第52話 お披露目
更に月日が流れ
気が付けば俺とアリスの相方生活は、
もうすぐ一か月になろうとしていた。
ペアで作った指輪は、
お互いちゃんと装備している。
アリスとの仲も良好だ。
喧嘩ひとつ、したことがない。
少しアリスのリアルが忙しいらしく、イン時間が減ってきている。
それが少し寂しくもあるが、仕方ない。リアル優先だからな。
一週間ほど前、新しいアップデートが入った。
新装備が実装されたのだ。
俺とアリスも、新装備製作に必要な素材を集めるため、
ダンジョンを周回する回数が増えていた。
でも、無理はしない。
アリスの負担になってはいけないからだ。
そして、装備更新の時が来た。
昨日、二人で集めた素材で新装備を製作したのだ。
アリスはログアウトする時間だったので、
「明日、二人でお披露目しよう」
ということになった。
――今日。
ログインすると、アリスはまだインしていなかった。
俺は新装備を眺める。
……そうだ。
指輪の見た目、反映してなかったな。
俺は、アリスと作ったペアリングを新装備に反映させた。
少し……横になるか。
連日のダンジョン周回で、思った以上に疲れていたらしい。
一旦ログアウトして、仮眠を取ることにした。
――目を覚まして、すぐにログインする。
アリスは、もうインしていた。
いつものように個別チャットで挨拶して、
PTを組む。
いつもの流れだ。
「俺りん、今日は遅かったね?」
「ごめん。ちょっと仮眠してて。結構、待たせた?」
「ううん、大丈夫だよ!」
「よかった。じゃあ、早速だけど……昨日作った装備、お披露目しようか?」
「うん! 楽しみにしてた!」
二人同時に、装備を変更する。
――その瞬間。
違和感を覚えた。
アリスが、ペアリングを更新していない。
……なんで?
理由なんて、何一つ分からないのに、
胸の奥が、ざわっとした。
「……アリスが、ペアリングしないなら……」
「……俺も、しなくていいよね……」
口に出してから、ハッとする。
あ、これ。
言っちゃダメなやつだ。
でも、もう遅い。
「……ごめんなさい」
何か言わなきゃいけない。
そう思うのに、頭の中がぐちゃぐちゃで、
何を言えばいいのか分からない。
返事が遅れるのはダメな気がする。
焦れば焦るほど、言葉が出てこない。
「……ごめん。今日は落ちるね」
それだけ言って、
アリスはログアウトした。




