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魔王道  作者: 隠岐久遠
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追憶1

「洋介君どうかしたの?」


彼女の鳶色の瞳に惚けた顔が映っていた。


「いやなんでもないよ」


ずっと彼女の目を盗み見ていた所為で疑問に思われたようだ。彼女はこちらに向けていた目をテレビに戻した。


くだらない番組を見るより、彼女の目を横からでも見ていたい。それを抑えて彼女にならいテレビを見る。でもすぐにどうでもよくなってしまう。


「面白い?」


彼女の邪魔をするとは思ったがそう聞いた。


うーん、と彼女は唸った。それから目をテレビに向けたまま答えた。


「面白くはないかなぁ。でも、変な感じ」


「変?」


「うん。見えるって変な感じ」


彼女は淡々とそういった。


彼女が眺めるテレビにはどこかの森が映し出されていた。

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