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好意の過去

今回は雅の過去編です。。

 雅がユウリの奈落への落下でショックを受け、気を失って眠っている時に、昔のことを思い出していた。


 それは、高校一年生の時だった。雅はその頃からかなりモテていて、多くの男子生徒たちから告白されていた。


「天野さん、俺と付き合ってください!」

「ごめんなさい」


 そして、その告白を尽く断ってきた。無論、雅は恋人が欲しくないわけではない。むしろ、欲しかった。だが、付き合う人は、自分で決めた人がいいということだった。


 そんな事を考えている時期に、雅は移動教室のため廊下を歩いていた。すると、他の生徒とぶつかり、教科書やノートを落としてしまった。


 周りの生徒たちも声をかけてきたが、雅は大丈夫と断った。なぜなら、女子生徒たちは多くの男子生徒から告白されてきた雅の事が気に食わないのか、その状況を笑って楽しんでいた。男子生徒たちは自分の私利私欲のために助けようとしている。そんなものが雅は大嫌いだった。


「・・・・・・大丈夫?」

「え?は、はい・・・・・・」

「はい、教科書。それじゃ」

「あ、ありがとう・・・・・・」


 そんな中、唯一自分をそんな目で見ないで、普通に接してくれる人が現れた。雅はその生徒の事が気になり、徹底的に調べた。


 その生徒の名前は、久世ユウリ。家族構成は、実父と再婚相手の義母と連れ子の妹がいる。彼には中学時代からの友人である葛城慶太がいて、大体いつも一緒に行動している。性格は少し穏やかな方でみんなに優しく、色々な人と交流がある事から知り合いが多い。


「・・・・・・なんか私、単純なのかな?」


 自分でも変だと分かっている。自分と接する態度が他人と違うだけで、こんなにも気になるなんて。


 雅が自分の気持ちと葛藤していると、和馬が話しかけてきた。


「やあ、雅。何を悩んでいるんだ?」

「あ、和馬君。いや、ちょっとね・・・・・・」

「雅、放課後みんなと遊びに行かないか?」

「あ~、ごめんね。今日はパスで」


 雅と和馬は幼馴染で、よく和馬は雅に話しかけてくる。和馬自身は悪意が全くないのだが、雅は内心少しそれを嫌がっていた。


 なぜなら、そのせいで二人は付き合っているという噂が流れれば、雅がユウリに接触するチャンスがなくなるからだ。


 そんな不安を抱えながらも二年生になると、雅とユウリは同じクラスになった。雅は名簿を見るたびに、嬉しさでニヤけ顔が止まらなかった。


 同じクラスになったおかげで、ユウリと毎日挨拶や談笑ができるようになって、雅はかなり幸せだった。


 そんな雅に新しい友達ができた。名前は山下皐月。少しおっとりしていて、文学少女という方がしっくりくる。


 雅と皐月はある日、女子の定番の恋バナをしていた。


「ええ!じゃあ、皐月は葛城君の事が好きなの!?」

「す、好きっていうか・・・・・・気になるっていうか・・・・・・」


 皐月の話を聞いて、雅はある作戦を思いついた。


 作戦を決行する朝、雅とユウリと慶太は談笑していた。


「久世君と葛城君っていつも一緒だよね?付き合い長いの?」

「ああ、慶太とは中学からの付き合いだな」

「確か、話をした時に意気投合してからだね」

「へ~、そうなんだ・・・・・・」

(ごめんなさい、知ってました・・・・・・)


 雅はすでに知っていた情報に申し訳なく思ってしまった。


 雅は早速、昼休みになった時に皐月を連れてユウリと慶太を誘った。そして、一緒に昼食を取りながら談笑をしていると、皐月がまさかの名前呼びを推奨をしていたので、雅もさすがに驚いた。だが、これはチャンスと思い、雅も皐月に便乗した。


 ユウリと慶太は最初は渋っていたが、折れて名前で呼んでくれる事となった。その時の雅は心が満たされていて、満足感がすごかった。


 すると、その後あの出来事が起きた。異世界召喚である。


 急な状況で不安で押し潰されそうだったが、雅はユウリと一緒なら頑張れた。雅はその瞬間、こんなにもユウリの事が好きなんだと再確認した。


 そして、雅はそんな思いを抱きながら、現実へと戻っていくのだった。

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