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裏切りの理由

他の小説などを読んでみて、執筆形式を変えてみる事にしました。

これまでと違って違和感があるかもしれませんが、皆さんに少しでも世界観が伝える事ができれば幸いです。

目の前にいるのは、ほんの数分前まで仲間と呼べる存在だった者。

しかし今は、互いに向き合い、その手にそれぞれの能力を宿していた。


「どうしてだよ…」

「……」

「どうして裏切った!?」


統夜の質問に白井は口を開かなかった。

ただその手に握られた力、ヘカトンケイルを向けてくる。

統夜は拳を握り、戦闘態勢に入る。

それを眺めるローの姿があった。

そんなローに別の方向から声が聞こえた。


「おいおい、ボーッとしてたら潰すぞ、テメェの相手は俺だ」


那央斗である。

自分を無視する態度が気に食わなかったようだ。

ローは那央斗の方へ向き、鼻で笑った。


「あなたが僕の相手ですか?」

「だったら何だよ」

「くれぐれもがっかりさせないでくださいね」


小馬鹿にしたような態度にさらに気分を悪くする那央斗。

ここまで馬鹿にされたのは初めてである。

那央斗はローを鬼のような形相で睨んだ。


「ぜってぇ泣かせてやるよ糞ガキ」


ローに向かって那央斗は走り始めた。






別ルートから襲撃していた雅義と神楽は1つの大きなフロアに辿りついた。

しかし、そこには何もいない。

これ程広い場所に2人しかいない事が奇妙にすら思えてきた。


「妙だな」


口を開いたのは雅義だった。

本来奇襲してきたのから迎え撃つはず。

しかし、その場所には2人以外いなかった。


「そうだね…」


神楽も同意する。

あまりにも不自然。

しかし、それでも2人は進むしかなかった。

2人は慎重にそのフロアの向こう側を目指した。






唯依、紬、アリアは救出作業を行っていた。

能力者の一覧と照らし合わせ、次々と鍵を破壊していく。

唯依は酷く焦っていた。

本当なら、今すぐ妹を助けに行きたい。

しかし、自分だけ勝手な行動をとるわけにはいかない。

その使命感が、唯依を強く引き止めていた。


「次、37番」

「…うん」


紬の指示に従い、次々と部屋を開放していく。

開放された人間にはアリアが指示を出す。

いつ身体の中にあるモノが救出した人間を殺すかわからない。

その緊張感にアリアは胸が苦しかった。







「くッ!」

前方から向かってくる閃光を辛うじて避ける。

これまでの戦闘が役に立った。

最初の頃の統夜ならば、呆気なく貫かれていた事だろう。

近づこうにも近づけない。

1度殴り飛ばしたい顔までなかなか距離がある。

統夜は白井の強さを知っている。

だからこそ、簡単に寄らせてはくれないだろう。

しかし、手段が無いわけではない。

統夜の篭手から放たれる光、あれを上手く扱えればまだ方法はある。

しかし、


「なぁ……」

「………?」


統夜が足を止めた。

一瞬白井が戸惑う。

しかし、統夜の口から出たのは、やはり白井の予想通りであった。


「どうしてこんな事…」

「…………」

「口付いてんだろ!

さっきから黙ってんじゃねぇぞ!」


一向に返ってこない返事に統夜が苛立ち始める。

昔からたくさんの物を失ってきた統夜にとって、裏切りは胸を切り裂くような感覚に襲われる。

それと同時に怒りもである。


「最初からこうする気だったのかよ!?

仲間だと思わせてほくそ笑んでたのかよ!?

お前それでも人かよ!?」


収まる事なく、次々と怒りの言葉が出てくる。

その時だった。


「………かる…」

「……?」


ふと白井の口が動いた。

しかし、上手く聞き取れない。

統夜は白井の異変に気づいた。

下を向いて小刻みに震えている。

それに何の意味があるのかわからない。

しかし次の瞬間、統夜はその震えの意味を理解した。


「ッ!」


白井がヘカトンケイルをこちらに向ける。

しかしさっきとは違う。

その眼差しには怒り、そして覚悟のような意志がある。

白井は声を震わせながらもう1度言う。


「貴様に…」

「……え?」

「貴様に俺の何がわかるッ!」

「ッ!」


一瞬だった。

一瞬にしてその閃光は眼前にまで押し寄せる。

かなり巨大であり、人が当たれば木っ端微塵であろう。

しかし、とても身体が反応できるようなスピードではない。

統夜の身体は呆気なく、閃光に覆い隠された。







「〜♪」

刹那はステップしながら廊下を進む。

上機嫌に鼻歌まで響かせていた。

とても敵に攻め込まれた状況でする人間の行動ではない。

しかし刹那には絶対の自信があった。

侵入者を跡形もなく消すほどの自信が。


「到着〜♪」


刹那はとある1室の前で立ち止まる。

1室とは言ってもかなりの大きさだった。

学校の教室ぐらいはあるだろうか。

刹那は鍵を開ける。

他の部屋の鍵とは訳が違った。

何重にもかけられた鍵を刹那は次々と解く。

そして全てが解錠され、そのドアに手をかけた。


「さぁ〜、出番ですよぉ〜!」


ドアを開けると同時に刹那は上機嫌に呼びかけた。

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