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シナクイ村

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ありがとうございます。。

 目を覚ましたユウリの目に映ったのは、木製の天井だった。


「・・・・・・ここはどこだ?」


 ユウリが起きると今の状況を確認した。ここには住んでいる形跡がある事から、どうやらここは誰かの家のベッドで寝ていたという事になる。そして、身体には包帯が巻かれていて、手当てがされていた。


 ユウリが今の状況に戸惑っていると、コンコンッと扉をノックする音がした。扉が開くと、ユウリと同じくらいの年の少女が入ってきた。


「あ、えっと・・・・・・」

「ああ、起きたのですね。少し待っていてください」


 そう言って、少女は急いで下の階に下りて、誰かを呼びにいった。


 少しすると、先程の少女は30代くらいの男を連れて戻ってきた。男はベッドの近くにあった椅子に座り、少女も隣に座った。


「よお小僧、起きたんだな。俺の名前はレオンで、こっちは娘のフェルカだ。お前さんの名前は?」

「あ、えっと・・・・・・。久世ユウリです。久世が名字で、ユウリが名前です」

「ほ~、珍しいな。んで、ユウリ・・・だっけか?何であんな所で傷だらけで倒れていたんだ?」

「あんな所?」


 どうやら、ユウリはレオンたちが住むシナクイ村の近くの草原で倒れていたそうだ。そして、たまたまそこを通りかかったフェルカとレオンに発見され、運ばれたそうだ。


(・・・・・・多分あの部屋の魔法陣のせいで、ここに転移したのだろう)

「?どうした?」

「え?ああ、いや。助けていただいてありがとうございます」

「いいって、いいって。それより、三日間も寝てたんだ。腹が減っただろ?下に来いよ、飯だ。話はそこで聞く」


 そう言われたユウリは予め用意されていた服を着て、下の階に下りた。しかしユウリは自分が三日間も寝ていたという事実に驚いていた。一階へ下りると、美人な女性が食事の用意をしていた。美人な女性はレオンの奥さんなのだろう。


 ユウリはレオンたちと食事をしている時に、様々な事が分かった。


 まず、ここはシナクイ村という集落で、ルーリアン王国からかなり遠い場所にある事。そして、ここに住んでいるのは、レオンと娘のフェルカ、奥さんのフィラの三人家族である事。フェルカはユウリと同じく17歳である事、等々。


 ユウリも自分の事や今までの経緯をレオンたちに話した。


「・・・・・・なるほどな、事情は大体分かった。お前さんはしばらくここに住むといい。部屋はさっきの所を使え」

「あ、ありがとうございます」

「それと、敬語はいい。今日はゆっくり休め」


 レオンは食べ終えると席を立ち、フィラと一緒に荷物を持って自分たちが所持している畑に向かった。部屋に残されたユウリとフェルカはお互いを見た。


「あの、フェルカさん」

「フェルカでいいよ、同い年だし。私もユウリって呼ぶから」

「分かった。フェルカ、この村の近くにダンジョンってあるのか?」

「ダンジョン?どうだろ?お父さんに聞けば、分かると思うよ」

「そうか」


 その後、ユウリはレオンたちが帰ってくるまでの間、フェルカにこのシナクイ村を案内してもらった。





~~~~~~~~~~~~~~~~~





 レオンたちが帰ってきたのは夕方頃だった。


 ユウリは夕食を食べ終えると、レオンにダンジョンの事を聞いた。


「ダンジョンか・・・・・・。悪いが、この辺でそういうことは聞いた事がないな」

「・・・・・・そうか」


 ユウリがこの周辺にダンジョンがないと分かると、少し考え込んだ。すると、フィラが何か思いついたようだった。


「あなた、あの街なら何か分かるんじゃないかしら?」

「・・・・・・なるほど。ユウリ、明日近くの街に行ってみないか?」

「は?街?」

「そうだ。リアルスという街なんだが、そこにはギルドっていう組合がある。そこで、ダンジョンについての情報を集められると思う」

「ギルドか・・・・・・」


 ユウリがレオンにギルドについて聞くと、どうやらユウリたちの世界と認識は同じようだ。


 ギルドとは、冒険者がそれぞれの依頼を受理したりする所だ。ギルドには様々な人が出入りするので、情報はそこに集まるらしい。


「そうだな。明日、リアルスに行こう」

「おう、任せておけ」


 ユウリたちが明日の予定を決めていると、ふいにフェルカが声をかけてきた。


「・・・・・・ねえ、ユウリ。帰ってきたらユウリの世界の事、色々教えてね?」

「分かってるよ。帰ってきたら、ちゃんと教えるよ」


 昼間、ユウリはフェルカに村を案内されている時に、自分がいた世界の事を教えると約束したのだ。


「なんだなんだ?いつの間にお前ら、そんなに仲良くなったんだ?」

「昼間にユウリに村を案内している時に、仲良くなったんだよ」

「フェルカの話も面白かったから、村を回るのも楽しかったよ。お気に入りの場所も見つかったしな」


 そんな話をしていると、食器を洗い終わったフィラがユウリたちに声をかけた。


「そろそろ寝なさい。明日は早いんでしょ?」

「そうだな。明日は早いし、もう寝るか」


 そう言って、ユウリたちはそれぞれの部屋に戻り、明日に備えた。

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