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現代山賊。  作者: 山狩楚歌
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第11話「逆心する事」

豊田のヒールの足音と共に僕達の呼吸はまた動き出した。


「浩ちゃん、男の走ってる音無くなったよな?」


「なくなったな。豊田の言葉からして秋山って言う人に殺されたか?」


「殺されてたら今日あたりニュースでやっているかもしれない。」



 テレビをつけ、ニュースを見る。今までと変わらないしょうもないニュースしかやっていない。

しかしながら相手は海女。世間に晒されない様に処分してしまったのかもしれない。


 この世界ではこのことが当然の様に起こるのだろうか。

関わりを持った後は社会から居なくなるのか雲隠れするのか。

僕達はまだ海女の部下の”秋山”という人が男を殺したとは考えたくなかった。


 録音の音声でまた電話だ。すぐにニュースを消し豊田の声に聴き入る。

すぐにでも脳に情報を詰めたかった。

暗号の解読をして今度は豊田を僕達とBANDITSが刈り取る番なのかもしれない。




「もしもし、半田さん?例の任務遂行出来たわ。報酬は要らない。彼らも報酬はあげてないんでしょ?」


「あぁそうだ。社会見学だからあげてない。

彼らにあげてしまうと若い目を潰してしまう事になってしまうからな。」


「そうね表の世界に彼らは居るべきよね。今回の大きい任務は淳二君?の案なんでしょ?」


「BANDITSとしては俺の案だし、淳二はこの大きな山を切り崩す道を教えてくれただけだ。

なんかあったら俺が責任取るし、それが仕事だからな。

まだまだこの仕事が終わった訳では無い。」


「そうね。今彼らがどこからか付けてきてるみたい。私も人員不足だし社会見学させてみようかしら」


「勝手にしろ。しかし、彼らは表の世界に戻すのが俺達の世界を守る任務だからな?手を汚させるなよ?」


「わかってるわ。ちょっとからかってみたくなっただけよ。

アパートまで行って彼らの目を私、直接見たの。凄く真っ直ぐな目をして居たわ。」


「あぁ。浩市君から聞いたよ。本当に新しいモノ好きだな。需要があることしかしないな。」


「当たり前でしょ。この山は海女と山賊で成り立って居るのだから。

悪い人は居ないの。悪人に漬け込む悪い人を消していけばこの2つの山は自然と低くなって開けて行けるのよ。

笑っちゃうでしょ?その世界を願って居るの。

だから積み上げては壊すだけなの。”壊せれば”の話だけど…どんな奴らが来ようと自分の腕を試していくわ。」


「それは俺も同感だ。この世界が全ての教訓になればいいな。暗号の方はどうだ?2社は掴んだから良いが、

あと1社は掴めないままヤドカリ出来なくて泥臭くキーを洗っているのだが。」


「私も捜査はしているんだけれど、文章の解読までは出来ないわ。

なんとか2行目、3行目と5行目がhands、withとprefecturesと分かっただけで。

リエゾン逃しちゃったし……

まぁリエゾンも正しい道に導けたってことね。この世界もいずれは元の姿に戻って欲しいわ。」


「handsとwithとprefecturesかぁ…俺間違ってたなぁ。ここからふりだしだ。また宛があるから探ってみるさ。」


「彼らがすぐ近くに居るわ。じゃあまた連絡するわ。じゃあまた。」




 僕達は愕然とした。山賊も海女もお互い方向は同じで白に近い曇り空の色だった。

ただ違うのは、男女という立場の違いから起こる事件という違いだけで風が吹けば青空になるだろう。

僕達は2行目、3行目、5行目にhands、with、prefecturesと記すと

お互い「何をガキの青い事をやっていたのだろう」と

おもむろに大きく蹴伸びをし、河原に自転車をニケツで走らせた。

そして曇り空の中、草の上に二の字で横になった。


「淳二、状況理解した?」


「あぃ。理解できたっす」


淳二は起き上がり6魔法陣の紙を取ると横になり、曇り空と同化させボソリと呟いた。


「あとはこれだけだな。」


「handsとwithは俺らが青いから理解できないのかな。」


「そんな事はねぇよ。まだ、これからだって。ほら、C4が他にも使われてるし。」


「そんなんでhandsとwithとprefecturesが分かれば苦労しないよ。」


 浩市は立ち上がると、手を差し伸ばした。

空の風で流された雲はまた違う所を曇らせ雨を降らせる。

青空が広がると虫達は葉っぱの裏から顔を出し捕食の生活を始める。

しかし、曇って来てから活動的になる虫もいる。



その虫の事を益虫と言う。



蟻は雨が振り始めてから巣に帰るから俺みたいに鈍感なグレーな害虫だ。

そのグレーな害虫の事をなんと呼ぶのかは存じないが。


グレーな害虫が白か黒かどちらかになる日は来るのだろうか。

来たとしても来なかったとしても




日は昇り夜更かしの真っ最中の俺らを容赦無く刺し、追試に向かわせるだろう。





これが、僕達が体験した夏休みのことだった。


日陰の乾いた風は僕達の身体を乾かし、心と精神を錆びつかせる。


太陽は常に監視しており、日が沈むと次は毎日形を変える山賊が監視をする。


こんな世の中で何かを目指し何かを志す。


寄り道をし、志の形を変えてしまっては後戻りは難しい。


山賊はそういうもの達を喰い物とし、海女もまたそういう者を喰い物とする。




後日、平田は援デリ業者が居るホテルに単独で突撃していた。


コンコン


「ハイドゥゾー」


「失礼する。」


「ハジメニ、イチゴネ?」


「そうだな・・・手始めに日本人ではないから5万のキャンセル料を貰うよ?」


「NO!WHY?ナニモ、シテナイデスネェ?」


「Noじゃないよ!ちゃんとチャットで書いたでしょ?」


「ワタシ、カンケイナイネ。ワタシイチゴモラウダケネ」


「それじゃあしょうがないね、刑法246条で警察に通報するね……」


「イミワカンナイヨ!ナンデケイサツ?テンチョーニイワレタ、シゴト、スル」


「それなら代表の人と電話させてよ、君ら嬢には興味ないから……」


「テンチョー?ヘンナニホンジンケイサツヨブッテ!」


「もしもし?代表さん?あぁ~また君かお久しぶり。秋山君それでさ、手形の魔法陣知ってるよね?取引をしよう……」



秋山もまた海女を裏切って居た。海女もBANDITSを裏切り、盗むかもしれない日々を送る。




山賊。ご存知だろうか。

山賊。聞いたことぐらいはあるだろうか。

山賊。山中に拠点をかまえる盗賊

山賊。見つけた獲物は逃さない。



それゆえ、狙った獲物は逃さない。

それゆえ、狙ってしまった獲物は仕留めなければ明日はない。


それが、現代の山賊の形である。


12話に暗号を解く回にしようと計画していたのですが、ラストが回答回だと読まないかもとか、

みんなで解いた方が楽しいかなと思い、解ける様にヒントだけ織り交ぜ、11話で完結させました。

色々勉強になりましたが、難しいですね。まだまだ勉強しようと思います。

この後のBANDITSの動向の構想もありますが一旦ここで完結します。


読んで頂きありがとうございました。

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