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運命の分岐点

 ユウリたちが異世界に来てから数日が経った。あれからユウリたちは訓練を続けて、武器の扱いにもだいぶ慣れて、魔法もそこそこ使えるようになっていた。


 そんなユウリたちは食堂で朝食を食べていた。


「・・・・・・もうこっちに来てからかなり経つよね?」

「そうだな~」

「今日も訓練かな?」

「でも、私はだいぶ魔法を使えるようになったよ」


 ユウリと慶太、雅、皐月は四人でグループになり、今日のことを話していた。


「今日からダンジョンに潜って、魔物を倒したりして実践経験を積んでもらう」


 騎士団長のラグドが食堂に来て、ユウリたちにそう伝えた。そう言われてテンションを上げていたクラスメイトたちは食事を済ませた後、ラグドに指定された場所に来ていた。


「・・・・・・ここがダンジョン?」


 そこには、大きな扉と洞窟があった。そして、ラグドからダンジョンの説明が行われた。


 ダンジョンとはかなり昔にできたもので、そこには魔物などが住み着いたりしていて、トラップなどもあるらしい。だがそれを越えて行けば、財宝やレアアイテムなどがあるとのことだった。因みに、ダンジョンはこの他にもあり、このダンジョンは階層型のようで第50階層まであるが、今のところ最高で第21階層まで行けたらしい。


 ダンジョンに入るために四人一組でチームを組むとのことだったので、ユウリたちはユウリ、慶太、雅、皐月のいつもの四人で組むことにした。


 クラスメイトたちがラグドに連れられ、ダンジョンに入って行くので、ユウリたちもダンジョンに入ろうとした。すると、ユウリたちは城の方の道から馬車が、こちらに向かっていることに気が付いた。そして、馬車がユウリたちの前で止まり、降りてきたのはなんとアリサだった。


「アリサ!?なんでこんな所に・・・・・・」

「・・・・・・今日、ダンジョンに潜ると聞いて、来てしまいました」

「うへ~、アリサちゃん行動あるね~」

「アリサ、怒られない?」

「ええ、バレたらきっと怒られるでしょうね・・・・・・」


 何故、慶太たちがアリサを知っているのか。それは、あの二日目の後、ユウリは慶太たちとアリサを会わせていた。そこで慶太たちはアリサと仲良くなった。


 どうやら、アリサはユウリたちを見送りに来たらしい。


「皆さん、どうぞ無事に帰ってきてくださいませ」

「おう」

「うん」

「はい」

「行ってきます!」


 ユウリたちはアリサに見送られながら、ダンジョンに入っていった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~




 ユウリたちがダンジョンに入ると、クラスメイトたちはそれぞれで作ったグループでダンジョンの中を探索していた。一応先行し過ぎないように、ラグドや騎士団が注意を払っていた。


 ユウリたちも決められた範囲内で探索を始めた。


「・・・・・・しかし、ダンジョンって広いな」

「そうだね」

「・・・・・・ねえ、あそこ見て」


 雅はダンジョンの大きさに感心しているユウリたちと慶太を呼び、ある方向に指を指した。そこには先にいたグループが狼のような魔物、ハウンドウルフと戦っていた。だがやはり、初めて魔物と対峙すると怖いのだろう。クラスメイトは剣を振っていたが、しっかりと振れなくてハウンドウルフに当たらない。


 すると、ハウンドウルフはクラスメイトたちに襲いかかった。しかし、クラスメイトたちはそれを避けて、脱兎の如く騎士団がいる方へ走って行った。


「・・・・・・あいつら逃げるの速いな」

「・・・・・・脱兎の如くってあんな感じなんだね」

「ちょっと二人とも、そんなこと言ってる暇ないよ」

「・・・・・・あの人たちが逃げたっていうことは、ここにいるのって私たちだけなんですよね?」


 皐月のその言葉に、ユウリと慶太は思い出したようにハウンドウルフの方を見た。ハウンドウルフは威嚇しながら、こちらを見ていた。


「・・・・・・これは、やるしかないかな?」

「・・・・・・やるしかないね」

「じゃあ、やるか。・・・・・・みんな、いくぞ!」

「「うん!」」


 ユウリたちはそれぞれ武器を取り、戦闘態勢をとる。正直、ユウリたちも魔物に対して恐怖心はある。だが、ここでやらなければ自分たちがやられると分かっている。だから、ユウリたちは恐怖心を抑えて、剣を握った。


 ユウリたちの戦術は、ユウリと慶太が前衛で皐月が援護をし、雅が皐月を守るという形だ。


 戦闘態勢に入ると、慶太はハウンドウルフに向かって走り、剣を振った。だが、ハウンドウルフに避けられ、少しかすった程度だった。すると、ハウンドウルフはユウリに襲いかかった。


「ユウリ、そっちに行った!」

「ああ!・・・・・・今だ、皐月!」

「う、うん!・・・《ライト・シールド》」


 皐月が魔法を唱えると、ユウリの前に光の壁が出てきた。襲いかかってきたハウンドウルフは、その光の壁にはじかれた。そして、ユウリは《ライト・シールド》が消えるのと同時に剣を振り、ハウンドウルフを切り裂いた。切られたハウンドウルフは徐々に動かなくなった。


 ユウリは切った際に顔に着いた返り血を手で拭い、剣を握っている手を見た。そこには、先程肉を切った感覚が、生々しく残っていた。しかし、それはこれから慣れるしかないのだろう。


 そんなユウリを心配して、慶太たちが近づいてきた。


「・・・・・・ユウリ、大丈夫?」

「・・・・・・ん?あ、ああ。俺は大丈夫だ。慶太は?」

「うん、僕も大丈夫だよ」

「っていうか、皐月の魔法凄かったよ!」

「そ、そうかな~?・・・・・・えへへ」


 皐月は雅の褒めに照れていた。その後も時間が許す限り魔物を倒していき、ユウリたちは感覚を慣らせていった。


 そろそろ今日のダンジョン探索の時間が終わるので、ユウリたちは、クラスメイトやラグドの所へ戻ることにした。その時だった。


「ーーっ!みんな逃げろ!」


 ユウリが慶太たちに向かって叫んだ。すると、もう少しで視界が開けそうな所へ出る瞬間に、複数の火球がユウリたちに向かって飛んできた。しかし、火球はそれぞれユウリたちから逸れ、地面や天井へ当たった。


「・・・・・・危なかった。なんで火球が飛んできたんだろう?」

「「び、ビックリした~」」


 慶太たちが自分たちに放たれた火球に驚きながらも、外れたことに安心していた。だが、ユウリは道の向こうで、自分たちに火球を放つ人影が見えていたので、追いかけようとした。すると、火球が当たった天井にヒビが入っていることに気が付いた。


「ーーっ!危ない!」


 天井のヒビに気付いたユウリは慶太たちを前に突き飛ばすと、天井が崩れ落ちてきた。慶太たちはユウリに突き飛ばされたおかげで助かった。ユウリも天井の崩落を、どうにか回避できた。しかし、崩落のせいで、ユウリと慶太たちは分断してしまった。


「ーーはっ!ユウリ!」

「・・・・・・ユウリ君?っ!ユウリ君!」

「ーーユウリ君!大丈夫ですか!」


 慶太たちは自分たちがユウリに突き飛ばされたことに気が付いた後、すぐさま起き上がりユウリを呼んだ。


「大丈夫だ!俺は別の道がないか少し確かめる!慶太たちはラグドの場所に戻ってこの事を報告してきてくれ!」

「・・・・・・分かった!ユウリも気を付けて!」

「ああ!」


 するとその矢先、ユウリのいる場所の地面が崩れてきた。どうやら天井同様、火球でヒビが入った後、天井の崩落の衝撃で崩れ始めたらしい。


「ーーなっ!」


 ユウリの足元の地面も崩れていき、地面がなくなった。


「くっ!くそ!・・・・・・うああああああぁぁぁ」

「ーーっ!?ユウリ?ユウリ!」

「ユウリ君!どうしたの!?」

「ユウリ君!」


 ユウリは壁に手を伸ばし、掴まろうとした。しかし、ユウリの手は壁に届かず、自分のことを呼ぶ慶太たちの声と共に、底が見えない奈落へと落ちていった。

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