第3話 相方募集という文化
検索結果に出てきたのは、
「大規模○○ゲーム フレンド・相方募集掲示板」
「……なん...だと?」
思わず声が出た。
長い間、俺が悩んでいたことの答えが、
まるで最初から用意されていたみたいに、
当たり前の顔でそこにあった。
「そうか……掲示板か……」
考えたな。
誰か知らんけど。
少なくとも、俺よりは賢い。
登録無料。
まあ無料ならいいか、と捨てアドを作って登録した。
こういう時、慎重なのか雑なのか、自分でもよく分からない。
ログインして、募集一覧を眺める。
――ハンドルネームAさんの募集文。
「リアル男性だと嬉しいです」
「種族は○○が好きなのでそれ以外の方はごめんなさい」
「VC可能です」
「リアル年齢は○○歳なので同じ歳の方か±10歳ならOKです」
「戦闘コンテンツには〇〇と〇〇によく行きます」
「……マッチングアプリかな?」
思わずツッコんだ。
条件が細かい。
いや、細かいというより、現実的すぎる。
タグを見ると、
フレンド募集じゃなくて「相方募集」。
「相方……?」
一瞬、意味が分からなかった。
読み返して、ようやく理解する。
「ああ……ゲーム内恋人ってやつか……」
他の募集も見てみる。
――ほぼ、相方募集。
「どないなっとんねんこのゲーム」
フレンドって、
もっとこう……
一緒に遊ぶ人、くらいの意味じゃなかったのか?
正直、気持ちは分からなくもない。
俺も男だし、
そりゃ野郎と遊ぶより女の子の方がいい。
「……いや、この感覚、ちょっとやばくない?」
自分で自分にブレーキをかける。
でも募集の数は圧倒的だった。
相方。相方。相方。
これが普通なのか?
このゲームでは、これが“普通”なのか?
これまで、俺は何をしていたんだろう。
孤独だと思っていたけど、
そもそも土俵にすら上がっていなかっただけなんじゃないか。
画面をスクロールしながら、
知らない文化に足を踏み入れた感覚だけが、
じわじわと残っていた。




