夜の公園の恋人達
ここは夜の公園。
愛し合う恋人達が集う場所。
彼女が隣にいる。
僕の大好きな彼女が、僕の隣に座っている。
世界は時を刻むのを忘れ、僕と彼女だけがこの世界に存在しているような気がした。
そっと彼女の手を取り、「好きだよ」と囁く。
その言葉に顔を赤らめる彼女。
その深い褐色の瞳に、僕の顔が写っている。
微笑みを浮かべた彼女の首に僕の吐息がかかったからか、肩をすくめる。
本当にかわいいなあ。
清楚でありながら、光沢のある唇にそっと口づけする。
月灯りが美しい彼女の顔を照らし出す。
愛しい、僕の彼女よ。
ブーーーーーーーーーーー
低い耳障りな機械音が響いた。
恋はいつも突然に終わってしまうものなのだ。
僕はベンチに取り付けられた投入口から追加料金を入れた。
すると、再び動き始めた僕の愛しい彼女。
彼女を見つめる僕の視線の先に、仲の良さそうな恋人達が散歩をしていた。
彼女に笑いかけながら、「僕らも早くあんなふうになりたいね」なんて言っていると、散歩をしている恋人達の方から低い耳障りな機械音が聞こえてきた。