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夜の防衛戦 前半

 夜の村に警鐘が鳴り響くと、村全体が騒がしくなった。


 ユウリも自分の剣を腰に差し部屋から出ると、レオンたちも部屋から出てきた。


「・・・・・・何かあったらしい。急いで確かめに行くぞ」

「ああ」


 ユウリたちは急いで村の広場に行くと、村人たちが松明を焚いて集まっていた。


 ユウリとレオンは見張りの人に今の状況を聞いた。


「一体何があった?」

「森の方から・・・・・・ゴブリンやオークの群れが・・・・・・こっちに」

「ゴブリンやオークの群れだと!何故、今・・・・・・」


レオンは今の状況にかなり驚いたが、すぐに冷静になって村人たちに指示を出した。


「皆、よく聞いてくれ!今から魔物の群れがこちらに向かってくる!女子供は安全な場所へ避難するんだ!そして、男は武器になりそうな物を持って、半分は避難の護衛!もう半分は俺と共に防衛に徹する!」


 村人たちはもレオンのこの指示通りに動いた。ユウリはレオンと共に魔物の群れを迎え撃つようだ。


「フェルカ、母さんを頼んだ」

「うん、任せて」


 フェルカはレオンにそう言われると、ユウリの方を向いた。


「ユウリ、勝ってきてね」

「ああ、任せろ」


 フェルカはユウリにそう伝えると、避難する人たちの方へ行った。


 そして、レオンは防衛に残った村人たちの前に立ち、作戦を伝えた。


「魔物の群れの大半を、俺とユウリで引き受ける。皆は漏れ出てきた残党を頼む。だが、オークの群れは俺とユウリで倒す」

「「「おお!」」」


 レオンが作戦を伝えると、皆それぞれが配置についた。ユウリとレオンは村の外で魔物の群れが来るのを待っていた。


「すまんな、ユウリ。巻き込む形になって」

「いや、大丈夫だ。気にするな」


 ユウリとレオンが話していると、次第に地ならしのような音が聞こえていた。


 目を凝らしてみると、ゴブリンやオークの群れがこちらに向かってきた。


「来たか。・・・・・・行くぞ、ユウリ!」

「ああ!」


 ユウリとレオンは剣を抜くと、ゴブリンやオークの群れに突っ込んだ。


「「「「ガアアァァァァ!」」」」

「《フレア・ショット》」

「《ライトニング・ブラスト》」


 ユウリとレオンは大量の魔物の群れに対して、魔法を放った。


 レオンが使った《ライトニング・ブラスト》は上級魔法で、高火力のレールガンを放つ魔法だ。普通は魔法陣から放たれるのだが、レオンは魔力を大剣に流したので剣から魔法が放たれた。


 そのおかげで、ゴブリンの群れは半分まで減った。


 残った半分のゴブリンをユウリは片手剣で斬り、レオンは大剣で斬り払った。それでも、間から抜けていったゴブリンは、後方で待機している村人たちが仕留めた。


「しかし、数が多いな」


 ゴブリンを一通り倒すと、オークが数体こちらに向かってきた。残った数体のゴブリンは後方の村人たちに任せて、ユウリとレオンはオークへと標的を変えた。


「ユウリ、あとはオークだけだ。踏ん張れよ」

「おう」


 オークはC・Bランククラスの魔物だが、ゼハード迷宮を一人で攻略したユウリには弱く感じた。


「《ライト・アロー》ッ!」


 だが、初級魔法しか知らないユウリは、オークを倒せるものが剣しかないので、思ったよりも戦闘が長引いた。


 それでもオークを倒せたユウリはレオンを見ると、オークを大剣で次々に切り伏せていたので思わず苦笑いをした。


「さすが元Aランク冒険者だわ」

「おう、ユウリ。そっちは終わったか?」

「ああ、なんとか」


 レオンはユウリが倒したオークを見た。


「意外と倒しているな」

「まあな。これでもダンジョン攻略者だぞ」

「ははは、そうだな」


 レオンはユウリの背中をバンバンと叩いて笑った。


 後方も音が収まると、村人たちが歩きながらこちらへ来た。


「お~い!そっちは終わったかい?」

「ああ、終わったよ」

「いや~、ゴブリンを倒すだけだったから無傷で済んだよ」

「・・・・・・?」


 ユウリは村人の言葉に、どこか違和感を感じた。


「ゴブリンは攻撃してこなかったのか?」

「ん?ああ、そういえば攻撃はしてこなかったな」

「・・・・・・」


 ユウリは顎に手を当て、もしやと思いレオンを見た。すると、レオンもユウリと同じ事を考えていたようだった。


「レオン・・・・・・」

「ああ。戦っていて、少しおかしいと思ったんだ。何故、ゴブリンは攻撃してこなかったのか。何故、ゴブリンやオークがこちらへ来たのか」

「もしかすると、住処を奪われたか、身の危険があるからこちらへ逃げてきたか」


 ユウリとレオンの言葉に村人たちはどよめき始めた。


「お、おい。つまり、どういう事なんだ?」

「つまり、もっとヤバいのがいるって事だ」


 レオンが質問に答えると、村人たちの顔色が蒼白になっていた。


ーーゾクッ!


「「ーーっ!?」」


 すると、急に背筋が凍るような威圧を感じた。ユウリとレオンは威圧を感じた方を見た。


 威圧を感じなかった村人たちは、ユウリとレオンが何をしているのか分からず首を傾げた。


「どうしたんだ、レオン?」

「不味いぞ。かなりヤバいのが来る。・・・・・・お前たち、早くここから逃げろ!」

「本当にどうしたんだよ?」

「いいから!今は言う通りにしてくれ!」


 レオンの怒鳴りに、村人たちは驚いていた。元とはいえ、Aランク冒険者だったレオンがここまで焦るとは思わなかったからだ。


「・・・・・・来る」

「・・・・・・グルルルル」


 ゴブリンやオークの群れが来た方向から、三つの顔を持った魔物が現れた。その魔物からはかなりの威圧が放たれていた。


「・・・・・・ヘルケルベロス」


 ヘルケルベロスはユウリたちを見ると、夜の空に咆哮をあげた。

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