変わりゆくもの
「やあ、おはようロゼ。今日も食べちゃいたいくらい可愛いね」
「おはようございますエディ様。今朝の調子はいかがですか?」
毎度のごとくに言われる寒気がするような甘い言葉を無視して、エディ様に朝の挨拶をする。
「とても良いよ。と言いたいところだけど、今朝は君が僕を起こしに来てくれなかったからなあ」
朝からそんな文句を言われても、エディ様を起こすのは主にメイド長であるアリシア様のお仕事であるから仕方がない。なぜなら昔にエディ様を起こすことになった若いメイドが、仕事をサボってずっと美青年であるエディ様のお顔を見ていたことがあったからである。このことが原因で、乳母であったアリシア様が毎日起こすようになった。
「それは申し訳ありません。しかし起こすのはメイド長のお仕事、ですのエディ様がいくらご所望でも私にはできないのです」
「それでも僕は君に起こしてもらいたいな。ふふっ、まあこれ以上言っても君を困らせるだけだから止めておくよ。おっと、そろそろ勉強の時間だから行くね」
女性なら惚れ惚れしそうな微笑みを私に向けた後、エディ様は勉強部屋へ向かった。
「行ってらっしゃいませ」
私は一礼をすると自分の仕事に戻った。さっきのような会話がほぼ毎日続く日々。エディ様が私で口説くようにして遊ぶのは止めてほしいが、もうほとんど諦めている。だけど日々を私は楽しんでいた。しかし私は知らなかった。いや、知っていた。楽しい時間は永遠には続かないということを。