ヒーローにサバいてもばれへんのちゃうん?
お題にしたがい書きました。
前半しっぽり、後半笑いです。
前編
今日は娘と会ってきた。
元嫁と話の結果、
年に1度だけ会うことができる。
会った時はいつもうこうして
帰りの新幹線の中で回想するのだ。
普段は忘れるようにすらしている。
この新幹線でだけは
いつも娘への想いにひたる。
娘は少し大きくなっていて、
にぎやかな街を二人で歩いた。
途中で立ち止まり
「カラコン」を選んでいた。
百貨店では、
今は「ホワイトタイガー」
という名のブランドが流行っている。
とうれしそうに話していた。
娘に服を買ってやることは
子どもの頃を思い出してうれしい。
センスがギャルすぎずに安心した。
遅めの昼ご飯は寿司にした。
まわらないほうだ。
俺、がんばってたな。
中トロ、クルマエビ、アワビ、
ヒラメにウニ、イクラ。
よく食べるガキだ。
俺は未だに小遣い制なのだぞ。
私はしめ「サバ」とカッパ巻きで。
少し二人でふらりとして、今、帰路だ。
ビール3缶といつもの焼売がうまい。
あいつはモテるだろうな。
今の俺は親バカではなくバカな親だ。
昔はケンカをすると、相手の帰り血で
白いシャツが赤黒くなることから
奈良の「黒ヒョウ」と呼ばれてた俺も、
今は多くの弱点ができたものだ。
しみじみそう思う。
気を取り直してビールをひと口。
気づくと左の口角が上がっていた。
昔のクセが自然に久しぶりにでた。
富士山を過ぎてしばらく。
ビールをもう1杯買った。
娘はもう女の子ではなくなった。
あと数年で彼女も結婚するのだろう。
いつの間にか、早いな。
出席はできないけれど、
出席したいなあ。
少し飲みすぎたようだ。
ビールで熱くなった顔を冷やそうと
窓を開けた。
もう降っている雪が顔面に当たる。
すぐ窓は閉めた。
ああ、本当に、早いな。
眼から「そのままの雪」がこぼれた。
明日、また全てがそろう。
ー
後編
天気あやしい平日の昼。
許可もあやしい野外ステージ。
キャー助けて―。
悪の軍団「キューピット」の
魔の手が迫っている。
行くぞ正義の味方キャッタイガー。
キャー、ワー。
へへへ、この街ももう終わりだ。
それまでだー!!
ん?だれだぁ?
クッロッヒョウ
ホワイトタイガー
カラコンライオン
サバパンサー
、、、、、
ひ、ひとり足りないいいいい。
もめだすヒーローたち。
「おま、遅刻?休み?知らんか?」
「俺知らんし4人でいこや」
「バレへんのちゃうのん」
「おい、おれ、サバやねけどヘンじゃね?」
「バレへんのちゃうのん」
ざわつく舞台。
ざわつく会場。
いつのまにかチラホラと雪も降っていた。
すると、客席から子どものこんな声が。
「そのままの雪だぁ」
ん?会場からの声がどんどん強くなる。
「あら雪」「初雪だわ」
「雪降りましたね」
「そのまんまの雪ぃ」
そのままの雪!
そのままの雪!!
そのままの雪!!!
コールにまでなる会場。
ひねくれるヒーロー。
「雪でもりあがってまんがな」
「今のあいだに4人で」
「バレへんのちゃうのん?」
「俺サバおかしないんけ!?」
「はよ4人でいこ」
その時!!
客席から少しハゲぽっちゃりの
男性が舞台にあがる。
そうまるで容貌は温水さんのような。
歌舞伎ポーズでこのひと言。
「そのままの雪、参上」
会場テンション絶好調。
カラコンライオンのつぶやいたひと言が
ヒーローをまとめる。
「あとちゃっちゃっと終わらしたらええ」
ヒーローまとまり半端ない。
ヒョウ、タイガー、ライオン、パンサー?
あと自然現象。
やればできるやつらなのだ。
ステージは無事終わることができた。
仕事終わりの控室。
タバコを吸いながらもいる。
帰宅を急ぐ者もいる。
そこいるのはさっきヒーロー今おっさんたち。
そうゆやあのおっさんは?
聞くクロヒョウ。
ああ。終わったらすぐ、
乃木坂のグッズ買いに行ったよ。
答えるホワイトタイガー。
ふーん、あそ。
アメリカンペルシャがドタキャンとか
マジありえへん。
おっさんに助けられたね。
帰ったならギャラは俺らでわけわけか。
と、カラコンライオン。
なあ、俺サバはヘンじゃね?
と、サバ。
バレてへんかったのんちゃうん。
と、ん??あれ??
あなたの住まいの近くでも
そのままの雪を楽しんでください。
第一部おしまい。
「この部分で完結します」
読んで下さりありがとうございました。
前半は未成熟メインに成熟の中の未成熟を入れ、後半はその逆みたいな。
正直書き方わかってなくてすみません。
前書きあとがきが特にわからんことをあとがきに書いておきます。
ありがとうございました。