第47話 私は怒っています
はあ……。
昨日は、楽しかった。
それだけは、間違いない。
アリスさんが良い人すぎて。
というか、普通に長時間、一緒にいてくれた。
……ちょっと、甘えすぎたか。
思い返すと、
何から何まで教えてもらってばかりだ。
戦闘も。
宝の地図も。
金策も。
俺、何してたっけ。
ああ、そうだ。
横で話を聞いて、
言われた通りに動いてただけだ。
それでも楽しかったから、
まあいいか、って思ってた。
……いや、よくないのか?
わからない。
とりあえず、宝の地図の取り方くらいは、
自分で調べておこう。
Google先生、お願いします。
ふむふむ。
採掘スキルが必要、と。
……なるほど。
思えば、
製作も採集も、ほとんど触ってなかった。
よし。
この機会に、採掘のレベル上げをしよう。
そうと決まれば、ログインだ。
まずは必要な道具を……
マーケットで……
ピロリン
アリスさんから、PT招待が届きました。
→ はい / いいえ
うお!毎回びっくりするなこれ・・・
あれアリスさんから?
はい。ポチ
「俺さん、こんばんは」
「アリスさん、こんばんは! 昨日はありがとうございました」
「俺さん、私は怒っています」
……え?
怒ってる?
アリスさんが?
一瞬、頭が止まる。
「えっと……何か、ありましたか……?」
「むむむむむむむ」
「私は、《俺さんに》怒っています!」
……俺に?
なんで?
心当たりが、
多すぎて逆に浮かばない。
昨日……
長時間付き合わせた?
宝の地図?
サイコロ?
いや、それはない。
「えっと……すみません、何か失礼なことを……」
「違います!」
……違うのか。
じゃあ、何だろう...
「俺さん、私はこう見えても、結構モテます!」
……はい?
いや、それはそうだろうけど。
今、その話?
「俺さん、昨日、私とずっと一緒に遊びましたよね?」
「は、はい……」
「そのあと、お開きになって……」
「俺さん、PT抜けて、町に戻りましたよね?」
「え? あ、はい……」
「私ね、初めてですよ」
「現地解散で、置いて行かれたの」
……ええ?
「俺さん、普通はね?」
「一緒に町に戻ってから、お開きなんですよ?」
「でも俺さんは……戦闘エリアで、現地解散しましたよね?」
「え、あ……でも、危険な場所でもなかったので……」
「そういうことじゃないんですよ!!」
「……すみません……」
「私ね?」
「頑張ってるんですよ?」
「フレンド登録してから、PT招待して」
「長時間、一緒に遊んで」
……頑張ってる。
その言葉が、
ちょっとだけ、引っかかる。
「なのに!」
「俺さん、どんだけ私に興味ないんですか!」
「戦闘エリアで、現地解散ですよ!?」
「私は!」
「頑張っています!」
「俺さんに興味があって」
「もっと一緒に遊びたいって思ってるから」
「だから、長時間一緒にいるんです!」
……そう、なのか。
「俺さんは、きっと考えてなかったんでしょう?」
「私に悪いから、そろそろ解散しよう、とか」
「でも、そんなの、もういらないんですよ!」
頭が、追いつかない。
「もうね!」
「俺さん、鈍い人なのかもしれませんけど!」
「だから、はっきり言います!」
「私は、もうあなたのことが好きなんですよ!」
……え。
「真面目だし」
「ちょっとズレてるし」
「正直、何考えてるかわからないけど」
「でも……」
「なんだかわからないですけど」
「一緒にいたいんです」
「だから、長時間一緒にいるんです!」
……そんな理由で?
「俺さんは、きっと考えてない」
「でも私は、考えてます」
「一緒に遊びたい」
「もっと、一緒にいたい」
「だから――」
「相方になりたいんです」
……。
言葉が、出てこない。
俺はただ、
画面の向こうのアリスさんを見つめたまま、
何も選べずに、立ち尽くしていた。




