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現代山賊。  作者: 山狩楚歌
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第六話「採捕する事」

「浩一君よくやった。しかし、まだあくまで見つけたに過ぎない。

情報者は?商材販売担当者は?……」


「平田はん、言い過ぎやん。」


「掘岡黙っていろ!BANDITSを潰す気か?実際BANDITSは同好会ではなく生活なんだ。

どうなんだ浩一?そこまで調べたか?君が免許書を偽造する必要どこにもないだろ?

俺達はそこに縋れる日向はあるのか?BANDITSは生きられるのか?」


平田さんは盛岡の胸ぐらを掴み、目は鋭く、拳は握りしめていた。すぐにパッと離すと席に戻り

足を組み替え深呼吸した。僕の体はビクビクと震えていた。

僕は分からなかった。何も調べてなかった。

淳二は険しい表情をしながら頬付きをし、米噛みをトントン叩いている。


「僕は、僕は、えっと……」



淳二は米噛みのトントンをやめ晴れた顔をし、大きく背伸びをした。

背伸びを終えるとまた米噛みをトントンしだし静かに話しだした。



「浩ちゃんちょっと待って。平田さん、俺から提案あるんすけど。いいすか?」


「こんな時にどうした?」



「その上流2社って大手だし、(▼4)リエゾンしてるんじゃないんですか?

今回リエゾンを使った作戦を思いつきました。

今回上流が3社だしトリプルリエゾンと考えられます。ということは……」



▼4:リエゾン:利害関係を同じくする友好国のあいだでは相互に連絡要員を

派遣している事をリエゾンという。大体が寝返っても

大丈夫な末端の機関要員を派遣している。そうする事

により経済状況やニーズを詳しく捉える事ができ、

末端なので提携から外れ独立する際に切り捨てる事も出来る要員。


淳二は僕が聞いたこともない落ち着いた喋り方で、清らかで迷いがない声で語った。


「君にはまたしても僕は負けたよ。良いじゃないか、それをやろう。

すぐに上流2社のリエゾンの特定とメールアドレスと定形文の取得を皆でやってくれ。以上だ。」


「はい!」


みんなが返事をするといつも通りのポジションで各自準備を進める。

淳二と僕は持ち回りがないので平田さんとソファに座ってお茶を一口飲んだ。


「淳二、君が考えたトリプルリエゾン。失敗したらどうする?」


「いやー、失敗したらその時はその時だよ。平田さんからは色々な事を学ばせてもらった。

失敗したら次の策をその場で思いついてみせる。俺ら山賊だろ?

方位磁針を奪い合ってる2人を見たらもう一人の山賊はどうするか平田さん教えてくれたよね?」


「奪い合いには参加せずにじっと観察する。か……

違うものを奪い合っていたらそれを見越して欲しいモノを隠すってか。考えたな。」


「ハハ、それで平田さん、街に帰れる条件は?」


「俺にそれを聞くか。こりゃ参ったな。ひっ捕らえられるまで自衛団は街には帰れない。つまり、

2組の盗賊は自衛団を演じ街に降りるが、皆自衛団ですと主張するトライアングルは国営機関からは受け入れられずに民事を起こされる。」


「そう。それに便乗して風格ある芋虫を傷口に充てがって我々BANDITSがクラウンを演じるだけだよ。」


「淳二君、その後は上手いことやるからまかせなさい。」


「そんな怖いこと言わないでよ平田さん」



 そして各自情報が揃い皆の情報を集めるとそこにはもう1社の上流業者がほのかに5社浮かんだ。

初めに2社になりすましたメールでメールアドレス変更のメールを相互に送り様子を伺った。

偽C社文章はA社、偽A社文章はB社にデータを持ち帰るように虚偽の報告書を送った。


 そこからと言うもの、なし崩しで3社は相互リエゾンしている為徐々に暴かれ、

性器商材の宣材写真、詐欺罪の文章が見つかった。

互いにその下請けのハロハロサービスの商材は大手が回収する騒ぎになった。



ハロハロサービスの近くの噴水広場にはBANDITSが時計とパソコンを気にしながら居る。


「よし、突撃だ。」


との合図でライフラインが途絶えた建屋に黒ずくめのパーカー6人がフードを深くかぶり突撃する。


我々の歩調は清らかで迷いがなく、蟻のように列をなして歩く。

空中では毒針の準備完了を合図に、現実のインターネットをスズメバチが今日も飛翔する。


「金庫を開けろ。」


ナイフを構えPCにUSBを挿し商材のデータを移す。


「お前ら!A社かB社の奴らだな?回収はさせんぞ!」


ナイフを構え直し、一歩また一歩と近づいていく。そして金庫に2人の業者を狩立てる。


山の中の景色は葉や蔦が生い茂り内部では陰影を刻明に生み出し、

自衛本能を遮蔽した山賊が刃を向く。名義は盗まず現金だけ。


「金を詰めろ。」


業者らは金をカバンに詰めだしブロックをなすと1束だけは戻すように指示を出す。

自衛本能を持った山賊は牙を向けども知恵と罠を山賊に贈与する。


「それと引き換えにお前らにこの動画サイトを明け渡そう。たんまり稼げ。」


USBを床を滑らすように投げるとドアを閉じた。


 山賊は罠を張るが、崖から落下し自分の罠に剥ぎ取られる。

それを与え喰らい生存する我々の山賊。

狡猾は生きるため、山道閉塞は知恵。


 その2時間後、B社の黒ずくめの鉛玉の音がした。

その鉛声は曇天へと変わり、山の水へと浄化された。



ー翌日ー


『昨日未明、宮城県仙台市宮越団地の一角、ハロハロサービス株式会社の従業員3名が殺害されました。

捜査当局によりますと従業員5名の内、3名が死亡、2名は重体です。

近隣の住人によりますと何をしているのか分からない会社との……』


プツン



「あーあ、またいなくなっちった」


平田はそう呟きテレビのリモコンを置くと、数え途中だった札束をまた数え始めた。




昨日の目の当たりにした光景が寝られずに、また蘇り僕を取り囲もうとしていた。

まだ夏休みの初頭、4日目の山賊の出来事であった。











もう1社(C社の特定方法)


初めに2社になりすましたメールでメールアドレス変更のメールを相互に送り様子を伺った。

偽C社文章はA社、偽A社文章はB社にデータを持ち帰るように虚偽の報告書を送った。

A社はBに、B社はC社にリエゾンは報告書の情報を持ち帰ったが、

B社でC社常駐のリエゾンの報告書が虚偽の報告書だと不審に思った為、

B社は自社に常駐しているC社のリエゾンを疑うことをやめず、C社を潰しにかかる。

それを聞きつけたA社に常駐しているリエゾンは揉め事が起こった為、

商材の供給をストップするとリエゾンを引き上げさせた。

そこでC社が特定出来たのである。

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