがたい。


「おっさん、ちょっといいか?」

加入手続きを終えると、冒険者のパーティーに声をかけられた。

「俺達は、黄金の絆ってパーティーを組んでいる。ダンジョン攻略のメンバーを一人捜してるんだが、手伝ってもらうことはできるか?」

"パーティー"・・・。まさかの招待だった。

「それはありがたい!完全な初心者で、なにも冒険者のことをわかっていないんだ。俺はグレン。是非参加させてくれ」

「よし!決まりだな。俺はタタンガ、よろしくな。明日の朝8時に町の門の前で集合で」


冒険者ギルドをでると、何故か暗い顔をしたフェンが待っていた。


「冒険者登録していたのか。ランクはどうだった?」


トラブルにあったが、無事登録できたことを報告した。


「それでE級ね・・まあ、登録できたならよかったな。ところで」


「それよりも、聞いてくれよ!パーティーに誘われたんだぜ!パーティー!!」


興奮冷めやらず話を続けた。声がうわずってしまい、フェンは少しとまどっていた。


ペットOKの宿も無事とれて、翌日の朝を迎えた。


「よくきてくれたな。今日はよろしく頼むぜ」

合流したパーティーは、タタンガ含めて3人パーティーだった。タタンガが戦士、他が魔法使いとシーフだろうか。


フェンは門の前で見送ってくれた。


ダンジョンの前で作戦会議をおこなう。

「今からいくダンジョンは、E級のダンジョンだ。おっさんは初心者だから、俺達でモンスターは討伐していく。

おっさんは後でドロップアイテムを回収していってくれ」


どうやら初心者の俺に、見本をみせてくれるようだ。いいやつらだ。


ダンジョンを進むと、ボス部屋の前まできた。一度みんなで休憩をとる。

この町のダンジョンではボス部屋があり、一度ドアを閉めるとボスを討伐するまで中からは開けられないそうだ。

「よし、準備できたな。一旦荷物は俺が預かる。レベルが低い順に入るきまりになっているから、おっさん先頭で中へはいるぞ」


荷物はタタンガが持ってくれるようだ。E級ダンジョンに慣れているとはいえ、初めてのパーティー攻略。緊張してドアをあけ、

中に入る。

先頭の俺が入ると、ドアが閉じてしまった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ダンジョンの帰り道、タタンガは荷物内の大量のドロップ品をみて、満面の笑みを浮かべていた。

「がーっはっはっは!!今回もうまくいったぜ!!」

「そうですねえ。初心者ボーナスでドロップは増えていますし、ずっと荷物持ちしてくれました。初心者は最高のパートナーですな」

魔法使いは笑いながら言った。

タタンガのパーティー黄金の絆は、金目当てのパーティー集団だ。ランクはC。今回のダンジョンは本当はBランクダンジョンで、ボスと戦おうとは思ってもいなかった。

冒険者加入1ヶ月未満の者がいるパーティーでは、モンスターからのドロップにボーナスがつく。ボス以外の雑魚モンスターからのドロップ品目的だった。


タタンガ達がダンジョンの出口をでると、一匹の白い犬が立っていた。


ジッとタタンガ達を見つめ、話しかける。


「おい。グレンはどうした?」

「ん?誰だ?グレンって。・・・ああ、あのおっさんの名前か。そういやそんな名前だったな。今頃、ボスに原型もなくなるぐらい

やられてんじゃねえか?」


そもそも名前すら覚えていなかったようだ。すぐに死ぬ人間の名前なんてどうでもいいってことか。


「そうか・・・。あいつ、パーティーに誘われたってすげえ喜んでたんだけどな」

「そりゃそうだろうよ。最後に俺達C級パーティーの役にたったんだから光栄だろ。あいつも成仏してるさ。いい金になってほんと感謝してるんだぜ」

隣のシーフが言うと、全員笑い出した。


「・・・はあ。お前ら人間は、ほんとどうしようもねえな」


瞬間、犬の毛が総立ちになる。

毛先から赤色に染まっていき、犬の周囲に灼熱の炎が発生する。

あまりの高熱からか周囲が歪み、犬は太陽のように揺らいだ。

気温が急激にあがり空気が薄くなる。タタンガ達は呼吸ができなくなり、身体の震えが止まらず、指一本動かすことができない。

「かっ・・・はっ・・・、て、、めえ、一体・・」

「俺は今気分が悪い。お前らがあいつと同じ人間ってことが許せねえ。消えてなくなれ」

犬が大きく口を開くと、ブレスがパーティーをおそった。ブレスが消えると、パーティーは完全に消滅していた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


俺はダンジョンボスと対峙していた。

竜のゾンビのようだ。

ゾンビは口に火をため、今にも放とうとしている。

「ゾンビなのに火を使うんだな。燃えて死なないのか」

くだらない違和感は感じるが、特に恐怖を感じない。

見たことのないボスとはいっても、E級ダンジョンのボスならこれまで散々討伐してきた。


ゾンビのはなった火をスキルの「ガード」で防ぎながら前進する。


戦士である俺の使用可能スキルは3つだけ。「強撃」「なぎ払い」「ガード」。


ダンジョンの攻略を繰り返したおかげで、「ガード」に関してはE級モンスターの攻撃をすべて防ぐことができるようになった。


ゾンビの目前にきたら後は攻撃するだけ。最近は特に必要ないので、「強撃」はめったに使わない。


右手の剣を振り下ろす。エンドの森のゴブリンからもらった量産品だ。

ゾンビを一刀両断した。やはり、しょせんE級だった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「おかえり、グレン」

ダンジョンをでると、フェンが待っていた。


「・・・ただいま。フェン、タタンガ達を見なかったか?」

「ああ、お前の分の報酬だけ残してどっか行っちまったぜ。なんか旅にでるって言ってたな」

「そうか・・・。なんか俺だけボス部屋に入ってしまったから怒ってなかったか?やはりパーティーでの攻略って難しいな」

「怒ってなかったぜ?でもお前にパーティーはあわないんじゃないか?しばらくソロで頑張ったらどうだ」


多分ボス部屋の入り方が悪かったんだろう。俺だけで討伐してしまい、討伐報酬も一人でもらってしまった。

申し訳ないことをした。今度タタンガ達に会ったら、詫びをいれよう。


「グレン、腹減った」

「・・・おう、じゃあ冒険者ギルドでドロップ品を換金して、すぐ飯食いにいくか」


エンドの森のダンジョンとは仕組みが違っている。しばらくはダンジョンには手をださず、清掃や害獣駆除で稼いでいくことにする。

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