第5話 募集文という自己紹介
俺は、自分の募集文を書いた。
「種族は○○でリアル男子です。
リアル女子なら嬉しいな。
初心者なので、
色々教えてくれる人だと嬉しいです!」
……今思うと。
だいぶ、終わってる。
いや。
書いてる時は、真面目だった。
ふざけてはいない。
変に盛ってもいない。
正直に書いたつもりだった。
正直=安全、だと思ってた。
でも、掲示板は結果しか返してこない。
1日。
何も来ない。
2日。
まだ来ない。
……3日目あたりで、
更新ボタンを押す回数が増えた。
自分の募集文が、
少しずつ下に流れていく。
誰かの募集が上に来るたび、
「俺の席」が一段ずつ後ろにずれる気がした。
1週間後。
――1通も来ない。
「どないなっとんねんウガー!!」
勢いで叫んでみる。
誰も聞いてない。
掲示板、サクラ説が脳裏をよぎる。
でも、すぐに冷静になる。
「いやでも……無料掲示板でサクラ?」
募集は毎日更新されてる。
日付も時間も表示されてる。
……掲示板は、生きてる(確信)。
じゃあ何が悪い。
「……俺の文章か?」
結論は早い。
ただ、受け入れるのが遅い。
俺は、ちゃんとして書いた。
だから、ダメだった可能性を
一番後回しにしてた。
ちょっと、紳士ぶることにした。
というか、無難に逃げた。
女性希望の文言を消す。
「初心者ですが、
同じくらいの方とまったり遊べたら嬉しいです。
一緒に成長できたらいいなと思ってます!」
……急に角がなくなった。
安全。
誰も否定しない文章。
送信。ポチッ
これでダメなら、
もう俺の問題じゃない。
……そう思った瞬間、
少しだけ胸が軽くなった。
その軽さが、
場違いな気もして。




