第48話 変人の選択
「私は、もうあなたのことが好きなんですよ!」
……え?
今、なんて言った。
好き?
誰が?
誰を?
言葉だけが先に来て、意味が追いつかない。
アリスさんが、俺を。
そう理解するまでに、少し間があった。
なんでだろう。
理由を探そうとして、すぐにやめた。
今までだって、ズレてるって言われてきた。
面白半分だったり、からかいだったり。
好意と一緒に出てきたことなんて、なかった。
だから――
多分、俺は慣れてない。
「……好き、にも色々ありますよね」
口に出してから、逃げだと気づく。
「相方になりたいんです」
相方。
その言葉だけは、知ってるはずなのに。
意味が一つに定まらない。
俺が思ってる相方と、
アリスさんの言う相方。
同じとは限らない気がして、
でも、聞くのが怖かった。
「アリスさん、その……相方って……」
「恋愛的な意味です!」
即答だった。
考える余地を、与えてもらえなかった。
逃げ道が、消えた感じがした。
「あの……俺、変人なんです」
自分でも、ずるい言い方だと思う。
断る準備を、相手にさせる言葉。
「知ってます。十分知ってます!」
否定されると思ってなかった。
「でも、理屈じゃないんです。
もう、ほっとけなくて」
わからない。
本当に、わからない。
どうして、俺なのか。
どうして、今なのか。
でも。
「俺さんは、私のことをどう思ってますか?」
その質問だけは、はっきり聞こえた。
嫌じゃない。
一緒にいるのは、楽だった。
また遊びたいとも、思ってた。
それ以上を考えようとしたら、
時間が足りなかった。
「……アリスさんと、相方に、なりたいです」
言ってしまったあとで、
自分の声が少し震えてるのに気づいた。
「はい。
今日から相方ですね」
嬉しそうな声。
俺は――
まだ、何一つ整理できていない。




