1.4
「みんな、なにしてるの?」
皆の視線を向けると、ついた頃は穏やかな天気だったのが一変、酷い土砂降りだった。
「さっき、家に電話してみたんだけど天気がいつ回復するかわからないし港も酷い有様だから最低でも4日はこのままみたい」
「せっかく海あるのに海で遊べないんだ」
最初は乗り気ではなかった山倉も、この空気に感化されいざ楽しもう! というときに空は荒れ模様。この嵐のように気分も沈んでいく皆を励ますように梓が声をかける。
「そもそも、文芸部の合宿なんだし執筆活動出来てちょうどいいんじゃない?これでみんな来月の文芸誌に載せられるね」
「どれ、久々に小生ワールドへ誘おうかの」
「またあの変な挿絵付き小説を載せるつもりですか……」
「あれ、載せた時いつもアンケートで一番人気だった中崎が負けたんだよね」
「俺の黒歴史掘り起こすなよ……」
大田の一言で沈んでいた空気が少しだけ明るくなり、テーブルを8人で囲って執筆作業をすることにした。途中で飽きてゲームや漫画を読みだすものもいたが、いつもの部室だと梓はほっと胸を撫で下ろす。
夕飯を無事済ませ、それぞれ寝床につく。これから起こることなど知る由もなくーー
翌朝、里絵を除く7人は既にリビングへと集まっていた。
「里絵遅くない?」
「寝坊かな」
「あいついつも遅れるよな」
里絵は元々遅刻癖があり、約束の時間に来たためしがほとんどない。また寝坊だろう、そう誰もが思っていたが、亜未だけで8人分の朝食を作るのは骨が折れるので、誰か起こしにいけばという流れに。
「じゃあ、私行ってくるよ。亜未は出来るとこまでやっといて」
「了解、ごめんね」
「ううん、大丈夫」
私がと名乗りを上げた梓は、彼女を起こしに二階へと移動する。階段を登る途中、朝は感じなかった異様な臭いがした。その臭いの出処はーー里絵の部屋からするものだった。
「……里絵?」
ノックをしても返事がなく、部屋から漂う異臭に違和感を感じた梓はそのドアノブに手をかける。すると、鍵がかかっているはずのドアが開いたのだ。
「きゃああああああああああ!!! 」
梓は恐る恐るそのドアをあけ、目に飛び込んだものにただただ悲鳴をあげるしかなかった。