悪意なき忠告と告白
最近忙しくて投稿できませんでした。。
ユウリがリアルスからシナクイ村に帰ってきてから二週間が経った頃、こちらではダンジョン攻略が続いていた。
「皐月、そっちに行ったぞ!」
「うん!《ライト・アロー》ッ!」
魔物を倒した皐月に慶太たちは駆け寄った。
「お疲れ、皐月」
「うん」
「皐月、大丈夫かい?」
これまでの慶太たちのパーティーと少し変わった所があった。それは、慶太たちのパーティーにクレイが加わったのだ。
そして、この慶太たちのパーティーがユウリの捜索隊でもあるのだ。
「クレイ、そっちはどうだった?」
「こちらもダメだ」
慶太はクレイにユウリの手がかりがあったかを聞いたが、何も発見されなかったそうだ。
すると、ラグドが慶太たちを呼んだ。
「クレイ様、そろそろ次の階層に下ります」
「・・・・・・分かった」
慶太たちは今、第12階層まで来ていた。そして、そこから下りて第13階層。
だが、今回は第13階層まで下りるのが目的だったため、慶太たちは先に進みたい気持ちを抑えて引き返した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
慶太たちは城に戻ると、クラスメイトと食事を取っていた。クレイは王族という事もあり、別室で食事をするとの事だった。
食事をしているとクラスメイトたちの表情はとても楽しそうで、どこか必死に思えた。
「・・・・・・みんな楽しそうだね」
「多分みんな、ユウリ君が奈落に落ちた事を考えたくないんだと思う」
すると、慶太たちの所に和馬が来た。
「やあ、どうしたの?そんなに暗い顔をして」
「・・・・・・どうしたって。君たちはユウリの事は何とも思わないのか?」
和馬は目を伏せて、首を横に振った。
「確かに、久世の事はとても残念だと思う。でもだからこそ、俺たちはあいつの分まで強くならなくちゃいけないんだ!」
「ちょっと、和馬!いい加減にして!まだユウリ君はまだ死んでない!」
雅はユウリが死んだ事にされたのが気に入らず、和馬に怒った。
だが、和馬はそんな雅を憐れむ様子だった。
「雅、認めたくないのは分かる。だけど過去にとらわれてはいけない。これからは俺と一緒にこの世界を救おう」
それを聞いて、今まで抑えていた慶太は席を立ち、和馬に詰め寄った。
それは一触即発の雰囲気で、かなり空気が張り詰めていた。
すると、そこに和馬と同じパーティーの桐矢が割って入った。
「待て待て、お前ら落ち着けって。和馬も今のは言い過ぎだ」
「そうか?言い過ぎか?」
「言い過ぎだ。葛城も今回は許してやってくれ、頼む!」
「・・・・・・秋原君、今回だけだよ」
そう言って、慶太たちは食堂を後にした。
食堂を出ると、慶太たちは自分たちの部屋に戻った。
「はあぁぁ」
慶太は部屋に戻ると、ベッドに座りため息をついた。
(ユウリの事を言われると、さすがに本気で激怒しそうになったな~)
今は誰も使っていない向かいのベッドを見ながら、そんな事を考えていると、扉をノックする音が聞こえた。慶太が部屋の扉を開けると、皐月が立っていた。
「皐月?どうしたの?」
「ちょっと、話したい事があって・・・・・・」
慶太はとりあえず皐月を椅子に座らせた。
「皐月、話って何かな?」
「うん、さっきの事なんだけど」
先程の事と出て、慶太の顔が少し険しくなった。
「この世界はいつ命を落とすか分からない。・・・・・・だから、今のうちに言おうと思ったの」
「?」
皐月は身体をモジモジとさせ、顔を紅潮していた。
「その・・・・・・私、慶太君の事が・・・・・・好きです!付き合ってください!」
「・・・・・・え?ええぇぇぇぇ!?」
突然の皐月からの告白に、慶太は少しの間思考停止したがすぐに理解をし驚いた。それもそうだろう。こんな状況でいきなり告白をされたのだから。
だが、そんな慶太は意外とまんざらでもなかった。慶太も皐月の事は気にはなっていた。
「な、何で僕なの?」
「え!・・・・・・えっと、なんていうか。その、一目惚れだったというか、その・・・・・・」
皐月は恥ずかしそうにモジモジとしながら答えた。
慶太も少なからず皐月に好意はあった分、余計に意識してしまった。
慶太は絶対に真っ赤になっていると分かるくらいに顔が熱くなっていた。それでも、真剣に答えようと恥ずかしい気持ちを抑えて、皐月を見た。
「あの、その。・・・・・・僕で良ければ、お願いします」
「・・・・・・本当にいいの?」
「うん」
慶太は皐月の告白に緊張しながらも答えた。
「・・・・・・じゃあ、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
その次の日に、雅とクレイに慶太と皐月が付き合った事が知られ、祝われてから、かなりからかわれたようだ。
ブックマークお願いします!