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現代山賊。  作者: 山狩楚歌
1/12

プロローグ

現代山賊の前に


山賊。ご存知だろうか。

山賊。聞いたことぐらいはあるだろうか。

山賊。山中に拠点をかまえる盗賊。

山賊。見つけた獲物は逃さない。


ナイフを毎日砥ぎ、寒さは狩りをした鹿の毛皮を着込み、暗い間に行動する。

あるときは罠を張り、日々見回りをし、落ち葉や足跡をよく観察する。

あるときは山道の通行人を身ぐるみ剥ぐ。

剥いだ先にあるのは、山賊としてのプライドと空腹感が混ざる惰性の日々。

金品を身に着け、その日摂れた多くない飯を食い、形の違う弓矢を腰に担ぐ。

小銭は交渉の時に使うが、小銭で飯は食えない。石と同等。

狩られねば明日の生活は保証されない。

狩らねば狩られるだけ。

それゆえ、狙った獲物は逃さない。

それゆえ、狙ってしまった獲物は仕留めなければ明日はない。


山賊の生活は困難を極めるが

そのような噂が街に広がり山賊を恐れる。

街では自衛団が募り始め、山賊を捕らえる訓練が行われ、自衛団が立ち上がる。

自衛団は狩人の生活を余儀なくされ、道なき山道に踏み込む。


次第に良心がなくなり、自生するための日々を強いられる。

集団で行動する通行人を見ては、自分の使い古しの装備と見比べるようになる。

穴の空いた靴。

破けたズボン。


隣の芝は青く持ち前の等身と比べ、欲しくなる。

この間壊れた方位磁針。

肩が擦れるリュック。


必要最低限のモノでさえ壊れ、街の奉仕資金を無駄にしない様、指揮を高める。

それでも居ない山賊。見つかるのは身ぐるみ剥がされた通行人の亡骸なのか、山賊の亡骸なのか。


一人でもひっ捕らえないと街には帰れない。

そんな中自分の荷物の整理のガサツさから物が無くなった様に感じ始める。

自衛団の仲間には打ち明けられないなんとも言い難い憤り。

爪切り、ペンダント、水筒の蓋

疑心暗鬼の中、1度だけ仲間を疑い、無くしたモノを仲間から盗ってみる。


何も言われない。皆、ポーカーフェイス。

自衛団という集団行動の信頼が、山賊を誕生させる瞬間である。

盗んだ仲間に一声軽くあざ笑い山道を進む。

そうやって昨日を取り返す日々を送っていく。

そしてついに通行人を街に帰さなければどうなるかを考え出すようになる。

自衛団のせいか?山賊のせいか?

答えは決まっている。我らは自衛団だ。

また山賊か。全く……山賊とやらは。


街に帰らなければ問題ない。

生きる為にしょうがない。

山賊をひっ捕らえる為なのだから。


街を快適に過ごす為に選ばれた英雄なのだから。


山賊。ご存知だろうか。

山賊。聞いたことぐらいはあるだろうか。

山賊。山中に拠点をかまえる盗賊

山賊。見つけた獲物は逃さない。



それゆえ、狙った獲物は逃さない。

それゆえ、狙ってしまった獲物は仕留めなければ明日はない。


それが、山賊。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


それが何百年も続き、山は切り崩され江戸を経て、ビルが立ち並ぶカフェ通りとなった都心。

今までその生態は不明だったが、調査が進み山賊が明かされた。



江戸時代になると油を売る商人が居れば、油を密かに盗む客も居る


どうやって油を盗むか……

油壺を使うのさ。


油屋に忍び込んで油を盗むのか……

油壺を使って平然と油を盗むよ。少ないけどね。


油屋を殴って何処かに捨ててくるのか……

いいえ。油屋は嫌な客としか思ってないんじゃないかな。


嫌な客とすら思ってないかもしれない。


ただ、一つだけ言えるはその壺に油を注がせて

やっぱり買わないと戻した壺についた油を集めて生活をするのが山賊ということ


正に思う壺



そして時は平成。

街にビルが立ち並び、人で溢れかえっている。

インターネットが盛んになり、知らないサイトの方が多い時代。山賊はまだ生き残っていた。


そう、出会い系サイトに……


出会い系サイトでは常日頃から出会いを求めて出会おうとしている者は居ない。

本当に出会おうとしている奴が居るならそれは、


金目当てか

家出目当てか


本当に、ご愁傷様である。



出会い系サイトは運営がサクラと言う詐欺を働いてポイントを買わせるように仕向ける。

出会えたとしてもそれも想定内の経営方針。


出会い系サイトでは、援デリと呼ばれるいわゆる援助交際デリヘルが主にある。

窓口はサクラでそこから先は業者関係者である。

関係者とは、デリヘルの裏関係として出会い系サイトと提携し、お互い利益を得ているのである。

業者との待ち合わせは決まって風俗店の多い地域である。

業者の中には日本人と偽りアジア圏の外人を配置する業者も居る。


そこにとある仙台の大学生が裏同好会に興味深々に入った所から物語はスタートするのである。


その同好会の名は「BANDITS」

バンデッツの活動を知りたいかい?

それは出会い系サイトを相手取った山賊

業者は警察が地に付くと颯爽と生まれ変わり業者アカウントを乗り捨て、乗り変える

それを殺さず泳がし、それを肥えた頃にまた剥ぎ取る

失敗すると学校の単位はおろか、社会処分が下る



「・・・手始めに日本人ではないから5万のキャンセル料を貰うよ?」

「Noじゃないよ!ちゃんとチャットで書いたでしょ?」

「それじゃあしょうがないね、刑法246条で警察に通報するね……」

「それなら代表の人と電話させてよ、君ら嬢には興味ないから……」

「もしもし?代表さん?あぁ~また君かお久しぶりそれでさ……」




山賊。ご存知だろうか。

山賊。聞いたことぐらいはあるだろうか。

山賊。山中に拠点をかまえる盗賊

山賊。見つけた獲物は逃さない。



それゆえ、狙った獲物は逃さない。

それゆえ、狙ってしまった獲物は仕留めなければ明日はない。


それが、現代の山賊の形である。

最新校正:H29.07.28

・・・を……に

出会い系を出会い系サイトに

根拠を拠点に

無くしたモノを(仲間から)盗ってみる。


等、他ストーリーとは関係の無い箇所を訂正しました。


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