小さな出逢い…だが…、しあわせな…。
千尋の家に着く。
メールを入れた。
玄関の前で
2人を待つ。
家の中からは
声が聞こえていた。
ガチャガチャ、
ドアノブの回る音。
扉が開き
女の子が
はにかみながら
出てきた。
「こんばんは…。」
どちらともなく
挨拶をかわす。
家の中から
千尋の声が
「挨拶しなよ…。」
2人は目配せを、
「はじめまして、
すみれです…。」
小さな女の子は
ちょこんと
頭を下げた。
友紀も頭を下げ
「吉高友紀です。
はじめまして。」
と挨拶をした。
千尋が出てきた。
「こんばんは。
ほらね、
言ったでしょ…。」 友紀には
わからない会話。
車の後部座席に
2人をエスコート。
すみれちゃんの
シートベルトを
着ける
千尋のベルトも。
いつもの車でなく
今日は軽自動車。
2人を乗せ
車を出す。
「ゴメン、
足長おじさん って言ってある。」 構わなかった。 「すみれちゃんは
何が食べたい?
お腹すいてない?」
「う~ん?」
「居酒屋でいい…、
この娘
お酒のおつまみ
みたいなの
好きだから。」
千尋の言葉で
近くの居酒屋へ。
車から下りる。
友紀はすみれちゃん
の側のドアを開ける。
ベルトを外し
飛び出す。
次に千尋の側のドアへ
まわり開ける。
ベルトを外そうとすると
「いい…、
自分でする。」
娘さんの手前、
手をはらった。
友紀はすみれちゃんに
行くぞ、と手で合図。
2人で千尋を置いて
店の入り口まで
走り出した。
「ちょっと…。」
車を下りた千尋が
走り出す。
こけた。
すみれちゃんと友紀は
2人笑った。
楽しかった。
友紀はしあわせだった。こんな時間が…
続けば…。