第1話
久しぶりの投稿です。
誤字などがありましたら報告お願いします。
2032年第6地区周辺、 フードを深く被った何者かが路地裏を走っていた。
「はぁ、はぁ」
荒い息を出しながら懸命に後から追いかけてくる2人組から逃げている。
「まてゴラァ!」
「止まれ!」
背後から聴こえてくる声に耳を傾けるはずもなく複雑に入り組んでいる第6地区の路地裏を慣れた用に走り抜けていく。
そして角を曲がり、後ろの2人組も追いかけて角を曲がると
「なっ、あいつどこに行きやがった!」
「さっさと出てこい!」
どうやら2人からうまく逃げ切ることが出来たようだ。
「...」
そのままフードを深く被り直し自分を追いかけていた2人組を確認して路地裏の闇に紛れ込むようにして消えた。
「くそっ!あいつ絶対見つけ出してやる!」
「そうだな!あいつを捕まえるだけで懸賞金がたんまりもらえるんだからな!」
「ははは!確かに、こんな楽な仕事はねぇな!」
「あぁ、そうと決まったらまだ遠くには言ってないはずだ。ここらあたりをもう1度探すぞ」
「.......」
声をかけても反応しない相棒を不審に思い相棒の方を振り返ると
「?おいどうし...うわぁぁ!」
振り返った彼が見たものは地面から無数の槍のようなもので惨たらしく串刺しにされている相棒の姿であった。
「ハヤ...ニゲ...」
辛うじて絞り出した相棒の声を聴きその場から脱兎のごとく逃げ出そうとしたもう1人の彼は、
「うわぁぁぁぁああ!」
奥の道から出てくる黒い無数の手に体を捕まれ奥に引きずられていく。男が必死に抗おうと暴れるが男を掴む手が緩むことは無い。
「嫌だ!し、死にたくない!嫌、いやだぁぁぁああ!」
ぎゃああぁぁぁぁあああああ!!!
その後路地裏からは男の苦痛の叫びが木霊した。
ここは第6地区、世界で最も危険な街。
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僕の名前は水原 月。
第6地区に住むどこにでもいる普通の一般人だ。まぁ、変わったところといえば怪物みたいな仲間がいることかな。
「月さん、女の子に怪物と言うことは失礼ではありませんか?」
「...僕は心を見透かす人を同じ人だとは思えないよ」
少なくとも僕みたいな一般人とは別世界の人だ。
「そんなことはありません。あなただって随分と怪物じみてるじゃないですか」
「そんなことがあるわけないだろ」
僕のことを自分と同じだと思っている女の子は黒峰 架純 LvVIの怪物だ。
Lvというのは自分の格の大きさを表している。その人間としての格を上げれば上げるほど自分の魔力、武力、精神力などが上がりより強者に近ずく。まぁ、簡単に言うとLvが高ければ高いほど強いということだ。
ちなみに彼女のLvⅥというのは軍一個隊に単独で挑み無傷で勝てる強さだ。化け物だろ?
と言ってもLvもそう簡単に上がるものじゃない。人間の格がそう簡単に上がればこの世界は崩壊するからな。
なら、どうすれば人間の格が上がるか。
そこで活躍するのが《宝物庫》と呼ばれる異世界だ。《宝物庫》は世界中のどこにいつ出来るかは分からず突発的に発生しその中には魔獣と呼ばれる宝物庫特有の獣が存在する。その魔獣を倒すことで自分の格をあげることが出来る。
更にこの宝物庫、名前から察してはいると思うが中には宝が眠っている。
その宝は強い力を持つもの、売れば億万長者になれるもの、世界に災いをもたらすもの。
そして、英雄がこの世界に残していったものなどいろんな宝が存在する。
だから、《宝物庫》を目指し冒険をしていくものが多い。
「まぁ、いいでしょう。それより、これから《亜龍の峡谷》に向かうのですが一緒に行きますか?」
「そんな危険なところに僕が行くわけないだろう」
「はぁ、そうですか。では、ここで私は失礼します」
まったく、《亜龍の渓谷》なんてLvVIIクラスじゃないか。そんなところに僕なんかが行ったらすぐに殺されちゃうよ。
「さて、じゃあ僕達もそろそろ向かいますか」
「...御意」
小さく聴こえた了解の声を聴きながら僕は静かに歩き出した。
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