第45話 二人の宝箱
「じゃあ、
俺さん出発するね!」
そう言ってアリスさんが騎乗アイテムを動かす。
「おおお!勝手に動いてる!」
「あはははは。
だって私が動かしてるからね!」
いやもう、なんか凄い。
フルPTでもない。
たった二人だけのPTなのに、
できることが広がっていく感じがする……。
「凄いですね、PTって……」
つい、本音が出る。
「ふふふ。俺さん、楽しい?」
「めちゃくちゃ楽しいです!」
「よかった。実はね、あんなこと言っといて、
押し付けじゃないのかな?
とか思って、ちょっと心配してたの」
アリスさん……。
そんなこと、考えてたのか……。
ごめん。
俺なんかのために、そこまで気を使わせて……。
「アリスさん……ありがとう……」
「俺さん……」
……いや。
雰囲気、良すぎない?
アリスさんは優しい人だ。
勘違いするな、俺。
というか、このブランコやばすぎるだろ?
移動中に見つめ合って、
真面目な会話をする状況じゃない。
これはあかん。マジであかん。
アリスさんに失礼だ。
話題を、なんとか変えよう。
「あ、えっと……その宝の地図の場所って、
どこら辺なんですかね?」
「あ、うん。
えっと、もうすぐだよ」
……なんか俺、間違えてない?
いや、これでいい。
変なこと言ってボロが出るより、全然マシだ。
でも、もう少し――。
「俺さん!着いたよ!」
「え?あ、はい!」
到着すると、騎乗アイテムが消える。
うん。
そりゃそう。うん。
「あった!」
アリスさんが、早速宝箱を見つけたようだ。
「じゃあ、俺さん。
宝箱開けるね?言い忘れてたけど……
宝箱を開けるとモンスターがたくさん出てくるから、
倒さないと宝箱は開けないの。
時間制限もあるから、
その間に倒さないと宝箱消えちゃうからね?」
「ええええ!」
いや、それめっちゃ大事な情報!
くっ……。
アリスさんが、せっかく使ってくれたアイテムだ。
無駄には、絶対にできない!
「じゃあ、いくよ?準備はいい?」
これはさすがに、腹をくくるしかない。
行くぞ、俺!
「はい!」
アリスさんが宝箱を開けると同時に、モンスターが現れた。
「結構、硬い!」
「俺さん大丈夫!二人ならできるから!」
アリスさん……めっちゃ頼りになるな……。
それに比べて俺は……。
いや、違う。
そんなこと考えてる場合じゃない。集中、集中!
……ん?
いや、アリスさん、めっちゃ強くないか!?
モンスターのHPが、ガンガン削れていってる。
俺も、頑張らないと!
どれくらい戦っただろう……。
体感的に、五分くらい?
「俺さん!やったね!」
どうやら、すべての敵を倒したらしい。
「はい!」
「じゃあ、
宝箱をあけるけど……その前に」
「俺さん、
アイテムはちゃんとサイコロ振ってね?」
「え、でも……アリスさんの宝の地図だし……」
「違うでしょ!
二人でモンスターを倒したから、
手に入るアイテムなの!」
そう言って、少し間を置いてから。
「だからね?
それに……私がサイコロ勝負で勝っても、
文句はなしだからね?w」
ウィンクのエモートが飛んでくる。
……なんだか。
この人には、かなわないなと思った。




